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宮廷画家ゴヤは見た

tag 歴史 ヒューマン コスチューム

『宮廷画家ゴヤは見た』 GOYA'S GHOSTS
2006年・アメリカ=スペイン
スペインの天才画家フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス(1746~1828年)を進行役に、異端審問からフランス革命余波の戦渦を生きる人々を描く。
これは秀作よ!

ゴヤの絵は「わが子を喰らうサトゥルヌス」とかおどろおどろしいものが好きさ。
(ルーベンスよりもグっとくるじぇ)
エンディングにはゴヤの描いた肖像画や「巨人」などの素晴らしい絵が次々に流れる。
映画の余韻に浸りつつ、スクリーンに浮かび上がる絵画を眺めるのは感無量。
よしよし、この間に涙を拭いておこう。

しかし公式サイトアドレスが、"goya-mita"(ゴヤ見た)って…。
宮廷画家ゴヤは見た [DVD]宮廷画家ゴヤは見た
ハビエル・バルデム
ナタリー・ポートマン

コトノハ


"If we find him, we remind him."
(彼を見つけたときには、思い出させるとしましょう)

ゴヤの描いた肖像画が教会に没収されるとき、ゴヤは「お代がまだです」と言う。
教会側は、描かれている人物を見つけたら伝えておく、という意味で上の台詞を言う。社交辞令!
意味はどうでも良くて、韻を踏んでいて面白い台詞だなぁと頭に残ったもの。

"Tell me what the truth is."
(真実とは一体何のことですか)

こちらは異端審問で拷問にかけられる少女の悲痛な叫び。
心に残りました。

どんな映画?
 宮廷画家ゴヤ、そのモデルの美少女、異端審問を指揮する神父の3人が織り成す悲劇。
異端審問に、ナポレオン軍の侵攻・統治に、フランス軍撤退に、翻弄される人々のどうしようもなく悲しい物語。そしてその悲惨さを絵に残すゴヤ。

 実在の画家ゴヤは、46歳で聴覚を失ったあと段々に精神を病んでいき晩年にはほとんど目も見えなくなっていたとか。そんなゴヤタンが本作ではまさに傍観者、目撃者、中立的な存在として中心軸になっておるよ。

 だけども本当に興味深い複雑な人物は、神父ロレンソ。教会の権威のために異端審問を強化すべき!と主張するのだが。
悪魔のような版画絵を描くゴヤのことは、なぜか庇い立てするのね。自分の肖像画を依頼しさえするのね。
神父ではあるけれど、世の中の醜悪さを冷静に見つめたり、絵画の魂が理解できたり、美少女に興味を惹かれたりする。なにかこう、俗っぽさの抜けない、脆さが透けて見える人なのだ。

 ロレンソの保身第一主義的な行動は、卑怯だったり滑稽に映ったりする。
でもこの時代を生きていくのに、彼は必死だった。何を信じれば良いのか、何を正しいとすれば良いのかを常に自問しているような人物なのよの。自分の守りたい何かのためには、他者を犠牲にするのも仕方がないという強い信念だけは持っていた。

ロレンソが最後に見たものとは?彼は後悔したろうか?いや、安堵したのではなかろうか。

 そんなロレンソと奇妙に繋がっていく、天使のような美少女イネス。
ロレンソが時代の波に向き合った動的なキャラクターであったのに対し、イネスはただただ波に飲まれるしかない静的なキャラクター。
ゴヤは彼女の庇護者の位置にいるが、どうにも救えないでいるモドカシサが観ていて切ない。イネスのために最善を尽くそうと動き回るゴヤタンを観ていると応援したくなる。

ラストシーン、イネスが幸福げに歩く姿を観ていると、何故か『モロッコ』のラストシーンが心に浮かんだ。
イネスの背中と、ディートリッヒ演じるアミーの姿が重なって見えた。
どこへ行こうというのか。愛ゆえに。
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俳優は誰?
歴史に翻弄される清らかな少女にナタリー・ポートマン。何でもミロス・フォアマン監督が「ボルドーのミルク売りの娘」(The Milkmaid of Bordeaux)に描かれた少女に似ていると思ってキャステングしたという。
似ているかどうかはさておき、とにかくすごいよ、ナタリー!
14,5歳の少女を演じてサマになっているのもスゴイが、牢から出された後の変わり果てた姿は更にスゴイ!ここまでやるとは思わなかったよ。彼女なしには、この映画がここまで魅力的にはならなかったろうな。

