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レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで 【特別な 男と女は 平凡に】

tag ヒューマン 恋愛映画

『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』 REVOLUTIONARY ROAD
2008年・アメリカ=イギリス
リチャード・イェーツの同名小説(1961年)を映画化したもの。

 『タイタニック』レオナルド・ディカプリオケイト・ウィンスレットが再共演ということで話題になっています。その『タイタニック』からもう一人キャシー・ベイツも重要な役どころで出演しているよ。あと、車中でのエッチシーンなんか『タイタニック』への目配せでしょうか。

 監督はケイトの夫でもあるサム・メンデス。現代アメリカの静かな住宅地で起こる家庭崩壊を描いた秀作『アメリカン・ビューティー』(1999年)の監督です。本作も『アメリカン・ビューティー』系統でありながら、主題を夫婦(男と女)に絞った良作でしたよ。

 タイトルは主人公夫婦が住む静かな郊外の住宅地にある通りの名前。レボリューショナリー・ロードなんて激しい名前がついた、だけど平凡な道。

今回はマジメに書いたら長くなっちゃった。面白いこと書けなくてごめんご。
レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで スペシャル・エディション [DVD]レボリューショナリー・ロード/
燃え尽きるまで [DVD]

レオナルド・ディカプリオ
ケイト・ウィンスレット

コトノハ


"I wanted IN."
(居場所が欲しかったの)

 パリ移住計画に関して、逃げなのか、と問われたエイプリル(妻)はこう言った。違う、ここから逃げ出すのではなくて、いるべき場所に行きたかっただけなのだ、と。彼女はこの郊外の町でただ家庭を守る母として生きることに違和感を覚えていたのだろう。疎外感さえ感じていたと思う。

どんな映画?
 '50年代中頃のアメリカ、コネチカットの住宅地に暮らす夫婦。夫フランクはサラリーマン、妻エイプリルは元・女優志望で今は二児の母。出会った頃はあんなに特別な二人だったのに、今はごく平凡なささやかな幸せな家族。だけど歯車が狂い始め…。

 二人の感情のすれ違いは見事なほど。フランクは自らの無目的さを覆い隠すため現実的に生きようとする。妻は、挫折した夢への情熱を夫に積み上げて、夫にはツマラナイ仕事ではなく本当に遣り甲斐のある仕事をしてもらいたい。が、夫は実はそんなことはどうでも良くて、普通の家庭を築きたいだけ。絶望的にすれ違っている夫婦なんだな。

 私は冒頭からフランクに対してとても苛苛してしまった。エイプリルが落ち込んでいるとき、その原因について慰めようとするフランクだけど、それは余計なお世話。エイプリルも「もうその話はやめて」と言っているのに、やめない!しかも善意をキラキラさせて!放っといてほしいと言っているのに、しつこく話を続けられれば怒るわ、そりゃ。フランクはいつも優柔不断で、自分が気持ち良くなるための善意を押し付けてくる。(浮気の件などに顕著)

 エイプリルは確かに我が強くて身勝手かもしれない。でも押し込められた情熱のはけ口がなかったんだろうと思う。結婚して子を産んで育てて、それで女の人生はおしまいなの?私はここで一生ささやかな家庭しか知らずに、老いて死ぬの?食事を作って片づけをして掃除をしてゴミ出しして洗濯して、その繰り返し。毎日子供達の相手もしなきゃいけない。子供は愛してる、でもソレとこれとは別。

 現代に生きる私達は選択肢が豊富だけど、彼女は家庭に収まるしかなかった。エイプリルが現代に生きていたら、きっと結婚はしないだろう。

 そんな気性の激しい妻に馬鹿にされたくなくて、自分は今の生活で満足なのだと言い出せない夫。確かに仕事はくだらないと思っているし、退屈な毎日に息苦しくなるけれど。でも積極的に情熱をもてるようなナニカなんて、ないのだ。自分では見つけられないのだ。エイプリルにはあったもの、自分との結婚により奪ってしまったものが。

 なんかもう、本当に悲劇だ。そして周りの人々の反応も面白い。パリに移住すると言い出す夫婦に、それは現実的じゃないねと頭から否定している。平凡に生きる自分を正当化するために、異端分子は心の中で弾いておく。自分の生き方は間違っていないと思うと安心する。

