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ベンジャミン・バトン 数奇な人生 【人と違う それでもやっぱり 皆同じ】

tag ヒューマン 恋愛映画 ファンタジー

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON
2008年・アメリカ
F・スコット・フィッツジェラルドが1920年代に書いた短編に着想を得た、デヴィッド・フィンチャー監督xブラッド・ピット主演の映画。

 映画が始まるとき、ワーナーとパラマウントのロゴが出るんだけど、それが凝っていた!色とりどりのボタンがバラバラ落ちてきて、それがロゴになるという仕様。こういうの、好きだ。『メン・イン・ブラック』では確かコロンビアの女神像がサングラスをかけていたと思った。細かい演出だけど、いいぞこういうの、もっとやれ!って気分。ちなみに英語では服のボタンも人名のバトンも同じButton。

 原作っていうかその短編から、人とは逆に年をとる男というアイデアを頂戴してうまく料理味付けしてある。一人の男の一生と、その愛が166分をかけて語られる壮大な物語。始めから終わりまでタイトル通りに奇妙なお話だけど、約3時間黙って座ってる価値はある秀作だと思うッス。長いけどなぁ。
原作が読めます⇒(英文)Fitzgerald's short story: "THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON"(Read book online)

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 特別版(2枚組) [DVD]ベンジャミン・バトン 数奇な人生[DVD]
特別版(2枚組)
ブラッド・ピット
ケイト・ブランシェット

コトノハ


"You never know what's coming for you."
(人生、何が起きるかわからないものよ)

 超神様ラヴなお母さんの言葉。この映画を一言で表したようなもので何度か出てくる台詞。他にもたくさん素敵な台詞があって印象深い映画でした。

どんな映画?
 ベンジャミンとデイジーの辿った愛を主軸に、ユーモアを散りばめて語られる奇妙なファンタジー。二人がヨットの上で過ごすシーンでは思わず目頭が熱くなった。そして、観ている側は甘い期待をしちゃうんだ。でもそこはフィンチャーさんなので決して甘くないんだけど。

 主役であるベンジャミンは、なんというか、観察者のような存在であり、彼の思いや人間性というのはあまり深く描かれていない。そこが物語を淡々と見せていて良かった(そこが物足りないという人も勿論いると思う)。人生は大いなる旅路。それを地でいく映画なわけで、様々な人と出会って別れてってところがロードムービー的で好きだ。

 あらゆる円環的なものが映画のあちこちに象徴的に見られる。時計、ボタン、日の出、眼鏡、車椅子の車輪、ハリケーン(カトリーナ)、レコード、救命浮き輪、8の字、ピルエットなどなど。人は円を描くように産まれて老いて死んでいく。デイジーの言葉「人はみんなオムツで終わるのよ」に集約されるんだろう。この世界にやって来て、生きて、またベッドに戻って死んでいく。ベンジャミンの逆回転人生でも、それは同じコト。そしてその循環を誰も止めることはできない。時間はただ降り積もっていく。

 原作では、即きちんと喋れたりする70代の大きな体の普通の老人として産まれ、バトン家で育つ。そして肉体的にも精神的にも知能レベルも年とともに若返っていく。ベンジャミンの愛する女性も名前からして違うし(原作ではヒルデガルド)、その出会いも辿る道もまったく違う。映画では、若返るのは肉体だけだし、もうまったく別物だ。でもそれが短編小説と長編映画の違いなんだし、それぞれに素晴らしい作品だと思う。

 特筆すべきはやはりCGIと特殊メイク!それが自然に見えるから、物語を語る道具として機能しているのが心地よい。これがCG主体になっちゃうとマイケル・ベイ『アルマゲドン』『トランスフォーマー』など)になるわけで。

 あと、全体的にアリエナイ話でファンタジーなのだけど、ディテールでリアルさを感じた。「名前を覚えていない人の方が印象的だったりする」ってモノローグがリアル。あといろんなことがあっさりしていて、特別な盛り上がりがないのもリアル。物事は突然襲ってきて、突然収束する。そこに特別な理由なんてほとんどないのだ。

