猫の毛玉 映画館

映画感想文を体内で丸めて吐き出す。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

ソーシャル・ネットワーク 【やってやる! この世の仕組みに 挑戦だ】

tag ヒューマン 青春 法廷

『ソーシャル・ネットワーク』 THE SOCIAL NETWORK
2010年・アメリカ
SNS最大手、Facebook創設を題材にしたITオタクの青春・友情・訴訟もの。

 監督はデヴィッド・フィンチャー。実話を基にしたサクセスストーリーであり、青春物語。これは、Facebookが受精し着床し分裂し、巨大な有機生命体に育つさまを描いている。人生の皮肉、悲哀、人の性(さが)、夢の実現・・・そんなものが描かれた映画。Facebookに興味がなくても、この人間ドラマは面白いから観たら良いよ!

映画タイトルには皮肉が込められていると思う。"social network"=社会的繋がり・社会のネットワーク。創設者のマーク・ザッカーバーグは、ネット上で社会的繋がりをシステム化した。でも現実に彼が求めたもの、だけどうまく入っていけないもの、それが社会のネットワーク。作ったものとは裏腹に、彼は社会から浮いている。映画のラストシーンがそれを如実に物語っていて、ユーモアたっぷりでありながら哀しい。自分もネットワークの一員になりたいのだ、と淡々とキーを押すのだ。
(ひいては私たち自身のディスコミュニケーションを皮肉っているともいえる)

 ベン・メズリックのノンフィクション小説『facebook』が原作。この本は、Facebook創設者マーク・ザッカーバーグ本人には取材拒否されたため、関係者―特にエドゥアルド・サヴェリンと双子のリンクルボス兄弟―に取材して書かれたもの。ザッカーバーグはこの映画を観て「事実に忠実なのは服装だけだけだね」と感想を言った。

ソーシャル・ネットワーク (デビッド・フィンチャー 監督) [DVD]ソーシャル・ネットワーク[DVD]
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、アーミー・ハマー、ルーニー・マーラ、ジャスティン・ティンバーレイク

友情、ビジネス、自己実現、孤独・・・。何かデカイことやって世の中変えてやる!そういう話です。キャストは若手実力派がそろい踏み。将来、幻の映画と言われるかもね。



 いやあ、良い映画だった!ヽ(´ー`)ノまず彼女(ルーニー・マーラ)と口論になるオープニング・シークエンスで、ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)の天才ぶりを見事に印象づける。天才の人は普通に会話できないからね。現実の彼がどうなのかは不明だけど、映画の中では天才型。凡人には理解できないし、ついていけない。

彼の天才ぶりは、訴訟沙汰になっても気にとめないあたりにも表れている。Facebookを成功させること、世界に広げること、それしか関心がないのだ。そして、天才の身近にいる人たちは傷つけられるのが宿命。天才に悪気はない。映画で描かれる彼は見事に典型的な天才!それはもう、仕方ないなって思うぐらい。

 主軸はザッカーバーグがFacebookを立ち上げ大きくしていくこと。そこにハンサムな双子兄弟や、彼女だったエリカのエピソードが深く関わる。でも何より、相棒として最初から一緒にやってきたエドゥアルド(アンドリュー・ガーフィールド)との関係のシフト、途中から参加したナップスター創設者ショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)への心酔。これが面白い。三角関係のようなハラハラ感がある。いや、ビジネスだけど。

特にショーン・パーカーへの心酔ぶりはわかりやすい。世界を変えられる、変えてみせる、と音楽業界に喧嘩をうって変革に成功していたショーン・パーカー。ザッカーバーグにしてみれば自分と同じ感覚を持ち、世の中の仕組みを変えてやりたい気持ちも一緒で、その上パーカーには実績があった。憧れるし、目標にもするし、崇拝すらするだろう。その気持ちは最終的にパーカーのヘマですーっと冷めるにしても。

