猫の毛玉 映画館

映画感想文を体内で丸めて吐き出す。

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2010年12月のまとめ、と新年挨拶

はーい!明けましておめでとうございまーす!(一応空気を読んで新年のご挨拶をば)

 新しい年が始まりますね。今年もたくさん素敵な映画や笑っちゃう映画に出会えることを期待してます。引き続き猫の毛玉(当ブログ)をよろしくお願いいたします。ちなみに私のハンドルはPといいますので、たまには思い出してもらえると嬉しいですわい。

 さて。1年を振り返るのはちょっと長すぎるので、いつも通りに12月のエントリを振り返るよ。と、いっても。12月はサボり過ぎてさ~、結局9本しか書いてないわけですよ。あちゃ~。劇場鑑賞分で、感想を書いていないものが22本残ってしまったので2011年に繰り越します。(全部はさすがに書けないかな…)

12月エントリからお薦め映画のコーナー!

 12月のまとめ。

12月は新作映画9エントリだけでした。

 今年はちょっとブログのやり方を考えようかな、と思っていますよ。私がブログを書く上で大事にしてるのは「わかりやすさ」と「映画の背景理解」です。が、それを書いているとどうしても長文になってしまい、勿論それだけ時間もかかるわけですなあ。なので、映画によってはサクっとミニ感想文で済ませようかな、と。ブログ全体の統一感なくなっちゃうのは気持ちが悪いけどなぁ。

ということで、今年もよろしくお願いいたします!
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人生万歳! 【拗れても ちょっと変でも 幸せです】

tag コメディ 恋愛映画 ラブコメ

『人生万歳!』 Whatever works
2009年・アメリカ=フランス
ウディ・アレン監督40作目、NY舞台の軽妙洒脱コメディ。

 東京では恵比寿ガーデンシネマ単館上映中。ウディ・アレン映画といえば恵比寿ガーデンシネマ!と頼りにしていたのですが、正式に休館が決まり2011/1/28をもってその小さな幕を閉じます。残念。実質的な閉館ですね。番組編成の独自さ、良質さでお客さんを掴んでいたと思ったのに。そんな恵比寿ガーデンシネマ、1/15~28はベストセレクションとして1000円均一、16作品をリバイバルします。私は最終日に『さよなら、さよならハリウッド』を観に行こうと思うよ。詳しくは公式サイトを参照ください。

 さて。本作、ウディ・アレン監督の40作目です。この脚本は'70年代に書き上げていたものを基にしたとのこと。舞台がニューヨークに戻ったこともあって、昔のアレンのシニカルで軽妙洒脱なコメディに立ち返った、という感じ。『アニー・ホール』系。

 主人公ボリス(ラリー・デヴィッド)は天才物理学者で専門は量子力学。かつてはノーベル賞候補にもなったという過去を持つ、人生に絶望した毒舌ペシミスト男。笑って笑ってちょっぴり痛くて、でも幸せならば何でもイイ!と明るさを漂わせてくれます。原題"Whatever works"は“うまくいくなら、何でもアリ”って意味。世間体だの、一般常識から外れてるだの、気にすることないさ!うまくいってるなら、それもアリでしょ!
Whatever WorksWhatever Works
Various Artists

コトノハ
"When you least expect it, fate has a way of knocking on your door."
(思いもよらない時に、運命はやって来て扉を叩く)

 文字通りに扉を叩きます。"運命は思いがけず徒に動いてく"んですね(浜田麻里の歌詞だコレ)。話は運命の導きのもと、ころころと転がっていきます。理屈や必然性などお構いなしで。そこが面白いんだけど。

どんな映画?
 もうオープニングからボリスの語りが面白くて!観客をおちょくってる系のアレですよ。主人公ボリスを演じるのはスタンダップコメディアン出身のラリー・デヴィッド。笑顔一つ見せずに毒づくのだけど、どうにも憎めないとこがある。

 よく喋る皮肉なユダヤ人てとこは監督アレン自身に似ているけれど、傲岸な見下し系の皮肉屋なのが違うところ。アレンだと弱気で神経質で吃音でボソボソ喋る感じ。ボリスの場合は流ちょうな毒舌マシンガントークで人を馬鹿にする。もうこのボリスの悪態だけで面白い!

 このボリス、60歳ぐらい。ひょんなことから21歳の若い女の子(しかも美人)と同居生活が始まる。このネーチャン、メロディちゃん(エヴァン・レイチェル・ウッド)。ブロンドをツインテールにしてキャピキャピ。もう本当にアホの子なわけですよ。でも心優しく純朴で人柄は良い。何から何まで正反対の2人、年齢差とIQ差がありながらも割とうまくやってるわけです。シニカルなボリスとノー天気なメロディは凸凹コンビ!

 この主人公二人の他にも、“普通でない”カップルが続々出来上がっていく。でも、それでも良いじゃないか。どうせこの世は虚しいばかり。せめて好きに人を愛することぐらい、自由にさせてくれって。幸せなら、それで良いじゃあないの。同性愛を突然自覚したり、芸術家っぽい人は3人での同棲生活をしてうまくいっている(『それでも恋するバルセロナ』の3人みたいに)。人生、自分に正直に、自分なりの幸せを掴めば良い。

 アメリカではウケが悪いと思われるこの映画。なぜって、キリスト教に対して冒涜的とも言える態度だからさ。同性愛に非キリスト教、家族の崩壊ときたら、まあ嫌われても仕方ないタイプの映画ではある。そこは我々日本人としては笑ってうんうん頷きながら観れてしまうので、より楽しめる土壌が整ってるわけだ。

 メロディちゃんは南部出身の田舎娘。南部と言えば、根強い人種差別とかキリスト教原理主義(保守的なプロテスタントで聖書の字義通りにこの世ができたと信じたい人々。科学に否定的で学校教育で進化論を教えるな、と主張するような人々)。なので、ボリスにしてみたら南部の非科学的な田舎者めってことになるわけだ、メロディとその家族は。ボリスが天才物理学者なだけにさ。不確定性原理がどうの、観測者がどうの言う量子力学者ですよ、彼は。その辺りもきちんと描かれていて面白かったよ!

 うまくいくなら、何でも良いじゃないか。と、常識や世間をものともしない態度を示すこの映画は、アレン監督の言い訳のようにも見えてしまいます。アレンは若い頃2度の結婚を経て、現在は3度目の結婚。'92年、当時の恋人ミア・ファローの養子であるスンイー(韓国系)とデキちゃったわけだし。そりゃあ非難囂々ってもんですよ。ロリコンめ!それでも'97年(スンイー24歳)に結婚して今も二人は仲良く暮らしているし、二人の養子もいる。ミアにしてみれば業腹だろうけどなあ!まさか自分の養子と!って。

 そんなこんなで、いろいろ併せてとっても面白いコメディ満喫!『アビス』『風と共に去りぬ』『地獄の黙示録』『素晴らしき哉、人生』など映画ネタが多いのも楽しいよ。
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俳優は誰?
 主演のラリー・デヴィッドはスタンダップ・コメディアン出身。'90年代はTVシリーズ『となりのサインフェルド』の企画・製作で名を売り、2000年代はケーブルTVシリーズ『ラリーのミッドライフ★クライシス』で企画・製作に加え主演もして大人気なお方。

 メロディ役のエヴァン・レイチェル・ウッドは若手実力派!『プラクティカル・マジック』でニコール・キッドマンの子ども時代を演じてた子役。最近では『ダイアナの選択』『レスラー』『アクロス・ザ・ユニバース』など、透明感のある繊細な存在感が印象的です。本作ではそんな彼女の持ち味に加えてスットボケたノー天気さがとってもキュート!天然な良い子って雰囲気になってます。そんなエヴァンちゃん、私生活では19歳年上のロッカー、マリリン・マンソンと付き合っては別れています。3度目の別離が2010年8月。その後どうなったのかな?