タイトル・ロールの画家ゴヤにはスウェーデン出身のステラン・スカルスガルド『パイレーツ・オブ・カリビアン』のウィルのお父さんビル・ターナーや、『ドッグヴィル』のセクハラ男チャックなど、渋い脇役俳優。
本作ではどこか掴みどころのない感じが良かった。

そして複雑なお方ロレンソにはスペイン俳優ハビエル・バルデム
『海を飛ぶ夢』の主役や『ノーカントリー』の殺し屋役が評価されている。
元ラグビー選手だけあって体格イイ!ガッッチリ!!
スペインのアカデミー賞っぽい賞、ゴヤ賞を4度も受賞しているそうです。ゴヤ!

関連作品のようなもの
ゴヤの生涯スペイン国営テレビで放映された大河ドラマ。ゴヤの一生を忠実になぞる。(DVD)
ゴヤの生涯
エンリク・マホー
裸のマハゴヤの絵「裸のマハ」にまつわる女たちの愛憎劇。ペネロペ主演の映画。
裸のマハ
ペネロペ・クルス、アイタナ・サンチェス=ギヨン
世界の歴史 (11)  市民革命とナポレオン : イギリスとフランスの激動  集英社版・学習漫画ナポレオン占領下のスペインの悲惨な描写は、ナポレオンが侵略者に他ならないことを感じさせる。
世界の歴史 (11) 市民革命とナポレオン : イギリスとフランスの激動 学習漫画
笈川 かおる、近藤 和彦
家政婦は見た!―石崎秋子のぞき見日記家政婦は見た!―石崎秋子のぞき見日記
「家政婦は見た!」制作スタッフ

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コメント


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とら次郎 | URL | 2008年10月21日(Tue)22:00 [EDIT]

こんばんわ。
コメント書き込みありがとうございました。

「わが子を喰らうサトゥルヌス」って知らなかったのですが、かなり衝撃の絵画ですね。びっくりしました。
映画も、面白そう。こういった芸術系の作品ってあんまりみないのですが、この作品は見てみたい気がしました。

ところで、リンクさせていただきました。よろしかったでしょうか?

>とら次郎さま。

P | URL | 2008年10月22日(Wed)09:15 [EDIT]

ゴヤタンの絵は奇怪なものが多いです。彼にはそういう風に世界が見えていたのだと思われます。本質の見えてしまう人、苦労が多そうですよね。
この映画は芸術系というよりか歴史に翻弄される人間ドラマだと思いますですよ。絵画はまぁオマケっちゃオマケかなぁと。

リンクは個人の自由ですのでお断りは不要ですよぅ。

管理人のみ閲覧できます

| | 2008年10月22日(Wed)11:16 [EDIT]

このコメントは管理人のみ閲覧できます

象のロケット | URL | 2008年10月28日(Tue)14:38 [EDIT]

毛玉リンクへの登録有難うございます。
端的で聰明、面白い記事ですのでTBも増えますね。

>象のロケットさま。

P | URL | 2008年10月28日(Tue)20:14 [EDIT]

面白いと言って頂けると嬉しゅうございます。
貴サイトの仕組みがよくわからず、各記事ごとにリンクした方が良いのかなぁとは思ったのですが、それも難しいので。リンク集に追加ということでお許しいただけたら、と思います。

nico | URL | 2008年10月31日(Fri)18:19 [EDIT]

あ~~~見逃したアタシのバカ(><;

今夜はウォンテッドのラスト回を見に行きたい塩梅。

>nicoタン。

P | URL | 2008年10月31日(Fri)20:50 [EDIT]

ウォンテッドは結構どうでも良いかもしれない。
コッチのほうが超お勧めなので、そのうちレンタルで観なさいよ。

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