 ところで本物のパーカーはこの映画を観て、自分とはまったく違う人物に感じたという。彼はシリコンバレーのITオタで、あんな派手な女性関係はありえないから。でもまあ、映画でのパーカーはカリスマ性があって魅力的で、そのくせどこか気弱なとこがあるリアルな人物だった。演じたジャスティンは元々歌い手さんで、それが音楽業界を凹ましてやったパーカーを演じているのも皮肉が効いている。ジャスティン、役者として評価されたので今後が楽しみですな。

 ザッカーバーグを金に汚いという人もいる。でもこの映画を観たら、そうは思えないはず。金よりも夢の実現に全力な姿が描かれているから。ヤフーやマイクロソフトに天文学的な値段でFacebookを売却することもできたのに、そうしなかった。それが、彼が単なる金の亡者ではない証拠(しかも稼ぎの半分を寄付にまわしているんだ、彼は)。社会を“見える化”すること、公正な世界を築くこと、ザッカーバーグはそんな理想を実現するために仕事をしている。

 ただ、映画の内容がすべて事実と思うのは間違っている。あくまでも実話を基に脚色した映画作品なのだから。現実との大きな違いの例をあげると。実際のザッカーバーグにはハーバード在学中から一緒の恋人プリシラ・チャンがいて、映画で描かれたようなエリカへの腹立ちやかすかな復讐心はあり得ないこと。映画がエリカに始まりエリカに終わるのは、まとまりがあってドラマ性があって素晴らしい。でもそれは事実ではない。
※追記:エリカは"自分を受け入れない社会"の象徴かな、と思います。冒頭で会話して拒絶され、中盤に和解しようと近づいて受け入れられず、最後には一方的に繋がりを求める。

 事実かどうかは置いといて、鶏のエピソードに大笑いしたよ!居心地の悪いユーモアがあちこちに散りばめられていて面白いんだ。ショーン・パーカーとの初会食シーンも、ザッカーバーグが1人だけ頷きまくってるのが妙に可笑しい。



 キャストについても言いたいことは多々あるものの、この2人にだけ触れておきたい。

 エドエゥアルド役のアンドリュー・ガーフィールドは新スパイダーマン・シリーズで主役を務める男!彼の繊細さ、翳りはとても魅力的。レッドフォード監督の『大いなる陰謀』でレッドフォードとサシで会話する学生役、『Dr.パルナサスの鏡』で道化役、3/26公開の『わたしを離さないで』と着々と良い俳優になってます。(『わたしを離さないで』の日本版予告編を観てはイケナイ!楽しみが減る!)

 エリカ役のルーニー・マーラは、フィンチャーの次作『ミレニアム』3部作のハリウッド・リメイク版で主人公の1人リスベットを演じます。パンクな天才ハッカーですよ。今度は彼女が天才だ!
にほんブログ村 映画ブログへ
関連作品のようなもの
facebook映画の原作となった本。ザッカーバーグ本人に取材は出来なかった様子。
facebook
ベン・メズリック
フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)こちらの本はザッカーバーグに独占取材して書かれたもの。
フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
デビッド・カークパトリック
ラス・ヴェガスをブッつぶせ!原作者メズリックは実話ベース映画『ラスベガスをぶっつぶせ』の原作者でもある!
ラス・ヴェガスをブッつぶせ!
ベン・メズリック

毛玉内関連記事:

スポンサーサイト

PageTop

完全なる報復 【この正義 納得出来ない 哀しみを】

tag ヒューマン サスペンス 犯罪 法廷

『完全なる報復』 LAW ABIDING CITIZEN
2009年・アメリカ
ジェラルド・バトラーの製作会社が放つ第一弾!アメリカ司法制度に挑む男。

 待ってたよヽ(´ー`)ノジェリー!ロマコメではなく、男臭いジェラルド・バトラーが観たかった皆様、コレですよ!日本公開されて本当良かった!で、邦題は…え?『完全なる報復』??う~ん、観終わるとこの邦題がしっくりこないデスよ。確かに報復措置なのですが、報復・復讐といった言葉だけで表せるものではない、と。

原題は“法を遵守する市民”の意味。善良な一般市民、とでもいいますか。犯罪を犯しても、司法取引で善良な一般市民になることができる(若しくは刑を軽減される)。うまく弁論すれば、明らかに黒でも保釈が認められたりね。そんな皮肉。

LAC_800x600_A.jpg監督:F・ゲイリー・グレイ
出演:ジェラルド・バトラー、ジェイミー・フォックス、レスリー・ビブ、ヴィオラ・デイビス

妻子を目の前で殺された男が、全てを賭けて司法制度に戦いを挑む!

