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ミルク 【このうねり 弱者に希望を 灯しつけ】

tag ヒューマン 政治 動画付き

『ミルク』 MILK
2008年・アメリカ
サンフランシスコ市政執行委員に立候補し、ついには当選したゲイ活動家ハーヴィ-・ミルクの伝記映画。

 ゲイとして堂々と生きるために恋人と共にサンフランシスコに移住しカメラ屋を構えたミルク氏の、人生最後の8年間(1970年~'78年)が描かれている。

 どうにもゲイ映画としての側面ばかりが注目されそうだけど、それだけじゃない。自分のプライベートは丸っきり犠牲にして、虐げられている人々に希望を与えるのに命を捧げた。その1人の人間の生き様に、心を打たれる。そしてどこか悲哀を感じるのだ。

 しかし、一昔前の同性愛映画は美少年だ美青年だでファンタジーっぽかったけど。昨今はよりリアルになってきたね。普通のオッサンだもんね。良いことだ。
Milkミルク [DVD]
ショーン・ペン

コトノハ


"You gotta give them hope."
(希望を与えねば)

 ゲイだけでなく社会的弱者、マイノリティのための政治を目指したミルクさん。諦めが蔓延すると変化は起こせない。胸に希望を!みんなの胸に希望を!死してなお、彼は希望の象徴として生き続ける。

どんな映画?
 思えばガス・ヴァン・サントは実話を基にした映画を面白く撮る監督だった。何のオリジナリティもない『サイコ』リメイクでガッカリさせられてからは、それまでの映画の面白さにも関わらず、悪いイメージがついて回っていた。私の中で。本作は、それを見事に払拭してくれた良作!'90年代にも映画化しようとして頓挫していた企画だけに、監督の思い入れも深いのだろう。丁寧な作りだ。ただし、ミルクの本当の人生とは違っていることに留意されたし。映画的脚色が施され、それゆえにエンタテイメントとしての面白さが出ている。議会の同僚ダン・ホワイトとの確執もドラマチックに描かれている。

 さて、ミルク氏は自らを一個人としてでなく、ゲイライツ・ムーヴメントのシンボルと見なしていた。故にプライベートを犠牲にして戦った、ゲイを初めとしたすべてのマイノリティーの権利の為に。その結果、一番身近な恋人が壊れていくのを救えなかった。そのあたりの悲哀、孤独感、自責の念に、一口に英雄とは言えない人間味が垣間見える。

 迫害と戦うミルクさん陣営の思いと、自分達の社会的価値観を守りたい側の思いが両方描かれていたと思う。保守派としては、ソドムとゴモラの轍を踏むのは避けたいだろう(聖書の解釈の一つであり、これを同性愛禁忌とは解釈しない宗派もある)。でも、同性愛者だというだけで犯罪者扱いされ、人間らしい生活を送れない社会は貧しい。私はそう思う。

 本作で描かれたような運動の積み重ねがあったからこそ、今日に生きる私たちは“価値観の多様化”が許されているんだ。日本人はみんな同じで安心したい傾向が強いと言われることがある。でも私はむしろアメリカこそ“同じで安心”が根強いと思う。赤狩り時代もそうだし、今だって異端になることを恐れているように見える。キリスト教的価値観からくるものかもしれない。そして異端視されることは、直接に職、生活、時には命を失うこと、法の保護さえアテニならないことを意味する切り捨て社会に思える。

 ミルクと市長を射殺した犯人は、故殺(計画的ではなく、一時の激情に駆られての殺人)と判決されて禁固7年の刑。や、明らかに用意周到な謀殺じゃろが…。なんでも彼の弁護側は、殺害当時の彼は心神喪失状態にあり、日頃健康に気を遣う彼がジャンクフードを食していたこともその証明となると主張。更にジャンクフードの摂取が鬱状態を助長させたとの弁を展開した。(twinkie defense)。陪審員は保守的なカソリックで固められ、犯人に同情的だったという。

結局5年務めて仮出所。1984年1月、晴れて自由の身になりロスで1年を過ごした後、サンフランシスコに戻ったのでした。が、1985年10月、別居中の奥さん家のガレージで排ガス自殺を遂げました。

最後に、映画にも挟まれていたミルクさんのヴォイス遺書を。


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俳優は誰?
 ハーヴィー・ミルク役はショーン・ペン『初体験 リッジモント・ハイ』でのお間抜けキャラも素敵だけど、なんてったって『ギター弾きの恋』でしょう!ここ数年はだいぶ丸くなって、アカデミー賞もちゃんと受け取ったりして、すっかり落ち着いたオジサンですね。

 ミルクの補佐役クリーヴ・ジョーンズにエミール・ハーシュ。ペンが監督した『イントゥ・ザ・ワイルド』で凄まじい若者の生き様を演じてましたな。『スピード・レーサー』では没個性でしたが、素晴らしい役者ですよな!

 ミルクの恋人スコット役にジェームズ・フランコさま。あの、くにゃっとした笑顔がイイですね。あらイイですね。『スパイダーマン』シリーズのハリー・オズボーンが素敵すね。主役よりもサポートで光る存在感!

関連作品のようなもの
ハーヴェイ・ミルク [コレクターズ・エディション] [DVD]1984年のドキュメンタリー映画。ガス・ヴァン・サント監督は大いに参考にしたよう。
ハーヴェイ・ミルク [コレクターズ・エディション] [DVD]
MILK(上)-ゲイの「市長」と呼ばれた男、ハーヴェイ・ミルクとその時代 (祥伝社文庫)1882年に出版された本。著者はゲイのジャーナリスト。
MILK(上)-ゲイの「市長」と呼ばれた男、ハーヴェイ・ミルクとその時代 (祥伝社文庫)
ランディ シルツ
プッチーニ/歌劇「トスカ」全曲 [DVD]ミルクはオペラ好きだったようです。トスカの舞台を観ているシーンやレコードを聴くシーンが。
プッチーニ/歌劇「トスカ」全曲 [DVD]
ドミンゴ(プラシド); ベーレンス(ヒルデガルト)
ポップアートGo West収録のCD。
ポップアート
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1 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2013/06/14(金) 11:43:45.73 ID:ax7yxoFH0 ?2BP(1000)http://www.pewglobal.org/2013/06/04/the-global-divide-on-homosexuality/29歳以下の83%、49歳以下の71%、50歳以上...

【2chまとめ】ニュース速報嫌儲版 2013年06月14日(Fri) 18:02

映画『ミルク』

…観る者は、今さらながら気づかずにはいられないはずだ。ゲイ・ムーヴメントに限らず、様々な差別の撤廃、弱者の人権獲得に向けての闘争、社会を「変える」ためのあらゆる闘いが、傷ついた人間の、個人個人の勇気なくしてはありなかった・ありえないという真実に。

弱い文明 2009年04月29日(Wed) 20:26

ミルク

1972年、ニューヨーク。金融業界で働いていたハーヴィー・ミルクは、20歳年下のスコットと出会い恋に落ちる。2人は新天地を求めてサンフランシスコに移り住み、カストロ地区と呼ばれる地域で小さなカメラ店を開く。やがてそこは同性愛者やヒッピーたちのよりどころ...

今日は映画気分! 2009年04月27日(Mon) 21:51

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