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ミシシッピー・バーニング 【いずこより 湧き出で続く 憎しみや】

tag ヒューマン サスペンス 犯罪 政治

『ミシシッピー・バーニング』 Mississippi Burning
1988年・アメリカ
アメリカ南部の人種差別問題に鋭く切り込む社会派映画。アラン・パーカー監督の傑作。

 どっしりと重たく見ごたえのある映画。60年代南部で実際にあった事件に着想を得たもの。真実でも事実でもなく、あくまでフィクションでありながらこの骨太なリアリティ。それでいてバディ・ムービー的エンタメ要素とサスペンスな演出のお陰で飽きずに面白く観られる。この場合の“面白い”は面白おかしいって意味じゃないからね!
ミシシッピー・バーニング [DVD]ミシシッピー・バーニング
ジーン・ハックマン
ウィレム・デフォー

コトノハ


"This can of worms only opens from the inside."
(この蛆虫の詰まった缶は、内側からしか開かないんだ)

 真正面からゴリゴリ正規の捜査をするウォード捜査官(ウィレム・デフォー)に、もっと手段を講ずるべきと怒りをぶつけるアンダーソン捜査官(ジーン・ハックマン)。でもウォードにこの台詞を言われて何も言えなかった。
どんな映画?
 舞台は1964年、アメリカ南部の町ミシシッピー。南部と言えば、ダーウィンの進化論を教科書に載せるならヤング・アース説 も載せろとか、キリスト教プロテスタントにおいても特異さを発揮してましたね。

 それはともかく、オープニングで映される白人用・有色人種用の水飲み器が、この映画のテーマをギュっと表している。続く冒頭のシークエンスは、あまりの酷さに声も出ない。アメリカ南部の人種差別問題は、壮絶で根が深くて、そして理解に苦しむ。このインパクトの強い幕開けに、本編でこれ以上酷いことは描かれないだろう、などと思ってしまう。それは間違いだけど。


 燃える十字架、白い三角頭巾とKKK(クー・クラックス・クラン)のシンボルが出てくる。赤々と燃える小屋の前で首を吊られるシーンのなんと悲しいことよ。私には到底理解できない、人種差別の世界。まさに「この憎しみはどこからくるんだ?」というウォード捜査官の言葉に同調するしかない。

 南部を離れれば良いのに、一致団結して反抗すれば良いのに、と言うのは容易い。生まれてこの方、いや生まれる前から先祖代々、人間以下の扱いをされてきたのだ。目立たないよう生きてやり過ごすしかない、と思うのも仕方ない話だろう。

 そしてそれは差別する側も同様だ。小さい頃から人種差別が当然のことと教えられて育つ。そこもこの映画はきっちり描いている。聖書が認めていると学校で習うのだ、と。創世記9章27節を奴隷制度肯定として解釈するのが、この町では普通のことなのだ、と。
  参考⇒創世記9章18節~27節(The Bible 聖書への無駄な挑戦)

 映画では貧困が憎しみを生むという。黒人は貧しい白人の憎悪のハケ口となっているのだと。そうなのかもしれない。でもなんで、そんなことになっちゃうんだろう?これは人間の内面の問題だ。意識の問題だ。蛆の湧いた缶詰は内側からしか開かないのだ。
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俳優は誰?
 昨年、78歳にして俳優引退宣言をしたジーン・ハックマンが、手段を選ばないアンダーソン捜査官を熱演。ハックマン、大好きです!あの胡散臭い笑顔が良いのよね。『フレンチ・コネクション』は1も2も好きだし、『ポセイドン・アドベンチャー』も大好き。引退して本を書いていますけど、もうスクリーンで観れないと思うと寂しいにゃあ…。最後の出演作は2004年の『ムースポート』。なんかもうちょっと渋い映画だったら良かったんだけど。

 アンダーソンの上司、お堅い正義漢ウォードにウィレム・デフォー。こちらもまったく熱い漢なんだぜ!しかし若い。顔ツルツルしてんよ。20年前だもんなぁ。最近では『スパイダーマン』の緑の親父が印象深いです。グリーン・ゴブリン、切なさの素。

関連作品のようなもの
アメリカン・ヒストリーX [DVD]こちらもKKK的映画。一筋縄ではいかない。
アメリカン・ヒストリーX [DVD]
エドワード・ノートン; エドワード・ファーロング
マンダレイ デラックス版 [DVD]人種問題がテーマだけど皮肉のこもった映画。こういう側面もあるよね。
マンダレイ デラックス版 [DVD]
ブライス・ダラス・ハワード; ダニー・グローヴァー
白いカラス 【DTSスペシャル・エディション】 [DVD]ロマンス分多め。実在の人物についての人種差別映画。ホプキンスの若い頃をウェントワース・ミラー(プリズン・ブレイクのマイケル)が演じているよ。
白いカラス 【DTSスペシャル・エディション】 [DVD]
ニコール・キッドマン; アンソニー・ホプキンス
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コメント


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懐かしい…

scarecrow1970 | URL | 2009年01月17日(Sat)23:07 [EDIT]

こんばんは♪

もう20年も前の作品になっちゃうんですね。
これは映画館に観にいって、かなりの衝撃を覚えた作品です。

人種でもなんでもそうですが『差別』がいけない事なのは当然なんですが、ただ大人になってからの本人の考えなら変えられるかもしれないけど、幼い頃から『刷り込み』されたモノを変えるっていうのは本当に至難の業なんですよね。難しい問題ですよね。

ジーン・ハックマンは相変わらず存在感が強かったですが、一方のウィレム・デフォーも『プラトーン』でブレイクして乗りに乗ってる時期でしたから、かなり激しく演じてましたね。
20年前に観たっきりなんですが、二人のシーンはまだ頭の中に残ってます。

久しぶりに観たくなりました。

>scarecrow1970さま。

P | URL | 2009年01月18日(Sun)11:39 [EDIT]

脈々と受け継がれてきた社会習慣で、もう疑問にすら思わないというのが悲しいですよね。あの白人女性の涙が印象的でした。苦しみながらも、それでも故郷だからそこで生きていく。故郷って大事なんでしょうかね。

ハックマンもデフォーも熱かったですよね。デフォーの方は内に秘めた熱さを冷静に静かに爆発させていく感じで。一直線で。バディ・ムービーとしても質が高いなぁと思いました。

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