コトノハ
"Can't fight fate."
(運命には逆らえない)

 残虐な犯人が妻子を殺したときの言葉。のちに遺されたクライド(ジェラルド・バトラー)もこの台詞を繰り返す。運命を押しつけられた男が、今度は運命を押しつける側にまわり、最後には自らの運命を決める。


 アメリカのドラマや映画を観ているとよく耳にする、司法取引。例えば、ジョディ・フォスターがレイプ被害者を演じた『告発の行方』でも、ある時点で弁護士(ケリー・マクギリス)が裁判に勝てないことを悟り司法取引に踏み切る。それを知った被害者は荒れ狂う、なんて展開がありました。

本作では司法取引が部分的正義の実現の為だけではなく、検事の成績維持のためにも利用されている側面まで描いている。一説によれば、司法取引で決着をつける事件は8割にも登るとか。アメリカの正義なんて、こんなもんであるよ。

今回の画像はココから。なぜか最小サイズのものしかダウンロードできない。
LAC_800x600_C.jpg

 ジェリー演じるクライドが、犯人への復讐だけでなく、当時司法取引に関わったメンバーにも制裁を加えていく物語。本人は「復讐じゃない」と言うけれど、いやいや、復讐ですよ。でもそれだけじゃない。このクソったれな汚い穴だらけの司法制度を告発するんだ!世に知らしめてやる!そんな気概。

 クライドの天才的な計略。それに振り回される司法側。なんだかコレが気持ち良い。判事に面と向かって罵倒するシーンなどは笑いすら出てくるほどの爽快さ。犯人への復讐を遂げた後、簡単に逮捕収監されるクライド。が、釈放しなければ当時の弁護士と検事と判事を殺すと脅す。それが彼の申し出た司法取引。獄中にいながら、なぜ彼はこんな事件を起こすことが出来るのか?

LAC_800x600_B.jpg

 彼を担当した検事ニック(ジェイミー・フォックス)は野心に燃えるバリバリの若手だった。それだけに、司法制度に疑問を感じるでもなく、淡々と仕事をこなすのみ。ドライなんだな。でも、そんな彼の司法取引についての考え方がどう変わっていくのか。そこが一つのキモと言えましょう。

 緊張感の続く映画ではあるけど、ところどころに笑いが散りばめられていて良いヌケになってます。獄中、同室の男との会話は面白くて、それだけに続く展開でギョっとしてしまう。クライドの静かな、冷静な狂気は、時に激しく燃える。

 もちょっとアクション・サスペンスを期待しちゃってた私。実体はアクション分ごく少ないリーガル・サスペンス。頭脳派なジェラルド・バトラーでござったよ。それもまた良し!ジェリーが魅力的な映画としては『タイムライン』がピカイチお薦め。

LAC_800x600_A.jpg

 私は正義なんて、心の中にしか存在しないと思ってる。時代、国、法律、宗教、立場によって、正義の中身は全く違うのだから。倫理も同じ。客観的正義なんてものは幻。だから、何が正義か?なんて問いかけは無意味。この映画では、検事は法律を根拠に正義を貫こうとし、クライドは自分の心の声を根拠に正義を貫こうとする。どちらが正しいのか、という問題ではない。それぞれに正義、なのだ。私の正義、あなたの正義。