 7回雷に打たれたことがある老人のエピソードは笑いどころ。長いお話の中でこうしてユーモアが挟まっているのが飽きさせない。でも雷に打たれたシーンが6回しか描かれていないよ。人のすべてを知ることはできないってことなのかね。
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俳優は誰?
 タイトル・ロール=ベンジャミンにブラッド・ピット兄さん。次作の『バーン・アフター・リーディング』ではお馬鹿キャラだそうなので楽しみです。『ザ・メキシカン』みたいにヌケ作の役が似合うってば。ジョー・ブラックも好きでしたけど。

 愛するデイジーにケイト・ブランシェット。メイクとCGで20代から老人までを演じる。まず冒頭の老女姿にメイクの凄さを目の当たりにした!そしてバレエを踊るシーンやダンサーらしい背筋の伸びた姿勢といい、年代ごとの雰囲気作りといいさすが完璧なケイト姉さん。

 ベンジャミンのお母さん役タラジ・P・ヘンソンがまた素晴らしかった。神様ラヴ過ぎるけど、善良でおおらかな人柄を生き生きと演じていたよ。

 その他、デイジーの娘役のジュリア・オーモンドの老けっぷりに驚いた。『トゥルー・ナイト』のグィネビア王妃のときは、地味でグィネビアっぽくなくてガッカリしたものです。あと、ティルダ・スウィントンがとても印象的な女性エリザベスを演じて映画をグっとしめてました。決して美人ではないのに、どこか気高さを感じさせる存在感ある女優さんですね。

関連作品のようなもの
ベンジャミン・バトン  数奇な人生 (角川文庫)フィッツジェラルドの本邦未訳の短編を集めた短編集。
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (角川文庫)
フィツジェラルド
フォレスト・ガンプ [DVD]脚本家が同じ(エリック・ロス)だけに似た映画。特に構成や女性の描き方が。
フォレスト・ガンプ [DVD]
トム・ハンクス; ゲイリー・シニーズ
ファイト・クラブ (ベストヒット・セレクション) [DVD]フィンチャー監督xブラピ主演。
ファイト・クラブ [DVD]
エドワード・ノートン
永遠の王―アーサーの書〈上〉 (創元推理文庫)永遠の王―アーサーの書〈上〉 (創元推理文庫)
T.H. ホワイト

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コメント


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しろくま | URL | 2009年03月08日(Sun)00:55 [EDIT]

はじめまして、しろくまと申します。

私もこの映画を観ましたが、猫の毛玉さんの方がより深く鑑賞しているような気がします。

折りをみて、フィッツジェラルドの原作を読んでみたいと思います。

umetraman | URL | 2009年03月08日(Sun)21:48 [EDIT]

こんばんは!
ご無沙汰でっす!

おおお、P様のレビューを読んだら、ごっつ観たくなってきました><。
やっぱ、フィンチャー監督は只者でないですねえ。いろんなところがあっさりしている・・・てところに惹かれてます。ケイト・ブランシェットの変身ぶりも気になるしなあ。スパルコ大佐どころじゃなさそうですね(笑)。
「フォレストガンプ」と同じ脚本なんですか。ちょっと雰囲気が見えた感じがします。でもちゃんと観なきゃなあ~。

ガツンと応援~♪凸

>しろくまさま。

P | URL | 2009年03月09日(Mon)14:25 [EDIT]

初めましてこんにちは!
映画なんて観た人それぞれの感じ方とらえ方ですもの。観て、何を思っても考えても自由だと思います。しろくまさんの感想読みました。そうですよね、長いですよね。淡々としているから長く感じますし。あとケイトのベッドでの問いに問いで答えるブラピのシーンは確かに印象的でした!老いへの恐怖と、若返りの恐怖で、結局二人とも方向が違うだけで同じ感覚を共有しているという。

原作は本当に全然違う話なので驚かれるかもしれません。映画と短編小説の手法の違いというか、アレをそのまま映画にしても面白くはないだろうな、と。

>umetramanさま。

P | URL | 2009年03月09日(Mon)14:33 [EDIT]

雪山に行ってました。無事帰還しました。

是非、眠くないときに観てください!
心情を描き込まずに「わかるでしょ?想像してよ」な感じが私は好きでした。台詞もいちいち良かったですよ。死ぬときに「どんなに怒っても、そのときが来たら逝かなきゃならないんだ」とか。

ケイトの若い頃シーンは本当に可愛くて!まぶしい!そして老いたところも、一緒に観た同居人は別人だと思っていたぐらいの変身でした。

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ベンジャミン・バトン 数奇な人生

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