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ディファイアンス 【目の前の 人々をただ 守るべく】

tag ヒューマン 歴史 戦争

『ディファイアンス』 Defiance
2008年・アメリカ
1941年東欧ベラルーシでのユダヤ人迫害を背景に、実在のビエルスキ4兄弟について描いた映画。

映画原題は“果敢に抵抗すること”。『摩天楼ブルース』とは全然関係ない(原題が同じ)。

 やってくれるぜ、リーヴ・シュライバー!或いはシュレイバー!主役のダニエル・クレイグaka“ボンド、ジェームズ・ボンド”をしっかり食ってましたよ。映画をすっかりかっ攫った!やっぱりシュライバーは素敵なノッポの下ぶくれさんよ!(←愛情から出た言葉)

 え?内容?とても良かったですよ!終盤なんか涙なしには見れません。男ばかりの4兄弟がたくさんの人を守ろう、とにかく生き続けようとして、葛藤しながらも闘う姿。これは熱くてもやっとしたドラマ、そこにいる人と手を取り合って生きていこうとする物語。

 原作はネハマ・テックの『ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟』。著者は現在コネチカット大学の社会学教授(女性)で、ホロコースト学者として知られる。生まれはポーランドでユダヤ系ファミリー。ナチがポーランドに侵攻したときは僅か8歳だったという。この本に書かれている話は、ビエルスキ本人を含むインタビューや幅広い調査によって組み立てられた。
ディファイアンス プレミアム・エディション [DVD]ディファイアンス
プレミアム・エディション [DVD]

ダニエル・クレイグ; リーヴ・シュレイバー

コトノハ


"I should have protected them."
(俺がちゃんと守ってやるべきだった)

 またしてもシュライバー(役名はズシュ)の話ですが。彼が妻子死亡のお報せを聞いた途端にそれまで抑圧していたモノがぶわーっと噴出しまして、ガバっと壊れちゃう。そのときの台詞。以降、彼はこの悲しみに復讐心を煽られ、武力闘争に傾いていく。いや、このシーン、まじで凄い。

どんな映画?
 この映画は事実に基づいてはいるけども、まぁあらかたフィクションと考えています。実際の彼らがどうだったのか諸説あるようで、一般市民虐殺に加わっていたという話もあるようです。どれが真実なのか今時点では不明!少なくとも彼らは目の前で虐殺されようとする同胞を守るために、なんとかこの不条理から生き延びるために全力を尽くした。たとえその手段が市民から食物を略奪することでも。

 ということで、この映画の4兄弟とりわけ長兄&次兄の葛藤する心が丁寧に描かれていました。長兄はドイツ兵を殺すことよりも同胞ユダヤ人を一人でも多く助けることが重要だと考え、そのように行動します。「人間性を失ってはいかん。死ぬときは人間らしく。」と皆に説きます。次兄は「血には血を」と積極的にドイツ兵に戦いを挑みます。それが復讐でもあり、ひいては自分達を守るためでもあるから。

 観ていて次兄の態度もよく理解できる。「自ら戦いもしない役立たずどもを養うのか?」という台詞にもしっかり共感してしまう。人々は指導者に擦り寄るが、食事やら何やらに文句も言うのである。自分達でどうにかしようと考えることを放棄し、不平ばかりを口にする彼らに嫌気がさしただろう。人間ってそんなもの、だよなぁ。それでも長兄は皆を見捨てない!嫌気がさしつつ、重圧に耐えきれなくなりつつ、皆を導くことを諦めない!

 厳しい状況の下、映画の中の男達は何を守るべきか受け止めて、覚悟を決めて行動する。そんな男達に心打たれる。決してキレイゴトではない、森に隠れての集団生活。土地の人から略奪することでしか食物を調達できない。(狩猟をすべきなんじゃないかなぁとは思ったが)

 次兄が長兄に言う「モーゼ気取りか!」って言葉は結構キモで、これが後々効いてくる。まるで出エジプト記のように森を彷徨い追っ手から逃亡する。過越祭(Pass over)の話なんかも出てくるよ。あと、兄弟の間で行ったり来たりするお守り(両親の家の戸口から持ってきたメズーサ)も、絆を表しているようで素敵な小道具だ。
参考⇒イスラエルの旅(ページ中程に戸口に設置されたメズーサの写真が!)

 んで、この兄弟は4兄弟なんですけど、末っ子のアーロン君が終盤どこにもいないんですよ。実話モノによくあるラスト、その後の彼らの話(実際の写真付き)が書かれた部分でも一切言及なし。んー?とっても引っかかる!すっきりしない!