 ひとつ難点を言えば、ラストのニックの計画が杜撰すぎやしないかってこと。クライドがどの時点でアレするか、わからないだろうに!それ、ヘタしたら自分がお陀仏じゃぜ!
にほんブログ村 映画ブログへ
関連作品のようなもの
ばかげた裁判に殺されかけた男―正義の国アメリカの司法制度が生んだ最悪の冤罪事件実録ノンフィクション本。こちらも司法制度と闘った男。
ばかげた裁判に殺されかけた男―正義の国アメリカの司法制度が生んだ最悪の冤罪事件
トマ ルメール
ザ・ハリケーン [DVD]ボクシングものかと思いきや、冤罪を晴らそうとする感動の実話もの。
ザ・ハリケーン [DVD]
デンゼル・ワシントン
告発の行方 [DVD]レイプ事件で、司法取引されて怒りまくったりも。
告発の行方 [DVD]
ジョディ・フォスター、ケリー・マクギリス 他

毛玉内関連記事:
PageTop

裁判長!ここは懲役4年でどうすか 【言ってみりゃ これが本気の ヒューマン映画】

tag コメディ 法廷 ヒューマン

『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』
2010年・日本
北尾トロのエッセイを映画化した裁判エンタテインメント。

 東京ではヒューマントラストシネマ渋谷1館のみの上映。HT渋谷は水曜日が映画サービスデー!男女関係なく誰でも1000円で鑑賞できますよ。他、全国の公開劇場はコチラを参照してくださいな。

 というわけで、観てきたよ。客席はいっぱい、観てる間は笑いがいっぱい溢れて良い映画体験ができた!見知らぬ他の観客と、くすくすワハハと笑い合うのはやっぱり良いものだ。家でDVD観るのも良いけど、これぞ映画の醍醐味じゃないか!暗い映画館、客席の一体感、日常に一番近い非日常。

 主演はお笑いの人バナナマンの設楽統さん。名前、おさむって読むんですね。最近バラエティ番組見ないから、よく知らないんですけど。役者さんだって言われてもわからないくらいの素晴らしいコメディ演技!相方の日村さんもチラっと顔を出して笑わせてくれます。

裁判がテーマだからって構えずに、ひょっとこな笑いを期待して観に行くべし!お堅いはずの裁判官や弁護士、検察官の人間臭さが面白いよ。
裁判長!ここは懲役4年でどうすか―100の空論より一度のナマ傍聴裁判長!ここは懲役4年でどうすか―100の空論より一度のナマ傍聴
北尾 トロ

PageTop

ミレニアム2 火と戯れる女/ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 【過去暴き 人並みの自由 手に入れん】

tag 犯罪 ミステリ サスペンス 法廷

『ミレニアム2 火と戯れる女』 
FLICKAN SOM LEKTE MED ELDEN /英題:THE GIRL WHO PLAYED WITH FIRE
『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』
LUFTSLOTTET SOM SPRANGDES /英題:THE GIRL WHO KICKED THE HORNET'S NEST
2009年・スウェーデン=デンマーク=ドイツ
スティーグ・ラーソンのスウェーデン・ミステリ小説映画化3部作の2,3作目。

 原作未読のままついに3部作の残りを観てきましたよ。監督は1作目とチェンジ、2,3作目はダニエル・アルフレッドソン監督の続投。それでなのかどうなのか、1作目にあった一話完結ミステリの雰囲気ではなくなってしまった。2と3、併せてひとつの物語になっています。2だけ観ても何もケリがつかないわけさ。ってことで、感想文も2本まとめてのエントリにするよ!

 原題は2作目が"火遊びせし少女"で英題もそれに準じ、邦題も同じく。あ、ただ邦題では現在形になっちゃってるからニュアンスが違ってくるのがアレだけど。原題に近くすると“火と戯れた少女”ってことになるんでないか。

3作目の原題は英語版wikiによれば“爆発した天空の城”みたいだけど、原題そのままを自動翻訳すると“走った少女”って出てくるのだ。ごめん、よくわからない。"LUFTSLOTTET"は空中の城、スウェーデンでは“ほぼ達成不可能な計画、ありえない望み”の意味で使われてるとのこと。机上の空論、て感じかなあ?なので恐らく“弾けた夢の計画”みたいな意味だろうか。英題は“スズメバチの巣を蹴った女”で分かりやすい。触れてはならない攻撃的な組織に触れてしまった。でもそれは彼女が自由を勝ち取るため!邦題は全然意味が分かりません。眠れる女=リスベットは分かるけど、狂卓ってなんだう?円卓の騎士オマージュかもしらんが、なんで“狂”なのかさっぱりわからない。