関連作品のようなもの
風と共に去りぬ [Blu-ray]スカーレットとメラニー、どちらがお好き?ボリスはスカーレット派だって。
風と共に去りぬ [Blu-ray]
ビビアン・リー、クラーク・ゲーブル 他
アビス <完全版> [DVD]悪夢をみて「深淵(アビス)を見た」と言うボリスに「その映画観てないわ~」と答えるメロディ。
アビス <完全版> [DVD]
エド・ハリス、メアリー・エリザベス・マストラントニオ 他
素晴らしき哉、人生!【淀川長治解説映像付き】 [DVD]クリスマスのハッピー・ムービーの代名詞。ボリスはお好きじゃないようです。
素晴らしき哉、人生!【淀川長治解説映像付き】 [DVD]
ジェームズ・スチュワート、ドナ・リード 他
[図解]量子論がみるみるわかる本(愛蔵版)天才ボリスは量子力学が専門。量子のゆらぎだの観測者だの。
[図解]量子論がみるみるわかる本(愛蔵版)
佐藤 勝彦
インタビュー・ウィズ・シリアルキラー [DVD]レクター博士のモデルとなった連続殺人犯テッド・バンディの映画。
インタビュー・ウィズ・シリアルキラー [DVD]
ケイリー・エルウィズ、ブルース・グリーンウッド 他

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エクスペリメント 【目に見える 神がいるなら 思考停止】

tag サスペンス ヒューマン

『エクスペリメント』 The Experiment
2010年・アメリカ
ドイツ映画『es エス』のリメイク。実際の心理学実験をモデルとする。

 1971年に行われたアイヒマン・テストの一種、ロールプレイングを用いた心理学実験―スタンフォード大学監獄実験を元ネタにした映画。14日間の予定が6日目で中止を余儀なくされた、実験の倫理問題を扱う際に必ず引き合いに出される悪名高い実験。心理学を勉強すると絶対に教科書に載ってますよ。

 実際のスタンフォード大学監獄実験については、オリジナルのドイツ映画『es [エス]』の感想エントリに書いたので省略。興味のある方は読んでみてください。

 さて本作。イライジャ・ウッドも出演予定だったんだけど、撮影2,3日で降板しちゃったそうです。そんなわけでエイドリアン・ブロディとフォレスト・ウィテカーの一騎打ち的様相。

 オリジナル版と概ね同じキャラクター配置&イベント発生。けど、このリメイク版では主題がどうも違う。善悪の判断基準を何に委ね、どう行動するか、という点を描いています。なので不条理ホラーな展開になってしまっている印象を受けました。私はオリジナル版の方が好きだぜ。
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どんな映画?
 オリジナル版は、普通の人達が徐々に役割にはまり込んでエスカレートする話。なんと実験を行っていた側もハマッてしまったという実話のエピソードも盛り込んで、映画的脚色は施したものの大筋で事実に沿った内容でした。制服に服従する囚人チーム、与えられた権力を力一杯行使する看守チーム。普通の、その辺の、誰でもが、かかってしまう心理の恐ろしさ!

 で、このリメイク版は実話からちょっと離れたとこに存在している感。実験が始まると、実験者側が全く描かれず、その意図が不明。それが不気味さを醸し出し、狙いは何なのか、一体この光景を観ているのか、いないのかと被験者と一緒に不安な気持ちになります。この演出は、しかしながらラストにもやもや感を残すのみで、うまく働いていない気がしたな。これじゃ不条理ホラーじゃん!

 失敗の一因はフォレスト・ウィテカーがはまり過ぎたことにあると思う。看守チームに入るウィテカーは、手にした権力に酔い、箍が外れていく。その様子が、どう見てもサイコだ。あれー、この人は最初からソノ気があったんだー、やっべえ!としか思えないワケ。日常生活での鬱憤があったんじゃないか、家庭での抑圧された何かがあったんじゃないか。

 これ、そういう映画にしちゃダメだと思うんだ。ソノ気がない普通の人達が、異常な環境下で支配―服従の関係をエスカレートさせていく狂気が欲しいんだよ!人間心理の闇をエグらなきゃ!

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 でもね。このリメイク版で言いたいことは、そういうことじゃなかったっぽいんだ。被験者応募の面接テープが時折挟まれるのだけど、そこでは「神を信じるか?」「判断基準は何か?」といった問答が繰り広げられる。そう、善悪とか正誤の判断基準をどこに置くのか。そしてそれは絶対的に正しいのか。それがテーマになってますた。

 実験では赤いランプが神のような存在。点いたら実験は中止=間違い。点かなければ、それは正しいことをしている証拠。絶対の判断基準になってるわけだ。囚人チームに罰を与える、その罰はどんなものが適正か。罰を考え実行したのち、30分経っても赤ランプが点かなければ正しい判断と保証される。目に見えて自分の行いを判断してくれる赤ランプ!そして赤ランプへの依存が始まる。点かなければ、何をしても構わないのだ。責任転嫁ともいえるね。

 怖いよね。この映画は、たまたま実験という環境下で赤ランプ(の向こうにいるはずの実験者)が判断基準になっているけれど。これと同じ事は幾らでも現実に溢れているじゃないか。ヒトラー、宗教、聖書、国家元首、政府、チームリーダー、会社、先生、或いは親。赤ランプの様子を窺うように、彼らの様子を窺っていないだろうか。彼らの判断に盲目的に従っていたら、SSの二の舞。火事になった教会に人々を閉じ込めておけと命令されたら、その通りにするのか。自分は悪くない、これは秩序を守る為だ、と。自分は正しいのだ、と。

 誰にでも起こりうることで、私だってどんなにキレイゴトを言ってみても、いざその場になってみなきゃどんな行動をするのかわからない。役割、集団、権威、制服、命令…。普段の自分なら決してしないことも、してしまう可能性はいつだってある。
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関連作品のようなもの
es[エス] [DVD]オリジナルのドイツ映画。これは面白いよ!
es[エス] [DVD]
モーリッツ・ブライプトロイ、クリスティアン・ベッケル 他
フルメタル・ジャケット [Blu-ray]この映画の鬼軍曹みたいって台詞があった。この映画も戦争という状況が人間を変えてしまう。
フルメタル・ジャケット [Blu-ray]
マシュー・モディーン、リー・アーメイ 他
若き勇者たち [DVD]彼女が父親に繰り返し見せられた映画として登場。これも非日常空間(戦争)でのサバイバル。
若き勇者たち [DVD]
パトリック・スウェイジ

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ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 【もう誰も 守ってくれない 闘いに】

tag ファンタジー サスペンス

『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』 HARRY POTTER AND THE DEATHLY HALLOWS: PART I
2010年・イギリス=アメリカ
人気シリーズ最終章の前編!3D上映は中止。

 いよいよ終わりが見えてきたハリポタ・シリーズ!最終章は2本に分かれています。ああ、これ観ちゃったらもうあと1本で本当に終わりだと思うと寂しいな!映画化が始まったときは7年なんて長いと思ってたのに。時が経つのはマジはえぇ!

 10月に入って急遽3D上映の中止が決定され、えっらい驚いたものでしたが。現状、ハリウッドで3Dコンバート(変換)の技術を持った工房がまだ少なく、その中でも巧い工房は少ししか存在しないわけで。フル回転で作業しても納得のいく出来にはならない、上映日に間に合わない、と判断した模様。ここら辺は今後の技術革新と巧い工房増加が待たれますね。

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 原作もそうですが、回を追うごとにどんどん世界はダークになりシビアになり怪我人死人がじゃんじゃん出る。本作は今までで一番ダークで、息詰まる展開ですよ。また、パート1だけでは説明のつかない現象なんかもあるので、あれ?と思うかもしれないけど、そこはパート2を待たれよ!

