2007年・アメリカ
子守の仕事を通して別世界である上流階級の暮らしを観察するアニーの自分発見ストーリー。
原題はナニー(子守)の記録。
君読む、痛きみ、ベガ恋、ゴヤ見たときて今度は“クマキレ”ですってよ、奥様!邦題も酷いけども、本当4文字に略すの好きねぇ。
もちろん公式サイトのアドレスもkuma-kire.comだ。
私がクマにキレた理由 [DVD] (特別編)〔初回生産限定〕 スカーレット・ヨハンソン ローラ・リニー |
"Now is the time, got to make up your mind♪"
(今がはっきり決めるとき)
アイルランド出身のローラ・イジボア(Laura Izibor)の"Shine"がエンドロールで流れます。なんか良いです。
アイルランドの保険会社(Hibernian Insurance)のCMソングにもなってたりするらしいですよ。
どんな映画?
大学を卒業したアニーは輝かしい未来に不安でいっぱいだった。前途洋々というのに怖気づいたわけだ。自分はどうしたいのか、悩んでいるときに偶然と誤解からナニー(子守)の仕事を始める。
アニーが学んでいた人類学の手法を踏襲するように、話は語られる。即ち、異文化である対象の観察。
上流階級の家に住み込み、一日中・週7日間の子守をするナニー。まるで奴隷を扱うかのような上流の奥様。バラバラな家族にいつも寂しい思いをしている男の子。まあ、本当にこんな生活をアタリマエとしているのなら、まさに異文化だな、と思う。
アニーがこの経験から学ぶことは、まさに人類学に起こるソレで。異文化を知ることによって自らの文化を知る、自分を知ることに他ならないわけだ。輝きすぎる未来が眩し過ぎて目を逸らしていた自分を自覚し、自分のこれからの人生をどう過ごすのが幸せかという疑問に取り組む。そんなアニーの気持ちがよく理解できる映画でした。
また、アニーとアニー母の関係も面白かった。アニー母は看護婦として働きながら、娘には自分のように辛い仕事はさせたくない、娘にはホワイト・カラーの裕福な人生を歩んでほしいと願っている。純粋な母としての思いなんだけど、娘にしてみれば「弱ったなぁ」といったところだろう。
ところで、舞台がマンハッタン・アッパーイーストサイドとくれば思い出すのは『マンハッタンで抱きしめて』(この映画の邦題もまったく内容を表していない酷さ)。子供こそ出てこないが、上流階級の暮らしに埋没していた女性が離婚を機に自分の生き方を建て直す映画です。
主人公は中年女性だけど、クマキレの新卒女子的に人生ステージの変化を時間をかけて受け入れていくと言う意味で共通する。そしてクマキレの上流主婦ローラ・リニーはどこか『マンハッタン~』のホリー・ハンターに似ている。ということで、30代以上の皆様にはクマキレよりも大人の味付け&ジャズが聴けたりする『マンハッタン~』がお勧めなりよ。
俳優は誰?
アニー・ザ・ナニーにスカーレット・ヨハンソン。ヨーロッパ風の風貌だけど実はニューヨーカー(父方の血筋がデンマーク系)。まさに今旬な女優さんよね。ハスキーな声にむっちりボディ、ぽってり唇がセクシー。クラシックな美貌のわりに、マシンガントークな役も似合っちゃう。『タロットカード殺人事件』の彼女が好きです。
上流階級の奥様に、こちらもニューヨーカーのローラ・リニー。感情を抑えつつも、目に表れる色が気持ちを語ってしまうような難しい表情をしていました。ローラ・リニーといえば、何と言っても『ミスティック・リバー』でショーン・ペンの妻役を演じていたのが印象的。地味なのに印象に残るお方ですなぁ。
アニーの友人にニューヨーク生まれの歌手アリシア・キーズが出てますが、歌うシーンはありませんえん。ただただお美しいですお。『スモーキン・エース』にも出てたらしいよ。
他、裕福一家の父親にポール・ジアマッティ。一家と同じビルディングに住むお坊ちゃんに『セルラー』のクリス・エヴァンス。
関連作品のようなもの
原作本。 ティファニーで子育てを (文春文庫) エマ・マクローリン、ニコラ・クラウス |
似てるところで、中年女性が離婚を機に自分の人生を建て直すお話。 マンハッタンで抱きしめて ダニー・デビート、ホリー・ハンター |
人類学にもいろいろあるよね。 目からウロコの文化人類学入門―人間探検ガイドブック (MINERVA TEXT LIBRARY) 斗鬼 正一 |
友人役で出演したアリシア・キーズの本業。 ダイアリー・オブ・アリシア・キーズ (通常盤) アリシア・キーズ;ナス |
防災クマさん |
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