 原作はこの3部作で終わってしまいます。著者スティーグ・ラーソンが亡くなってしまったから。本当は5部作の予定だったそうで、4作目の草稿が発見されたけども遺族の権利問題でゴタゴタしてるとか。主人公二人の物語はあと2作分続いていたはずだと思うと非常に残念!

 あと、本国スウェーデンで今年3月にTVのミニシリーズ放送してたんですって。2話ずつで3部作の全6話(映画1本分を2話180分で)。映画撮影した映像を再編集したロングバージョンてことらしい。たぶんコレと同じモノを日本でも放送するそうなので観れる人は観たら良いよ。ミステリー専門チャンネルAXNミステリーで10/18日に放送だって。詳しくはコチラ

ミレニアム2 火と戯れる女 [DVD]ミレニアム2 火と戯れる女 [DVD]
ミカエル・ニクヴィスト
ノオミ・ラパス 他
ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 [DVD]ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 [DVD]
ミカエル・ニクヴィスト
ノオミ・ラパス 他

PageTop

私の中のあなた 【病人を 支える家族の 思い思い】

tag ヒューマン 法廷

『私の中のあなた』 MY SISTER'S KEEPER
2009年・アメリカ
ジョディ・ピコーの小説をニック・カサベテスが映画化。

 監督は『ジョンQ-最後の決断-』『きみに読む物語』などのニック・カサベテス。本作は白血病の子供がいる家庭でのドラマ。 カサベテス自身が心臓病の娘を育てた経験から、こうした患者本人だけでなく家族全体の思いを描く作品には並々ならぬものがあったろう。『ジョンQ~』も心臓病の息子のためにものすごい行動を起こす父親の話でしたが、あれが男のドラマならこちらは女のドラマ。

 原題は“姉の保安者”って感じか。姉ケイト(ソフィア・ヴァジリーヴァ)を生かすための存在である妹アナ(アビゲイル・ブレスリン)のことだ。と同時に、何もかも犠牲にして白血病の姉を最優先する母親(キャメロン・ディアス)こそが姉の番人なのかもしれない。で、邦題だけど、原作小説の邦題のままにしちゃったからピンとこないことになった!原作と映画のラストは全く違うので、原作にはピッタリでも映画には合ってないよ。

 本作で取りあげられたドナー・ベビーは現に作られている、らしい。この原作小説はフィクションだけども、ロサンジェルス在住アヤラ夫妻のケースに着想を得ているとの噂。ドナー・ベビーの実際について詳しくはこちらに日本語資料がありましたのでどうぞ。

私の中のあなた [DVD]私の中のあなた [DVD]
キャメロン・ディアス
アビゲイル・ブレスリン

PageTop

愛を読むひと 【責任と 罪悪感と 愛情と】

tag ヒューマン 恋愛映画 青春 法廷 戦争

『愛を読むひと』 THE READER
2008年・アメリカ=ドイツ
ドイツの法学教授ベルンハルト・シュリンクの1995年の小説『朗読者』を映画化。

 純粋でまっすぐな少年マイケル(デヴィッド・クロスレイフ・ファインズ)がいかにして孤独に陥り、人との絆を築けなくなったか。そして、長い孤独の果てに再び深い絆を築こうとするまでの話。同時に人の心の複雑さ、罪の意識の複雑さ、人の汚さや責任といった重いテーマで貫かれている。それらの心情は明確に描写されず、観る人が受け止めて考えるタイプの映画だにょ。