パート2は2011/7/15日本公開。たぶん今度こそ3D。
ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 1 [DVD]ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 1 [DVD]
ダニエル・ラドクリフ
ルパート・グリント 他

コトノハ
"I won't pretend to be your friend, Mr. Potter. But I'm not your enemy."
(私はキミの友達とはいえないけれどね、ポッター君。それでも敵ではないんだよ。)

 魔法省大臣ルーファス(ビル・ナイ)の台詞。このシリーズの素敵なところは、複雑な人間関係。それぞれが抱える思いがあって、信念や愛の対象の為に行動をする。だから必ずしもハリーや故ダンブルドアを好きでなくとも、考え方や方法が違っていても、アノお方の支配を妨げたい気持ちは一緒。

今回の画像はマグルハブから。たくさんダウンロード画像があるよ!これはルーファス。
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勿論、無償の友情・愛情の無敵さだって描かれているけれど。それだけじゃ割り切れない葛藤もありつつ、目的を一にする者同士がある点で協力する。そういう心理の複雑さが魅力なのよね。味方であっても、ある面ではネガティブ要素があったり、人によって人物の評価が違ったり、態度が違ったり。人間の多面性をきちんと描写してる原作小説が大好きさ。

どんな映画?
 3D上映を予定していただけあって、ソレっぽいシーンが幾つかあったよ。蛇のナギーニがグワっとお食事するシーン、魔法省での奥行きの感じられる会見シーン、マッドアイが魔法で作った侵入者を脅かす仕掛けのシーンなど迫力たっぷり。これ3Dで観たかった。いやでも、実際3Dで観るには上映時間が長すぎて、鼻や耳が心配ではある。

ヴォルデモートのは虫類顔。たぶんメガネかけられない。
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 さて。ハリー達3人は、もうホグワーツには戻りません。誰も守ってくれない、どこも安全じゃない。そんな世界を相手に、方法も判らずに立ち向かうのみ。ヴォルデモートを倒すため、ダンブルドアの遺した手掛かりを辿って自分達だけで考え、身を守り、攻撃しなくてはなりません。そんなわけでこのパート1では、ほとんどこの3人の外界での冒険。

 オープニングは、ハーマイオニーがマグルの両親を守る為に切ない魔法をかけるシーン。今まで大人達に守られてきたハーマイオニーが、今度は愛する家族を守る番です。にしても哀しい。ハーマイオニーというキャラクターが、私は一番好き。原作中では、どんなにオカシク見えてもいつだって正しく状況を把握し、正しい判断をするのは彼女。

ハーマイオニーはいつだって正しい。理知のシンボル。
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ハリーは宿命と勇気。ただの良い子ちゃんじゃなく負の要素も抱えてるのが良い。
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ロンは魔法界の案内人。家族、友情のシンボル。
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 毎年、ダドリー家から始まり、ホグワーツに向かい、何か事件があって1年が終わるパターン。でも今回は、ヴォルデモートの力が人間界にまで及び、ダドリー家の面々は逃げ出します。勿論ハリーを置いて。一方、ハリーを安全な隠れ家に移動するため、魔法界の皆が総出でコトを起こすよ。

ハリーがいっぱい。ワロタ。
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 今まで共に戦ってきた友が死に、悲しむ暇もなく冒険に旅立つ。ので、学友や先生方など大人達はほとんど出てこない。だから立派になったネヴィルは今回、登場しない。食えない男スネイプ先生も冒頭にチラリと出るのみ。ちょいと寂しいね。でもたぶんこの二人は次作で活躍を見せてくれるはず!特にスネイプに関しては、どこまできちんと描いてくれるか楽しみ。

スネイプ先生、今回は出番少ない。
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 見所は魔法省潜入ミッションとか、逆魔女裁判とか、ハーマイオニー拷問シーンとか。あ!劇中物語の『三人の兄弟』のとこも良かったですな。でも一番は、ロンとハリーの対立に挟まれるハーマイオニーの苦悩でしょう!恋愛と友情と世界の危機を客観的に判断して行動するも、苦しい胸の内。萌え~。

頼れる女、ハーマイオニー。
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 7つに分かれたヴォルデモート卿の魂を一つ一つ見つけて破壊せねばならない3人。一つは本人だから、見つけるべきは6つ。今までに2つ(日記帳、指輪)破壊してあるから残り4つ。この1巻で4つ探し出して破壊して、本人に対峙するのかい!って原作読んだとき思った。しかも全然発見できないし!これ、本当に終わるの?って。それは映画版でもまったく同じで。そりゃあロンもイラッとくるよね。

HP7_1sht_DOM129343931978108430.jpg 加えて、タイトルになっている死の秘宝3点セットなんて問題が出てくるんだもんね。一つはハリーの持ち物インビジブル・クロークで、ホグワーツでよく使ってたんだけど。あれ?映画版では使ってない…?校長から貰うシーンはあったけど。

 しかしまあ、それもこれも、夏に上映されるパート2ですっかりカタが付くわけで。気持ちが盛り上がるわぁ!

 あれかな、来年のクリスマス前あたりにハリー・ポッター全巻セットブルーレイBOXとか出ちゃうのかな?一度全部通しで観たい気もする。けど、原作をもう一回初めから読み直すのも良いわね。原作読者は英語版で読んでみるのもオススメですよ!簡単だから!

 あ、ひとつ気になったこと。原作よりも男女関係がススンでるなあってのが少しむず痒かった。ジニーとハリーはあそこでキスしちゃいけないんだ!とはいえ面白かったから良いけど。カップルと言えば、リーマス・ルーピン&トンクスのカップルも何かありげなこと言いかけましたな。これ伏線。

お屋敷妖精ドビー。私、似てるって言われんの。
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関連作品のようなもの
吟遊詩人ビードルの物語 (日本語版)作中に出てくる「3人の兄弟」を含む物語が載った本。ダンブルドアがハーマイオニーに遺した本。
吟遊詩人ビードルの物語 (日本語版)
松岡 佑子
「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)原作の日本語版は上下巻セット。
「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)
J. K. ローリング
Harry Potter and the Deathly Hallows (Harry Potter 7)(UK)英語版(英国)。平易な英文なので読みやすいですよ。
Harry Potter and the Deathly Hallows (Harry Potter 7)(UK)
J. K. Rowling
The Complete Harry Potter Collection Boxed SetUK版ハリー・ポッター・ボックス。原作本(英語)7冊セットで¥7,530はお得!
The Complete Harry Potter Collection Boxed Set
J. K. Rowling
Harry Potter Boxed Set: Books 1-7こちらはアメリカ版の原作7巻セット・ボックス。ハードカバーで豪華!
Harry Potter Boxed Set: Books 1-7
J. K. Rowling

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アメリア 永遠の翼 【共に飛ぶ 私が翼 あなた風】

tag ヒューマン 歴史 恋愛映画

『アメリア 永遠の翼』 AMELIA
2009年・アメリカ=カナダ
女性飛行家アメリア・イアハートの伝記。

 リンドバーグの大西洋単独無着陸飛行から間もなく。リンドバーグっつっても、今すぐ~キスミー~ウォウウォウ♪じゃない方ね。1928年、大西洋横断飛行を成功させた初の女性、アメリア・イアハート。女性の地位向上活動や、その後の更なる飛行チャレンジで全米を熱狂させた、文字通りに飛んでる女!

