『ニーベルングの指輪』 RING OF THE NIBELUNGS2004年・独=伊=英=アメリカ
幾度も戯曲化されている北欧神話を元にしたTV映画。俳優陣が地味に豪華。
ニーベルングといえばワーグナーの戯曲ニーベルンゲン4部作(19世紀後期『ニーベルングの指輪』)がもっとも名の知れたものでしょう。トールキンの
『指輪物語』とその前日譚
『ホビット―ゆきてかえりし物語』はワーグナー作品にインスパイアされ、呪われた宝、指輪といった要素が共通しています。が、ワーグナー以前にもこのドラマチックな北欧神話は19世紀を通して幾度も戯曲化され、リライトされ、その後も数多の作家に影響を及ぼしてきました。
元々は北欧に伝わる古い伝承の類で『エッダ』歌謡集をはじめとした神話・英雄譚的内容の詩です。伝説・伝承なのでそれまで断片的に散在していたものが13世紀に『散文エッダ』としてまとまってきます。同じ頃に『ヴォルスンガ・サガ』や『ニーベルングの歌』も成立しまして、ニーベルング的物語がまとまった形になってきます。
ということで、本作。ワーグナーの『指輪』後半分を下敷きにしつつかなりのアレンジを加えています。ジークフリート(シグルト、シグルド)とブリュンヒルデ(ブリュンヒルト、ブリュンヒルド)の愛に焦点を絞ってすっきりさせてますお。ただ映画としては長く、184分あります。3時間超!DVD半分見たところで一回エンドロールきたー。TV映画ならでは。これ2回に分けて放送されたのだね。
うん、これはワーグナー好きにも北欧神話好きにもオススメできるレベル!ゲド戦記のTV映画化ズッコケ
『ゲド/戦いのはじまり』とは大違いさ。ひたすらブリュンが格好いいんだぜ!
コトノハ
"Now you can be my husband."
(私の夫になっていいぞ)
ブリュン格好いいなぁ。私の腰のベルトを奪えたなら、体を許しても良いぞ。こんな勇ましいこと、言ってみたいすねぇ。言われる王様のほうは堪ったもんじゃないだろうけどね。そんなブリュンヒルデを演じているのは
『ターミネーター3』のターミ姉ちゃんの人、
クリスタナ・ローケン。硬質な美貌と、逞しさ、威厳、少しの女らしさが混じり合ってカッコイイよ!本作の一番の見所は彼女です。
どんな映画?
ライン川に沈む伝説の黄金を巡る物語(ラインの黄金)だけど、そこらへんはあまり触れられず。既に竜のファフニール(ファフナー)が宝の在処を巣にしておるよ。この宝は元々ニーベルング族のもの。ニーベルングをドイツ語起源として解釈し、“霧の子(滅び行く末裔)”という意味だとする説もあるらしい。映画ではニーベルングの一族もちらっと出てきます。彼らが霧っぽい姿なのがまた素敵です。
人物の設定はかなり変わっていて、ブリュンヒルデがオーディンの娘ではなくアイスランドの女王だったり。でもブリュンの側にはいつもカラスがいる。カラスはオーディンの使いだから、ちゃんとオーディンの存在を匂わしているのが素敵。
さて、本編。悲しいオープニングののち、爺ちゃんに救われる幼いジークフリート(3歳)。この爺ちゃん(
マックス・フォン・シドー)は鍛冶屋なのだけど滅法腕が立つ!カッコイイぜ爺ちゃん!堂々と険を振り回してさー。まるで老師みたい。こうしてジークフリート(
ベンノ・フユルマン)は鍛冶屋として育ちます。
12年後のある夜、隕石が落ちたのを見てジークは現場に向かう。12年後ってことは15、6歳のはずなんだけど、妙に老けているのは大目に見てあげなきゃダメですか?どっちかってーとオッサンなんだけど。どう見てもおっさんな15歳のジーク。一方のブリュンヒルデは予言に従い隕石現場に馬を駆る。出会った2人。超積極的なブリュン。え?( ゚д゚ )ここでイタしますの?早いだろ。って感じに早速結ばれる2人。
悪い顔した
ジュリアン・サンズ(ハーゲン/ハゲネ役)が出てきた!と思ったら場面転換して今度は
ロバート・パティンソンが出てきた!パティンソンは若きグンター王の弟、王子様役。むっさい感じが
『トワイライト〜初恋〜』のヴァンパイア役とは違った趣。ていうか、元々パティンソンてむさいよね。むっさーもっさーした雰囲気が北欧神話にピッタリよ!
グンター王側の人達はけっこう酷くて、みんなでブリュンヒルデを騙して嫁がせたり、クリエムヒルトは媚薬を盛るしで、なんかもう人としてダメな感じなのよね。まあジークも横柄なんだけどさ。神話とか古代の話はこういうロクデモナイ感じが魅力よね。クリエムの浅はかさが笑っちゃうくらい酷いのでいっそ清々しい。
結婚初夜のブリュンはカコイイ。夫に酷いことするけども、まあそうされて当然とも言えるからね。でもって同じ結婚初夜のクリエムは性格悪くてむかつく。クリエムが殊更に愚かしく黄金と権力の虜のように描かれている映画すな。ブリュンとの対比でわかりやすいっちゃーわかりやすい作りではあるが。私、クリエムのこと結構好きなのにな。本作ではフォローの仕様がないほどのお馬鹿ちゃんです。
ラグナロクだ、ヴァルハラだと北欧神話用語がたくさん出てくるのが嬉しい。竜のファフニール(ファフナー)、名剣バルムンクとかな。ファフニールの映像はなかなか素晴らしいデキ!TV映画とは思えないぜ。あと鎧や剣がきちんと古代チックで良かった。こういう系のお話はやけに鎧が中世っぽいしっかり洗練されたものだったりすることが多くて興ざめなんだけど。その点バッチリ合格!野性味溢れる!
俳優は誰?
主役ジークフリートには
ベンノ・フユルマン。おっさん。目の綺麗なおっさん。ヒース・レジャー主演の
『悪霊喰』でイーデンを演じた人でした。
その他は上に書いたので省略。
関連作品のようなもの
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