 舞台はドイツなのに英語なのかよってツッコミは野暮ですよ、奥さん。「ドイツ語の本はないの?」って台詞の後に「あるよ。(英語で朗読する)」ってのも、まあ仕方ないか。キーになるのが本の朗読だけあって、様々な本が出てくるのが楽しい。エンドロールでは、引用された本のタイトルがズラーっと出てくるのも壮観。マーク・トゥエイン、ホメロス、トルストイ、チェーホフ、リルケ、カミュ、D.H.ローレンス、ヘッセ、ベケット、ディケンズ…。

 見終わってみると邦題がしっくりこない。愛、と単純に言えるのかと。それには罪悪感も大いに混ざっていたように思った。あと字幕がなっちだったのが残念至極。迷訳になってるとこがあったけど覚えてないや。意味のわからない部分は迷訳のせいなので、責めるならなっちを責めよう。
愛を読むひと (完全無修正版) [Blu-ray]愛を読むひと
(完全無修正版) [Blu-ray]

ケイト・ウィンスレット
レイフ・ファインズ

PageTop

ライセンス・トゥ・キル 殺しのライセンス 【この悲劇 罪の意識の 欠如から】

tag ヒューマン 犯罪 法廷 動画付き

『ライセンス・トゥ・キル 殺しのライセンス』 LICENSE TO KILL
1984年・アメリカ
飲酒運転をテーマにしたTVムービー。

 TVクオリティという枠を忘れずに観れば、これは良い映画!こういうの、好きです。ただこれだけは言っておく。デンゼル・ワシントンはちょい役だと!そこは豪華なオマケだと!でも、そこんとこを期待しなくても、ちゃんとストーリーとテーマ性で面白いから大丈夫。

 もう一つ言っておこう。タイトルが007チックだけど、全然そういう話じゃないことを。以上を踏まえた上で観てくださいよね。頼むよ。
ライセンス・トゥ・キル 殺しのライセンス [DVD]ライセンス・トゥ・キル 殺しのライセンス
[DVD]デンゼル・ワシントン
ペニー・フラー

PageTop

チェンジリング 【負けぬこと 戦い続ける 勇気もて】

tag ヒューマン 犯罪 ミステリ 法廷

『チェンジリング』 CHANGELING
2008年・アメリカ
1928年、米国ロサンジェルスで本当にあった事件を基に映画化。LAPDの腐敗と怠慢、それに立ち向かう女性の話。

 クリント・イーストウッドは俳優としてよりも監督としての方が好きだ。そしてアンジェリーナ・ジョリーはアクション映画よりもじっとりしたドラマの方が似合う。そんなわけでワタシ的には最高の組み合わせな映画なので嬉しかった。ついでにマルコビッチが善玉ってのも良いですね。

 原題は、西ヨーロッパや英国伝説好きにはお馴染みのチェンジリング“取り換え子”。時折、妖精やトロールは人間の赤ん坊を盗み、その代わりに醜い妖精の赤ん坊を置いていくという。妖精のパワーで、その子は盗まれた子そっくりに見えるけど、気むずかしくなり今までとは何かが違うのだという。
Changelingチェンジリング
アンジェリーナ・ジョリー
ジョン・マルコヴィッチ

PageTop

パンフレットの価値

tag SF サスペンス 法廷 歴史 コスチューム 犯罪

昔は、8年前くらいまでは、観た映画のパンフはほとんど購入していた。
その頃でも既に質が落ちていたと思うのだが、ここ4,5年のパンフは内容の無さに辟易する。

値段だけは上昇してんだけどね。
400円あれば買えた時代は15年くらい前かしら。

そのうち500円がスタンダードになって(作品ごとに違うが、だいたい決まってた)、
今や500円のものは安いほう。
600円が標準になってる気がする。(700円のも多いし、1000円するのもある)

昔のパンフは、映画の時代背景や歴史、国の制度や音楽の薀蓄など読んで得した気分になれたものだ。
それが今では、キャストや監督の紹介をメインに、そんなことは雑誌や、その映画のHPを見ればわかるよ、という内容ばかりである。