 アメリア・イアハートと言えば、博物館の展示たちが命を持って動き回るコメディ『ナイト ミュージアム2』にも出てきました。アチラではエイミー・アダムスがイキイキと演じていましたが、本作ではヒラリー・スワンクがなりきり演技!映画中に実物のアメリアの写真が出てくると、そのソックリさに驚きます。と、いうことはだ。マット・デイモン=アメリア・イアハートか。

 ここで描かれているのはアメリアの自由な精神と、彼女を支えた夫パットナムの深い愛。アメリアの過去や、パットナムの離婚した家庭、国内レースでの出遅れエピソードなどはバッサリ切り捨てて語りません。女性の社会進出を推進した、進歩的で愛すべきアメリアという人物像を知ることの出来る映画です。夫婦の愛情物語でもあるしね。
Amelia (Score)Amelia (Score)
Various Artists

コトノハ
"For me, anywhere you are."
(僕にとっては、キミのいるとこさ)

 「家に帰ろう」と言われて「家ってどこ?」と問うアメリアに、こう答える夫の素敵さよ!当時、こんな風に自由に夢を追い危険を冒す女性の帰りを待っている男性なんて、そうそういなかったことだろう。ただ無事を祈って待つことは辛いけれど、夫パットナムは全力でサポートして、帰りを待ってくれた。

演じるリチャード・ギアの包み込むような優しい表情が良いですぞ。とにかくギア様の深い愛情を湛えた男らしさ、懐の深さにカーッ!惚れるね!

どんな映画?
 映画はアメリアが、編集者パットナムのもとに呼ばれて訪問するところから描く。大西洋横断をやる気はあるか?その体験記を出版すればパットナムは儲かる。かくして、パットナムはアメリアの後見人としてパトロン探し、資金調達、広報活動に勤しむことになる。アメリアが翼なら、パットナムは彼女を飛ばす風といったところ。

 映画は単に時間軸に沿って人生を追いかけるのではなく、アメリアの最大の挑戦―赤道上世界一周飛行の開始から終了までを縦軸として、そこに至るまでの過去をミルフィーユ状に挟み込む構造になっています。世界一周に使われた機体は銀色のロッキード・エレクトラ。場面転換して機体が銀色なら、それは世界一周飛行の描写です。(それまでは赤、オレンジの機体)

 飛行そのものよりも、アメリアとパットナムの夫婦の在り方が面白く素敵だった。自由なアメリア、尽くすパットナム。そしてアメリアの新たな恋。空を飛ぶ者同士で気の合うヴィダル(ユアン・マクレガー)に惹かれるのも理解できる。まあでも、パットナム可哀相。耐えるパットナムがまた素敵。とはいえ、アメリアとパットナムの信頼関係が建て直されたとき、ヴィダルに対してのアメリアの態度にちょっとムカっときた。

 金策や離陸失敗、ヴィダルとのロマンスなど、輝かしくない面もしっかり描いてくれたのはとても良かった。弱気になるアメリア、理解して励ます夫。アメリア人気を高めるために裏であれこれ画策する夫の姿とか、いやらしくて泣ける。それでも、どんな事があっても力強く前進して、飛ぶことを楽しむアメリアは清々しい。

 冒険前の別れ際に夫が必ず言う"See you"(じゃあまた)の言葉も重たくて。帰ってこいよ、ええいつだって、なんて短い会話もまたジーンとくる!飛び立つアメリア、見送るパットナム。いろいろあったけど、素敵な夫婦になったじゃないか。2人の関係性の変化もまた映画の見所。史実ベースなだけに結末が既にわかっている分、一層切なさが増すというもの。(知らない人のためにココでは詳述を控えます)

 女性の社会進出、資金集めでCMに出たりブランドを作ったり、といったとこが『プリティ・リーグ』を思い出した。アチラは戦争で選手がいなくなったから女子でプロ野球やる話なんだけど、すごく面白いからお薦め!

 飛行士仲間としてクリストファー・エクルストンやアリスのミア・ワシコウスカもちょっとずつだけど出てるよ!ミアは『ジェーン・エア』の映画化で主演する次作が超楽しみ。

《アメリア・イアハート参考サイト》
かなり詳しい⇒wikipedia ―アメリア・イアハート
映画の後の足跡を辿る⇒アメリア・イアハートを探して!
英文公式サイト⇒The Official Website of Amelia Earhart

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関連作品のようなもの
ラスト・フライトどうも絶版の様子。最後の飛行記録を夫がまとめた本。
ラスト・フライト
アメリア イヤハート
アメリア・イヤハート―それでも空を飛びたかった女性 (愛と勇気をあたえた人びと)伝記本。
アメリア・イヤハート―それでも空を飛びたかった女性 (愛と勇気をあたえた人びと)
リチャード テームズ
Amelia Earhart: The Final Flight [VHS] [Import]ダイアン・キートンがアメリアを演じた映画も。日本ではVHSのみ、廃盤『ラストフライト』。
Amelia Earhart: The Final Flight [VHS] [Import]
Diane Keaton、Rutger Hauer 他
ナイト ミュージアム2 [Blu-ray]博物館で蘇った、エイミー・アダムス演じるアメリア。大いに飛んでます。
ナイト ミュージアム2 [Blu-ray]
ベン・スティラー、ロビン・ウィリアムズ 他

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GAMER 【肉体を レンタルします 操れます】

tag アクション SF スプラッター 動画付き

『GAMER』 GAMER
2009年・アメリカ
『アドレナリン』のネヴェルダイン&テイラー監督、脚本のSFアクション。

 我が愛しのジェラルド・バトラー主演!ジェリーってば、ロマコメづいてたからさ-。こういう男臭いムンムンのアクション、久しぶりじゃないですか~?そりゃあ喜んで観ますともさ!しかもサイバーパンクなSF設定じゃあないですか。大好物や、うえっへっへ。

 まあ、蓋を開けてみたら、SF分がオマケみたいなものでしたけどね。普通にアクション映画です。コール・オブ・デューティを人間の体使ってやってるゲームみたいな。他人の体を使ってやる実弾のサバゲーみたいな。映像やアクションや音楽やジェリー(バトラーのこと)は大変に素敵でしたわよ。映像は本当に凄いから!

 余計な期待はせずに、B級アクションを楽しむぞ!って気持ちで観て頂きたい。あとグログロ血しぶきなので、苦手さんはお気を付けて。血飛び、肉躍る。ノリとしては『レポゼッション・メン』みたいなグロ・ユーモアです。監督のネヴェルダイン&テイラーのコンビは3Dで撮りたかったのだけど、予算がおりず諦めたとか。お金は大事だね。

 ジェリー主演の、次の日本公開作品は『完全なる報復』2011/1/22~公開!これもまた男臭いリーガル・アクション!共演はジェイミー・フォックスですよ。以前のエントリを参照くださいな。
今冬11月~1月に観たい男前映画
Gamer (Score)Gamer (Score)

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キック・アス 【飛べずとも お前のケツは 蹴り飛ばす】

tag アクション コメディ 犯罪 スプラッター 青春

『キック・アス』 KICK-ASS
2010年・イギリス=アメリカ
マーク・ミラーのアメコミ原作。原作とは同時進行での製作。

 もうすぐ公開!キック・アス!ってことで、昨日試写会で観てきたよ。スーパーヒーローもの、アメコミものが好きなら苦しい程に楽しめること間違いなし。そういうのは別に好きじゃなくても、エグい映画が好きなら笑っちゃうはず。私はとても面白かったですよ。エグエグ・アクション・コメディ!原題は“超クール”みたいな意味。

 面白いんだけど、過激なものがあるので、東京では渋谷単館上映。上映館数が少ないのはまあ仕方ないかなあ。我らがシネマ・イクスピアリでは12/18~2週間限定上映するってポスター貼ってありましたよ1/15から2週間限定上映の模様。舞浜サーバー、万歳!ただ、キック・アス公式サイトの上映館情報ではイクスピアリでの上映1月からになってるのよさ、どうなってるのかね?
キック・アス 劇場情報

 素人スーパーヒーローの等身大の活躍に、ちょっと異常な親子とワルい親子が絡むコメディです。血しぶき散って、銃やバズーカどかんどかん。猫のMr.バイティーも可愛いよ!
Music from the Motion Pictureサントラ
Music from the Motion Picture
Henry Jackman、 他

コトノハ
"With no power, comes no responsibility."
(力がなければ、責任は伴わないのか)

 『スパイダーマン』で「大きな力には責任が伴う」って台詞があるので、それに対してのアンチテーゼ。力のない普通の人でも、出来ることはあるだろうと。ノブレス・オブリージュを一般化して、皆が自分に出来ることをやったら良いよね。

どんな映画?