調べたら、末っ子は当時僅か11,2歳で上の3兄弟ほど活躍してなかった、とのことでした。それで映画でもおざなりにされたのかね。でも生き残ったんです!ちゃんと!2008年7月の記事で、このアーロンが老婦人に詐欺を働いた角で告発されてました。や、この話もアーロンが一方的に悪いって感じでもなさそうだがね。

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俳優は誰?
 長兄に英国のダニエル・クレイグさん。現・007です。あたしゃぁ探偵レミントン・スティールな前ボンド=ピアース・ブロスナンが好きです。それはさておき、クレイグさんは今回も眉間に皺寄せまくって哀愁漂ってました。葛藤と自嘲と諦めの表現が素晴らしい。

 次兄は我が愛しのリーヴ・シュライバー!静かな炎を滾らせる感じがね、熱い!そして敵兵に堂々と素早く近づき、至近距離で無表情に銃を撃つ、あの身のこなしが素晴らしい。あまりにも堂に入っている。リーヴはこういう時の冷たい目が格別に良いですね。リーヴ自身がユダヤ系なので、監督としてユダヤ人虐殺をテーマとした現代もの『僕の大事なコレクション』という傑作を撮りあげてたりします。面白くて深い、素敵な作品だよ。

リーヴ次回作は"X-Men Origins: Wolverine"で冷酷な敵役セイバートゥースを演じるよ。アメリカでは今年5月1日公開、日本の公開日はまだ不明ですが、夏になりそうな予感。リーヴ目当てで観ますとも!

リーヴ速報を一つ。アンジェリーナ・ジョリー主演のスパイ・サスペンス映画"Salt"への出演が決まったようです。アンジーの上司役だそうですよ。来月(3月)に撮影が始まり、本国での公開が2010年予定。監督はフィリップ・ノイスですよ。
参考⇒(英語)リーヴ・シュライバーが"Salt"に参加(EmpireOnline.com)

 3男坊にこちらも英国出身のジェイミー・ベルくん。まあ『リトル・ダンサー』ですよね。でも『ジャンパー』の暗くてヤケッパチなグリフィン役が好きです。さておき、3男坊の成長ぶりや微笑ましい恋バナが暗く淡々とした映画に光を投げかけていました。

 末っ子は省略して、そうだ、『ミスト』のレジ係のきれいなお姉ちゃんが出てたよ。芯の強い女性をしっかり好演!ケツアゴだけども綺麗なので応援。

関連作品のようなもの
ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟原作本。ハードカバー400㌻。
ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟
ネハマ テック
シンドラーのリスト スペシャルエディション [DVD]“もう一つのシンドラー”って言われてた。シンドラー、未見。
シンドラーのリスト スペシャルエディション [DVD]
リーアム・ニーソン; ベン・キングズレー
ディープ・インパクト スペシャル・エディション [DVD]逆境での若い二人の結婚式シーンはこの映画でも印象的でした。
ディープ・インパクト スペシャル・エディション [DVD]
ロバート・デュバル; ティア・レオーニ
MBAファイナンスMBAファイナンス
グロービスマネジメントインスティテュート

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コメント


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ケン | URL | 2009年02月22日(Sun)20:40 [EDIT]

はじめまして。

シュライバー、素晴らしかったです。
妻子の死を告げられる場面とか。
ただ、あの役の「攻撃性」は生まれつきの性質かな、
と個人的には感じましたけれど。
もしくは、兄への反発とか。

それにしても、Pさんのブログは、
知識が豊富で勉強になりますね。

>ケンさま。

P | URL | 2009年02月23日(Mon)18:20 [EDIT]

ありがとうございます!毎度長文をどうやって削ろうか悩みつつ、今回は削る努力を惜しみました。

リーヴがすっかりクレイグを食ってましたね。クレイグさんはクレイグさんでまた良かったですけど。

仰るとおり兄への反発はあるでしょうね、次男の宿命!
生まれつきの性質、というものも少しはあっても、私は生来の気質のせいにするのは好きじゃありません。ユダヤ人はおとなしい、反撃しない、ってのもすごい決めつけだなぁと思います。遺伝と環境の話になっちゃいますね、これ。環境で作られた性格なのか遺伝的(生まれつき)な性格なのか、確かなことは言えませんが、両方だと思ってます。環境の方が(次男であるとか、迫害されたとか)かなりのウェイトを占めるのではないか、というのが現在の私の結論です。

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