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チェンジリング 【負けぬこと 戦い続ける 勇気もて】

tag ヒューマン 犯罪 ミステリ 法廷

『チェンジリング』 CHANGELING
2008年・アメリカ
1928年、米国ロサンジェルスで本当にあった事件を基に映画化。LAPDの腐敗と怠慢、それに立ち向かう女性の話。

 クリント・イーストウッドは俳優としてよりも監督としての方が好きだ。そしてアンジェリーナ・ジョリーはアクション映画よりもじっとりしたドラマの方が似合う。そんなわけでワタシ的には最高の組み合わせな映画なので嬉しかった。ついでにマルコビッチが善玉ってのも良いですね。

 原題は、西ヨーロッパや英国伝説好きにはお馴染みのチェンジリング“取り換え子”。時折、妖精やトロールは人間の赤ん坊を盗み、その代わりに醜い妖精の赤ん坊を置いていくという。妖精のパワーで、その子は盗まれた子そっくりに見えるけど、気むずかしくなり今までとは何かが違うのだという。
Changelingチェンジリング
アンジェリーナ・ジョリー
ジョン・マルコヴィッチ

コトノハ


"I'm not your mother! I want my son back! Damn you!"
(あんたの母親じゃないわ!息子を返してよ!あんたなんか!)

 息子ウォルターを騙る少年に「おやすみ、ママ」と言われて逆上するクリスティン。この少年の子供らしい嘘のお陰で、自分と本当の息子がどれだけ苦しめられているか。そう思ったら堰を切ったように罵りが止まらない。心に迫るシーンだった。

どんな映画?
 静謐。余分な音楽を排し、物語に集中できるように作られている。イーストウッド監督作は、どこか一歩距離を置いた雰囲気、冷徹な眼差しが感じられる映像だな、と思う。ただ、今作がいつもと違う印象なのは、善悪がハッキリ描かれているところだと思った。

 して、悲しくも強さに溢れた映画としての素晴らしさはもとより。主演のアンジーの'20年代ファッションも大きな見所の一つ!丸い帽子にコサージュ、アイメイクはくっきり、ルージュは赤く、ドレープたっぷりのブラウス、手袋、中途半端な丈のスカート、ゆったりしたコート。色使いは鮮やかに、だけど品があってまろやかだ。暗く緊張に満ちた映画の中で、アンジーの美しい佇まいが希望のように輝いていた。

 背景となった事件について少し。実際はノースコットの両親も関わっていて、父親は息子の犯行について証言したという。母親サラ・ルイーズはウォルター・コリンズ殺しを自白して(後に否定)終身刑を言い渡されたという(単に息子を庇う嘘なのか、自白強要されたのか、本当に殺したのかは藪の中)。また、ウォルターを騙った少年がする真実の告白は、実際にはクリスティンが入院中のことであり、彼の証言により退院を許されたのだという。
参考⇒(英語)Wineville Chicken Murders
(事件の詳細がまとめてあります。下の方は写真や新聞記事などの資料。)

 このように実際のコトの経過と映画の中でのそれは違うところもありますが、それは些細なこと。弱い立場にあった一人の女性が、自分の息子を見つけるために権力に立ち向かい信念を貫き通した強さがしっかり伝わってきました。決して諦めない。腐った権力者に負けてなるものか。こういうとこは、いかにもイーストウッドだなって思う。

 実在のクリスティン・コリンズに関して残された最後の公的記録は、1941年にジョーンズ警部に未払い金を払うように裁判所に赴いたときのもの。今となってはクリスティンの没年は不詳のまま。1964年とも'35年とも憶測されてます。また、言及されていないが警察本部長は2年後に返り咲いたそうです。にゃー。
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俳優は誰?
 アンジェリーナ・ジョリー(アンジー)といえば、私にとってはどうしたって『17歳のカルテ』。精神療養施設での日々を描いた映画で、主演のウィノナをすっかり食った存在感に圧倒されたものだった。そして『ジア 裸のスーパーモデル』では実在の人物を演じて、その悲惨さ・やりきれなさをマルっと表現。これも良い映画でした。

 航空管制官ドラマ『狂っちゃいないぜ』ではメインではなかったけど、はっちゃけた役で強烈に印象を残した。実際のアンジーを彷彿とさせる役を演じた『すべては愛のために』ではメロドラマとヒューマニズムと悲劇を体現。『マイティ・ハート/愛と絆』では誘拐された夫を待つ気丈な女を演じて、これも慟哭シーンでもらい泣きした良作。やっぱりアンジーは、じとーっとしたドラマものが似合うのだ。

関連作品のようなもの
The Road Out of Hell: Sanford Clark and the True Story of the Wineville Murdersハードカバー304㌻英文。映画の背景となった事件についての本。
The Road Out of Hell: Sanford Clark and the True Story of the Wineville Murders
Anthony FlaccoJerry Clark
17歳のカルテ コレクターズ・エディションアンジーといえばこの映画。主役を食ってたね。ここでも精神病院収容。
17歳のカルテ コレクターズ・エディション
ウィノナ・ライダー .アンジェリーナ・ジョリー.ジャレッド・レト
取り替え子(チェンジリング) (講談社文庫)取り替え子(チェンジリング) (講談社文庫)
大江 健三郎

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