今回の画像はコチラコチラから壁紙ダウンロード。
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 正義感だけは人一倍強い非モテ系オタク高校生デイヴ(アーロン・ジョンソン)は、スーパーヒーローになろう!と決意。緑色のウェットスーツをたるたるに着込んでキックアスと名乗り地道なヒーロー活動をする。

キックアス。いつもボコボコにやられてますが。
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 そんな中、キックアスが出会うのは変な親子のヒーロー。その本物さ加減にドン引きするキックアス。父親はビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)と名乗り、バットマンみたいなコスチュームをしている銃の名手。その11歳の娘(クロエ・モレッツ)はヒットガールと名乗り、めっぽう強い。

バットマンみたいなビッグ・ダディ。
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 ビッグ・ダディの過去バナはアメコミ仕立てで見せてくれます。こういうの、『REPO! レポ』でもあったな。この親子のやり過ぎ感、躊躇しない感がまさにアメコミの抱える闇の部分。正義とは何か、裁く権利があるのか、その行為は本当に正義か、自らの執念でしかないのではないか。

小さい女の子が品の悪い言葉遣いで暴れまくる!
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 とにかくアメコミねた、映画ねたが沢山出てくるのが嬉しい。「俺、ウルヴァリンみたい!」とか「ジェイソン・ボーンみたいだ!」とか「市長に連絡して夜空にサインを照らすのね」(バットマン)とか「アグリー・ベティを全話見た」とか、「『スコット・ピルグリム』は読んでるわ」とか。『スコット・ピルグリム VS ザ・ワールド』もコミック原作で映画化(エドガー・ライト監督)されたけど、日本公開どうなっちゃったかなあ?今年中に日本公開予定だったのだけど。コチラのサイトで劇場公開を求める署名活動してますので、興味があったら見てくださいな。

 おっと横道それた!『キック・アス』はマーク・ミラーの書いた原作コミックの日本語版も出版されましたよ。映画版の製作当初はまだ話が終わってない段階だったので、原作と映画版では展開が違うとのこと。原作は更にエグいエピソードが盛り込まれているようですよ。

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 キックアスのヒーロー仲間、レッド・ミスト(クリストファー・ミンツ=プラッセ)や、ヴィランに相当するマフィアのボス(マーク・ストロング)など個性的な面々に囲まれて、キックアスは割と普通の男の子に見えます。特にマーク・ストロングは天然禿げモードで容赦なく大人げなく全力でヒーローを潰しにかかるよ!良いよ!

レッド・ミストは英国の言い回し“激怒する、カッとする”の慣用句にちなんで。
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 マシュー・ヴォーン監督の奥様はクラウディア・シファー。ビッグ・ダディがキックアスの前に登場するシーンで、超特大版の広告を背に立っています。その広告が、クラウディア・シファー!愛ですね。良いですね。そしてアメコミといえばスタン・リー!スタン・リーと言えばカメオ出演!本作にもカメオ出演なさってます。どこにいるか探そうぜ!

 アメリカで大ヒットしたので当然の事ながら続編の予定がありますよ。タイトルは"Kick-Ass 2: Balls to the Wall"で2012年公開予定!サブタイトルは“全力で、全速力で”の意味のスラング。パイロット用語で、エンジン全開最高速度を出すときに球状のレバーを壁際いっぱいまで押すことから。続編にはヒット・ガール、クロエ・モレッツ続投とのこと。楽しみですな。
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俳優は誰?
 ニコラス・ケイジのビッグ・ダディは良いよ!静かな狂気ですよ。そして真面目なユーモアもたたえていて最高!とりわけ「そんな高い武器を買う余裕はないだろう…」の件でワロタ。

 その娘ヒットガールを演じるクロエ・モレッツ(クロエ・グレース・モレッツ名義)も最高ですよ!キックアスよりバッドアス!バタフライナイフさばき、子どもらしい無邪気な笑顔で敵をなぎ倒すのが凄い。そんなクロエちゃん、『(500)日のサマー』で主人公のこまっしゃくれた妹役やってた子です。そしてスウェーデン吸血鬼もの『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウッド・リメイク版"Let me in"で吸血鬼アビーの役を演じてます。これ、すごく観たいの!予告編観たらめっちゃくちゃ楽しみになっちゃって、でも日本公開はあるのかしら。

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 悪いボス、マーク・ストロング様は本当に相変わらずお素敵でした!『シャーロック・ホームズ』でも悪役、『ロックンローラ』では裏社会の大物、『ワールド・オブ・ライズ』のハニ・パシャと、何かこう一定のイメージが出来上がっちゃってる感はあるけどな。その存在感は場面をかっさらう勢いなのよね!

 あ。主演のアーロン・ジョンソン君はジョン・レノンの若かりし頃を描いた青春映画『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』に主演。ええ、レノンの役で。

関連作品のようなもの
キック・アス (ShoPro Books)原作コミックは、違う展開を見せる。日本語版の単行本!
キック・アス (ShoPro Books)
マーク・ミラー
バットマン [DVD]ジョーカーの台詞が引用されてたり。バットマンねた結構あります。
バットマン [DVD]
マイケル・キートン、ジャック・ニコルソン 他
ウルヴァリン:X-MEN ZERO [Blu-ray]俺、ウルヴァリンみたい!って。
ウルヴァリン:X-MEN ZERO [Blu-ray]
ヒュー・ジャックマン、リーヴ・シュレイバー 他
シン・シティ [Blu-ray]『サンセット大通り』、『アメリカン・ビューティー』と並んで語り部が死んだ映画としてあげられる。
シン・シティ [Blu-ray]
ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク 他
28日後… [Blu-ray]ビッグ・ダディの襲撃ビデオを見るシーンでテーマ曲が流れる。
28日後… [Blu-ray]
キリアン・マーフィ、ナオミ・ハリス 他
カラテ愚連隊 [DVD]ジョン・ウーの初長編映画は?とビッグ・ダディが質問する。
カラテ愚連隊 [DVD]
ユー・ヤン、ティエン・ニー 他

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ノルウェイの森 【死と生と 光と闇と 愛と性】

tag ヒューマン 恋愛映画 青春

『ノルウェイの森』 NORWEGIAN WOOD
2010年・日本
村上春樹の1987年のベストセラーをトラン・アン・ユン監督が映画化。

 ノルウェイの森…と聞いて初めに思い浮かぶのはノルウェイジャン・フォレスト・キャット!村上春樹と角川春樹と村上龍の中で誰が好きかといえば角川春樹!この、時代を作った小説に、私は何の思い入れもない。