 この映画では子供達がほとんど出てこない。不自然なほどに出てこない。それは夫婦の、男と女の物語に集中したかったからだろう。それにエイプリルにとっては、子供たちとの日常よりも、社会に関る人間としての自分が大事だから。夢を諦めきれず、情熱の残り香に酔わされて、自分の立つべき場所を探しているんだ。本当はそこにあったのに、そこでは満足できなかったのだ。

終盤の静かな悲劇が秀逸
 映画のラスト、静かな朝食の風景は、観ていて不安でイヤな予感ばかりが沸き立つ。が、そこにいるフランクは気づかない。彼女の心のうちを計れない。彼は彼でいっぱいいっぱいなのだ。

 エイプリルの行動は、私にはとても理解できるものだった。彼女は閉じ込めてはいけない鳥だった。彼女にとっては最初の妊娠こそが、彼女の運命をすっかり決定してしまった要素だったろう。でもアメリカでは簡単に中絶などできなかった。'50年代といえば、徐々に堕胎が認められてはいたものの、まだまだ難しかったんじゃないかな。もぐりの適当な堕胎屋さんなんかもいたそうで、ハンガーの針金を使って掻き出していたとも言う。もちろん相当に危険で、出血多量で死ぬ女性も少なくなかった。

 エピローグ的に、二人がレボリューショナリー・ロードを去った後のことが語られる。女たちは平凡な日常を壊されたくないから、二人のことはさっさと過去に閉じ込める。今の自分を肯定するためだ。男たちはすぐには忘れられず、傷を負いながら耐えている。

そして老夫婦の夫は、聞きたくない話は聞かないことに決めて、妻に余計な口出しはしない。フランクとエイプリルに足りなかったのは、この“聞き流すこと”なんじゃないかな。理解できないこともあるのだから、そこはお耳をパタっと閉じて口を出さないに限る。

 ラストを観ていて、同じくケイト主演の『日蔭のふたり』を思い出していた。あれは衝撃的な顛末だった。本作もあれほどの衝撃はないにせよ、通じるものがある。
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レボリューショナリー・ロード―燃え尽きるまで (ハヤカワ文庫NV)原作本。1961年の小説。イェーツの処女作。
レボリューショナリー・ロード―燃え尽きるまで (ハヤカワ文庫NV)
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レオナルド・ディカプリオ; ケイト・ウィンスレット
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コメント


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umetraman | URL | 2009年02月02日(Mon)22:09 [EDIT]

こんばんは!

「タイタニック」コンビなんですね。この頃のケイトは若くて普通に綺麗だなーと思ってましたが、歳とってからはなんといいますか、幸薄そうな美人女優という印象になりました。
この作品凄そうですね。「アメリカン・ビューティー」も凄かったので、これも気になります。でも、DVDになってからかな(-_-)。

ルービックレボリューションが気になるのですが!!(笑;

ガツンと応援~♪凸

>umetramanさま。

P | URL | 2009年02月03日(Tue)00:41 [EDIT]

タイタニック・トリオと言うべきかもしれないですが、ね。ベイツ女史含めて。

ケイトの若い頃は弾けるような健康美でしたね。今は役柄もシリアスなものが多いからか、弾けるような感じはたまにしか観れませんが。『ホリデイ』や『エターナル・サンシャイン』では可愛らしかったですよ。

アメリカン・ビューティーがお好きならこちらもオススメです。あれほど変な人が出てくるわけじゃないんですが、もっと日常的で、主要キャラもぐっと絞れていて。

たまにツッコミいただくと嬉しいです!常にツッコミ待ちですから!

こんにちは~。

なるは | URL | 2009年02月07日(Sat)14:13 [EDIT]

やっと観に行きました。

最後はなんとも言えない悲劇なのに、
観終わった後のこの充実感は不思議です。
ただの「酷」な映画ではなく、
前向きで悲観的なところが良いのかなぁと。
矛盾してますけど…。

TBさせていただきます!

>なるはさま。

P | URL | 2009年02月07日(Sat)18:03 [EDIT]

なんか賛否両論ですよね。なるはさんとは好みが合うみたいです。

そうですね、最後に彼女は死ぬつもりはなかったわけですから、前向きな処置だったんですよね。でもそれが悲劇に。
あの静かな朝の不気味さは本当怖くて、観ていてゾクゾクしました。
レオの演技も素晴らしいですが、ケイトも昔から素晴らしかったですよー。

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