面白かったパンフを少し挙げてみます。邦題とパンフ発行年と値段を記して。

『ジュラシックパーク』 1993年 (600円)
国立科学博物館の方により、恐竜化石の研究から有力な説の変遷などが書かれている。
恐竜年表や、参考書もわかりやすい。
もう一人、生命工学をメインフィールドにしているライターも寄稿しており、DNA操作の実験について書かれている。
当時としては高価なパンフだが、内容は満足のいくものだ。

『ザ・プレイヤー』 1993年 (500円)
ハリウッドの内幕モノ映画だからということか、ハリウッドのレストランマップなんて記事があって楽しい。
店名と地図と住所、電話番号と一言が書き添えられていて気分が盛り上がる。
映画の中にカメオ出演した60人以上もの俳優やライターなどお歴々を26人紹介しているのも楽しかった。
気づかなかったーとか言いながら。

『評決のとき』 1996年 (500円)
弁護士による「逮捕から裁判までのアメリカの手続き」が詳しくわかりやすく整理されている。
カリフォルニア州弁護士ケント・ギルバート氏のインタビューも載っていて、鋭い意見が書かれています。

『セブン』 1996年 (500円)
映画のモチーフとなった七つの大罪について詳しい説明が書かれている。
ダンテの地獄図解も載っていて、キリスト教に明るくなくてもこのページを読めば大雑把にわかるようになっている。

『エリザベス』 1999年 (500円)
文学博士(ケンブリッジにて中世英文学を学んだ方)による、史実のエリザベス女王の一端を読める。
女王の生涯の恋人ロバートの妻が怪死した事件など、背景事情が書かれている。
また、複雑な人間関係は相関図に整理され、プロテスタントかカソリックかの記号まで付してある。
エリザベス1世の簡単な伝記も見開き2ページで載っていて、パンフによって映画の背景がわかりやすくなる。

『ディープ・ブルー』 1999年 (500円)
舞台となった海上研究所の図解が良い。複雑な施設を一目で把握できる。
しかしなんと言っても、東大教授・農学博士によるサメについての解説が面白かった(サメ退治より保護を、と締めている)。
脳研究家も文を書いており、この映画を観た時の陽性情動(期待感のようなもの)の推移グラフが載っていたりしてちょっと横道に逸れてる感はあるが、面白い記事だった。


まだまだ面白いパンフはありますが、ここらへんで。

振り返れば、信頼できる情報を楽しく身につけるのに映画のパンフは一役かっていたように思います。また、そこから興味が高じて調べ始めるきっかけともなっていた。

俳優や監督の歴史なんか詳しく載せる必要ないから、
もっと、映画の背景について、モチーフについて、角度を変えた解説を載せて欲しい。
それでこそ600円の価値がある。

今、大抵のパンフはせいぜい350円の価値しかない。(独断)

映画館でのパンフレット販売って日本独自の文化だって聞いたことがあります。
真偽は定かでないのですが、どうなんでしょうね?
確かに、キウイの国にはパンフ文化なかったです。
にほんブログ村 映画ブログへ
関連作品のようなもの
ジュラシック・パークシリーズの中1作目が傑作。
ジュラシック・パーク
リチャード・アッテンボロー
ザ・プレイヤーアルトマン監督、面白いよ!
ザ・プレイヤー
ティム・ロビンス;グレタ・スカッキ
評決のときマコナヘイ、この時は前途有望でしたのに。
評決のとき
マシュー・マコノヒー
セブンなかなかにエグイ映画よね。素晴らしい。
セブン
ケビン・スペイシー,グウィネス・パルトロウ
エリザベス続編よりも、1作目は素晴らしい映画。
エリザベス
クリストファー・エクルストン;ジェフリー・ラッシュ
ディープ・ブルー 特別版海、怖い。この映画のサメは恐ろしいけど悲しい。
ディープ・ブルー 特別版
サフロン・バローズ
パン作り12か月―手軽に焼ける本格パンとクイックブレッドパン作り12か月―手軽に焼ける本格パンとクイックブレッド
七沢 なおみ;谷上 正幸

毛玉内関連記事:ディープ・ブルー
           エリザベス ゴールデン・エイジ
PageTop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。