 私が中学生の頃にこの本が出版され、ベストセラーになった。本屋に行けば平積みで、クリスマスみたいな赤と緑の表紙が並んでいた。周りは熱狂していた。その頃の私は、シドニィ・シェルダンや氷室冴子にハマっていて村上春樹は読まなかった。大体、『ノルウェイの森』は官能小説だって言われてて、まだエロを受け付けてなかった純真な私には穢れた書物だったのだ。寝転がって炭酸を飲みながら、そんな穢れた本は読めない。

 というわけで、原作未読のまま今日に至り、そのまま映画を観てきましたよ!12/11からの公開なので、文芸映画好き、原作好き、雰囲気映画好き、マツケン好き、玉山鉄二好きは観に行くべし!ただし、エンタテインメントではないので注意。これは、生と死と性を描いた2時間超の詩の一篇。

 タイトルはビートルズの曲"NORWEGIAN WOOD"から。映画全体に流れる雰囲気が、雪に閉ざされた寒々とした常緑樹の森って感じだったので、そんな意味もあるのかな。迷い込んだけど森から出て春を迎える人もいれば、そのまま凍り付いて戻れなくなる人もいる。
ノルウェイの森 (松山ケンイチ 出演) [DVD]ノルウェイの森[DVD]
松山ケンイチ

どんな映画?
 高校時代に親友キズキ(高良健吾)が自殺し、心に傷を負ったワタナベ(松山ケンイチ)。彼は東京の大学に進む。キズキの幼馴染み兼恋人だった直子(菊地凛子)もまた深く傷つき。二人は偶然、東京で再会する。

バイバイ、ママ [DVD] キズキとの3人の高校時代の描写から映画は始まる。仲の良いカップルと、その親友。キズキがなぜ自殺したのかもわからない。17歳で、何を思ったのか。または、理由なんてなかったのか。置いていかれる恋人・直子のことを少しでも考えたのだろうか。この自殺シーンは、ケヴィン・ベーコン監督作『バイバイ、ママ』(左画像)を思い起こした。

 そして東京。1969年。大学内では学生運動が盛んで、ワタナベのルームメイトもまたのめり込んでいた(ここにも死の影が散りばめてある)。ワタナベはそれを横目でチラと観るだけで、そこに何の意味も見いだせない。一人読書に耽る。それはたぶん、答えを探していたんだろう。キズキの死を受け止めるための答えを。

 ワタナベと直子の恋は痛々しく、彼らを繋ぐのは死んだキズキの存在。キズキの話はしなくても、二人の間にはいつも横たわっていただろう。直子は20歳の誕生日にワタナベと寝たことをキッカケに、どんどん精神のバランスを欠いていく。ワタナベの前から姿を消し、療養に行ってしまう。ワタナベにとって、直子はとんだ地雷女じゃないか!

 直子への思いを抱えつつ、大学で出会った生命力に溢れた女性・緑(水原希子)にも惹かれるワタナベ。直子とは、あらゆる意味で対照的な緑。直子は死、病、過去、闇、哀しみ、愛への疑問、不安、内向き、ミステリアスといった言葉で語られるとしたら。緑は生、健康、未来、光、喜び、愛を肯定、安らぎ、外向き、明け透けといったところ。直子は死に取り憑かれているが、緑は命そのもの。そう、ちょうど5月の新緑のようにね。

 直子も緑も、大事な人を亡くしたという点は共通してる。直子はそれを受け容れられず、緑は受け容れた。もちろん、17歳で自殺されてしまったのを受け容れるのは相当にキツいことで、比べるのはフェアじゃないけど。自殺が罪なのは、遺された者が苦しむからだよ。

 全編死の影に包まれ、でもそこでもがくワタナベを通して生きる希望、生き続けることを選んだ人間の強さが感じられる。大したストーリーでもないのに、ミニマルな世界なのに、この映画には感情の振り切れるサマがありありと描かれている。言っちゃなんだが“雰囲気映画”なのに、心の奥を揺すぶるものがある。映画は総合芸術。本作は、映像や音使いや俳優の演技すべて合わせたときに最大限強い力が発揮される、そんな映画だった。AKB48が一人一人でで見ると大したことないのに集団で動いてると可愛く見えるのと一緒か。あ、誰か敵に回した?

 明るくイキイキした緑色の映像、一面の雪、ふわりと舐める山脈、草原をわたる風の音、降りしきる雨音。すべてが美しい(撮影はリー・ピンビン!)。ライティングもとても美しく、暗がりでの青みを帯びた映像は艶めかしい。光り輝く木々、陰のかかる表情。室内の暗さ。この陰影は素晴らしい!流れる弦楽器の音もまた哀しい。

 ワタナベの先輩永沢(高貴な魂を持った俗物)役に玉山鉄二。その恋人ハツミ役に初音映莉子。サイドストーリー的に語られるこの二人の関係もまた哀しい。ハツミがワタナベを詰問するシーンは凄かった!ワタナベに向けて永沢への疑問を口にしているのだ。愛は人を生かし、愛は人を殺す。愛のために生きるのか、愛のために死ぬのか。

ベロニカは死ぬことにした [DVD] 直子の心の病や、療養所の描写を観ると、どこかパウロ・コエーリョの『ベロニカは死ぬことにした』を思い起こした。あれも、生と死、愛と性を描いていたな。映画版(左画像)はなぜか日本映画で、主演は真木よう子!おっぱい!映画版の雰囲気はこの『ノルウェイの森』に似て“雰囲気映画”になってたよ。

 ところで、2回出てくる、部屋でチープなプラスチックのミニテーブルに食べ物を置いて床に座って食べるシーンはベトナムっぽかった。これは監督がベトナム系だからなのかな。特に緑の家で食べるシーンは、家屋や景色の雰囲気も含めてベトナムっぽかったぞ。

 小説の台詞をそのまま台本にしたような台詞はちょっと上滑りしてたけど、それもこの映画の味なのかもしれない。で、官能小説って言われてたのは、あながち間違っちゃないな、と納得したりもした。すぐに「やった、やらない」とか言い出すし。やたらに性が人生問題に絡んでくるのが、私にはしっくりこなかった。愛と性は切り離せないとはいえ、そこまで?って思いでいっぱい。

 いやあ、それにしても松山ケンイチ凄いな。感情抑制から終盤にバツンと弾けて、そこからまた空虚に戻り、愛の渇望へと走るあたり。直子の存在のお陰で、ワタナベはキズキの死を乗り越え。緑の存在のお陰で、生きることを選べた。緑の強さって、一体どこからくるんだろう?自らが強くあることで、他人をも強くする。それは素晴らしいことだ。
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関連作品のようなもの
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)官能小説と言われて、手に取ることもなかった原作。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)
村上 春樹
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)表紙は赤と緑で、正反対の色を表す。危険な赤、安らぎの緑。
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)
村上 春樹
ノルウェイの森 公式ガイドブック (1週間MOOK)ガイドブックまで出たぞ!
ノルウェイの森 公式ガイドブック (1週間MOOK)
アミューズメント出版部
ノルウェイの森 オリジナル・サウンドトラックレディオヘッドのギタリスト、グリーンウッドが音楽担当!
ノルウェイの森 オリジナル・サウンドトラック
サントラ、カン 他
The Beatles 1962-1966映画にも出てくる「ノルウェイの森」"NORWEGIAN WOOD"を収録。
The Beatles 1962-1966
ザ・ビートルズ

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リトル・ランボーズ 【共に観る 父を知らない 子らの夢】

tag ヒューマン コメディ 青春

『リトル・ランボーズ』 SON OF RAMBOW
2007年・イギリス=フランス=ドイツ
『ランボー』を観て映画作りを始める子ども達の友情。

 舞台は1982年英国郊外。主人公は11歳の少年ウィルとリー・カーターの二人。『ランボー』を映画泥棒したカーターと、ひょんなことから彼の家で『ランボー』を観たウィル。一緒に映画を作って育まれる絆。ランボーへの憧れは、彼らに欠けた父への憧憬。

 スタローンの『ランボー』を観ておく必要はまったくない!少年達がジャングルでサバイバルするような映画でもない!子供の友情物語をユーモアたっぷりに描いたもの。たくさん笑って、なぜだか涙も出ちゃうような、そんな素敵な映画です。

 エンディング・クレジットが流れる中、ウィルとカーターの短い会話が声だけ挟まれます。これもまたキュート!本編が終わってもすぐに席を立っちゃダメよ。ジュヴナイルものの傑作といって過言でないよ!
Son of RambowSon of Rambow
Various Artists

コトノハ
"Good morning, Lee Carter. I'm here to help you!"
(おはようございます、リー・カーター!お手伝いに来ました!)

 張り切って、映画のコスチュームを着てカーターの家の玄関に現れたウィルの台詞。躾けの良い子なので、言葉使いもとても良い。ウィルの俗世間離れしたイノセントが、ズレてて可笑しい&可愛い!抑圧されてきた子が初めて映画を観てヽ(´ー`)ノハジけちゃった感が、喜びが迸る様子を見ていると楽しい。

どんな映画?
 '80年代の英国!この雰囲気だけで素敵ですが、一貫して子どもの目線で描かれているところが素晴らしい。想像の世界はもちろん、二人の家庭の問題もあくまで子どもらしい理解でさらっと描かれている。そこが、深刻にならず笑って観れて、だけど心を揺する所以なのかも。

本家公式サイト日本公式サイトの壁紙ダウンロード画像を使用。
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 ウィルは厳しく世俗の娯楽を禁じられている教会に所属し、TVも映画もポップスもダンスも禁じられている。学校の授業でTVを観るときは廊下に出て待っていなきゃならない。リー・カーターに出会ったのも、一人廊下でTVが終わるのを待っている時だった。カーターは先生達が頭を抱える問題児!このミスマッチな少年コンビが面白い。

 ウィルの家庭が信仰しているプリマス同胞派(キリスト集会)は、英国で起こった宗教運動で牧師や聖職者を置かずに教会活動をするもの、だそうな。プリマスはこの運動が発展した土地の名前。映画で描かれたように、世俗的な娯楽を禁止し慎ましく暮らす人々。そんな同胞派の中でもいろいろ分派があり、集会によっても規範が違うようです。中にはインターネットの使用を禁じる閉鎖的な分派もあるそうな。

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 この二人の他に、ちょうどフランスからの交換留学生が来ていて、そのいつもとは違う興奮も描かれている。真面目で地味なフランス生徒が次々バスから降りてくる。でも最後に衝撃的な生徒ディディエが姿を見せる。英国の生徒達はみんな彼に夢中になる!

 ディディエのエピソードが二人の映画作りに絡んできて、話は転機を迎える。ウィルは最初、悪たれのカーターに刺激を受け、ワイルドに子どもらしく遊び、悪い事を無邪気に真似していた。次にはディディエの大人っぽいパンクな遊びを覚える。ディディエのお気に入りのウィルは、ディディエの子分達の尊敬も受けられる。対して、カーターは相変わらず悪ガキのハミダシ者扱い。生じる亀裂。

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 イングランドでは義務教育が16歳まで。そのあと大学受験に必要な勉強をするシックスス・フォームなる段階がある。映画に出てきた上級生用のコモン・ルームは、シックスス・フォームの生徒専用。授業がないときなどココで過ごすんだそうだ。詳しくは下記リンク【イングランドの教育制度】の項を参照。
イギリスの教育 (Wikipediaより)

 ウィルを演じた子はフレッシュでイノセントで天然ぽさが凄く良かった!カーターを演じた子も本当に役にピッタリの悪タレ顔で、仕草も悪ガキで素晴らしかった!カーターの家の家業が老人ホームで、その利用者である老人との触れあいが少し描かれる。これもまた、あくまで子ども目線なので重くならない。そう、子どもの頃は世界がこんな風に見えていたなあって、胸がいっぱいになるような描き方なの。

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 ユーモア分で一番笑ったのが、カーターが自分にケチャップを塗りたくって、牛に「いつか付けられるよ」と毒づくとこ。子どもらしいよね!あと、香り付き消しゴム懐かしス!私もちょっと集めたなあ!板チョコとかソフトクリームとかの。美味しい匂い、するのよね。

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 この映画、もうラストの凄い凄さは本当に凄かった!なんてことない演出なのに、みんな笑顔なのに、観てるこっちは涙が出ちゃうんだ。兄弟がいる人には特にグッとくるかも。ちなみに、どこかに英国の監督エドガー・ライトがカメオ出演している模様。チラっと出てくる先生役とか。

 終盤、帰りのバスに乗るディディエの表情が良い。英国の子ども達には彼の存在が非日常だったわけで、熱病のように浮かれてたんだろうな。子どもって、そういうものだよね。一方、彼の存在が日常であるフランスの生徒達にとっては、彼は変人・負け犬的存在なのだろうね。ディディエの顔に広がる哀しみと寂しさが味わい深く、この映画にピリリとスパイスを加えていましたよ。
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関連作品のようなもの
ランボー [Blu-ray]夢中になるよね!カッコイイ闘う男に!
ランボー [Blu-ray]
シルヴェスター・スタローン、リチャード・クレンナ 他
アウトサイダー [DVD]交換留学生ディディエがパトリック・スウェイジの真似をする。
アウトサイダー [DVD]
C・トーマス・ハウエル、マット・ディロン 他
Yentl (1983 Film)ラスト、カーターが行く映画館で上映されている映画『愛のイエントル』。これはサントラ。
Yentl (1983 Film)
Michel Legrand
ニュー・シネマ・パラダイス [Blu-ray]どことなく似た雰囲気の映画。
ニュー・シネマ・パラダイス [Blu-ray]
フィリップ・ノワレ、サルヴァトーレ・カシオ 他

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デイブレイカー 【遅くない 今からだって 生きられる】

tag ヴァンパイア SF ホラー アクション スプラッター

『デイブレイカー』 DAYBREAKERS
2009年・オーストラリア=アメリカ
人類ほぼ吸血鬼、近未来SF。

 オーストラリアの双子監督ピーター&マイケル・スピエリッグのハリウッド・デビュー作。前作は異色のゾンビホラー×SFなオーストラリア映画『アンデッド』。とにかく展開が面白く、B級ホラー的な楽しみが盛り沢山だった。カウボーイ姿の冴えないオッサンが無駄に格好いいアクションしたり、尻丸出し+ブーツ姿になったりね。そんな『アンデッド』で名をあげて長編2作目にしてハリウッドへ進出!脚本も監督のオリジナルでござるよ。

 タイトルは“夜明け”を意味するdaybreak“~する人”-erを付けた造語。しかも複数形。明日を開く者達、みたいなニュアンスかな~と思います。夜明けまでには避難しなきゃならないヴァンパイアと、夜明けを見つめる私達人類。

 ヴァンパイアの食糧供給源である人類が激減し、懸念される食糧不足。解決策はあるのか?全体的にグレー、ブルー寄りの色調でスタイリッシュな映像ながら、人類側の拠点など所々で温かみのある色調に変わる。そしてシリアスなのに、どこかユーモラスな描き方。笑っちゃうほどのスプラッター・シーン。なかなかに完成度の高いSFだったよ。
DaybreakersDaybreakers
サントラ
Christopher Gordon
予告編のプラシーボの曲も収録!

コトノハ
"I'm already dead."
(私はもう死んでいる。)

 違うよ、お前はもう死んでいるじゃないよ!ヴァンパイアのエドワードは自分の体に生命を感じていないんだな。止まった心臓、新陳代謝しない肉体、変化のない日々。

どんな映画?
 舞台は2019年、コウモリから始まった人類ヴァンパイア化パンデミックが発生して10年後の世界。ヴァンパイア人口が95%に達し、深刻な食糧不足に直面している。食糧となり得る代用血液の開発が急務。人血の欠乏により予想外の混乱が巻き起こる。そんな中、ヴァンパイアの血液学者エドワード(イーサン・ホーク)は人類絶滅を危惧していた。

2019年と言えば『ブレードランナー』『AKIRA』も2019年の舞台設定。現実ではあと8年ちょっとですな。

画像はコチラのダウンロード壁紙!これは人血バンク。本編ではおっぱい出てます。
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 普通なら、こんな設定の映画を作ろうとする場合、少数派である闘う人間達を主役におきたくなる。ターミネーターとかみたいに反乱軍が主役な方が感情移入しやすいからね。それを敢えてヴァンパイア側に主眼を置くことで、複雑な心理描写に成功している。

 エドワードは人類の未来を案じ、できれば人血を飲みたくない、人間に同情と羨望の目を向けてる複雑なキャラクター。これが、演じるイーサンの悲哀に満ちた表情とマッチして何とも言えない雰囲気を醸している。

紫煙くゆらす姿が似合う俳優、イーサン・ホーク。
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 ヴァンパイア・パンデミックから、ほんの10年後の世界。だから、基本的に現在とあまり変わらず、大がかりな社会システムの変更もない。ただ活動時間帯が夜になり、日光を避けて暮らすように変化しただけ。人間牧場も、だから非常にお粗末。食糧資源(人類)を乱獲し、絶滅に追いやっている。ああ、なんか現実とカブるよね。なんで深刻になる前にきちんとシステムを作らなかったんだよぅ!と。まさにこれは私達の現実じゃないか。

 石油資源や食糧不足などに当てはめて考えると、とっても怖い。これぞ風刺精神溢れるディストピアSFの王道!文明批判、利益追求しか考えない企業、そのせいで起こる悲劇。この映画は、非常に正しいSF的文法を使いつつ、B級ヴァンパイア・ホラーのジャンル映画的楽しさを合わせたもの。しかも話がきちんと面白いぞ!

哀しいエピソードてんこ盛りで、そこら辺の痛快ハリウッド映画とはひと味違うぜ。

サブサイダー。
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 ヴァンパイアの特徴である、日光に弱い、鏡に映らない、首を切り落とすか胸に杭を打つと死ぬ、といった要素をしっかり描いているのがヴァンパイア好きには嬉しい。ただ、このヴァンパイア達には怪力や魅力といった人外パワーは備わってないみたいだ。なんだか人間とあまり変わらない、弱点が増えただけのか弱い存在。不老不死なだけで。

 世界がヴァンパイアだけになり、人類がいなくなったら。たとえ代用血液が出来て、人間の血液が必要なくなっても。人類のように新しい命を育むこともできない、止まった世界に耐えられるだろうか?同じ顔ぶれ、同じ日々、成長も老化もしない、そんな停滞は種として終わってないか。

 観ながら思いだしたのは『X-MEN』。ミュータントを治すキュアの話があって、人間に戻りたくなどない人達もいる。同じ事がデイブレイカーでも起きて、ヴァンパイアでいれば不老不死なのだから人間に戻りたくない人達がいる。これは進化の結果なのだ、治療の必要などない、と。どちらが正しいかはわからない。共存できれば一番素敵だと思う。

 コウモリ以外の動物が出てこないのは、動物にも感染してたからなのかな。ほら、大抵こういう映画って犬が相棒役で出たりするじゃん。犬も猫も鳥も出てなかった記憶。『アイ・アム・レジェンド』では犬が相棒、でも感染はする設定だった。あれって、鹿にも感染しないのかなあ?と疑問に思ったことがある。

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 キーマンであるプレスリーと呼ばれる男をウィレム・デフォーが演じていて、格好いい。最後の方なんか、颯爽登場!って感じでシビれたわい!デフォーは『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』『ダレン・シャン』で吸血鬼役やってたのが印象的で、だからこの役も深みが出てた。

 プレスリーの車に描かれたフェニックスは、灰の中から蘇る鳥(不死鳥)。死を乗り越えた先に新しく始まる命を表しているものと思われ、この映画のテーマにピッタリです。苦悶を経て、生き返る。

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 まあ、正午のカーチェイスが終わって下車するといきなり夜になってる、とか変なとこもあるけど。気にならないくらいに完成された世界観でした。何と言っても終盤のたたみ込みが秀逸!連鎖反応的に繰り広げられる希望という名の地獄。鳥肌もののカタルシス。人類の未来への揺るぎない希望。これは良いSF!

 全体の流れを見ると、スピエリッグ兄弟監督の前作『アンデッド』と同じ感じではある。でも一流の俳優起用、CGや造型レベルのアップ、グッと洗練された映像表現と、ハリウッド進出で予算もらえた感が満載で嬉しくなる。

 ひとつ残念だったのは、予告編で使われた曲が本編で流れなかったこと。世界観にマッチしてたのに。ケイト・ブッシュの曲"Running Up That Hill"をプラシーボがカバーしたもので、なんか良いんだよなあ。声はペットショップボーイズ似。
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俳優は誰?
 『デッド・カーム/戦慄の航海』『ジュラシック・パーク』サム・ニールが気持ちの良い悪役ぶりで製薬会社社長を演じている。これがまた良い!薄っぺらい悪者じゃあないのさ!そして凄惨な目に合うわけだが。サム・ニールがこんな目に!と半笑いで吃驚したよ。この方は英国人だけど、俳優としての活動拠点はオーストラリアでした。最近はアメリカ映画によく出てるけど。

 社長の娘役には反捕鯨・反イルカ漁活動で来日したりしてるオーストラリアの女優さんイザベル・ルーカス。彼女もまた哀しい運命を負っているのだった。『トランスフォーマー/リベンジ』でサムを誘惑するセクシーなディセプティコン演じてたなあ。

 エドワードの弟で軍人のフランキー役にはニュージーランド出身のマイケル・ドーマン。オーストラリアで活躍していてTVシリーズに出たり、“オーストラリアの明日のスター30人”に選ばれたりしている。本作では軍人の顔の下に孤独や愛情を抱えた、おいしい役ぞ!いやあ素敵だったなあ!これはもう未来のヒュー・ジャックマンと言って良いかもわからんね。

 レジスタンスの女性オードリーにはオーストラリア女優クローディア・カーヴァン

オーストラリア映画界の未来は明るいな!

関連作品のようなもの
地球最後の男 [DVD]吸血鬼になるウイルス蔓延で人類がほぼいなくなる設定は同じ。
地球最後の男 [DVD]
ヴィンセント・プライス、エマ・ダニエリ 他
シャドウ・オブ・ヴァンパイア [DVD]デフォーはヴァンパイア役がお好き。
シャドウ・オブ・ヴァンパイア [DVD]
ジョン・マルコヴィッチ、ウィレム・デフォー 他
ガタカ [Blu-ray]イーサン・ホークはコチラのディストピアでも悩んでいます。
ガタカ [Blu-ray]
ジュード・ロウ、ユマ・サーマン 他
グリーン・レクイエム (講談社文庫)収録されている13㌻の短編『週に一度のお食事を』はヴァンパイア・パンデミックもの。
グリーン・レクイエム (講談社文庫)
新井 素子
メッズ予告変後半で流れた曲"Running Up That Hill"収録アルバム。本編には使われてない。
メッズ
プラシーボ、マイケル・スタイプ 他

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