猫の毛玉 映画館

映画感想文を体内で丸めて吐き出す。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

マシニスト 【眠られぬ 精神世界の 旅路かな】

tag ヒューマン サスペンス 犯罪 ミステリ

『マシニスト』 THE MACHINIST
2004年・スペイン
1年間眠れない男のサイコ・サスペンス。

 なんといっても主演のクリスチャン・ベイル(現ジョン・コナー)の30kg減量が話題になったこの映画。一日にツナ缶と林檎1つずつでダイエットしたとか!ベイル氏は納得いかず、もっと痩せたかったんだそうですよ。でも周りの人が「いや、それはちょっと…(´・д・`)」と制したそうです。そんな彼の骸骨ダンスは凄い。胃の辺りがベコっと凹んだ肉体の痛々しさ。その見た目だけでもこちらの不安をかきたてる!この不安感こそ、映画の最初から最後まで貫かれている要素。

 タイトルのマシニストとは機械工。工場で働く彼の生活が描かれるからね。『機械の中の幽霊』(←再版して欲し過ぎる)的な意味合いも込めてるんじゃないか思う。映画の部分部分を構成する断片、それが最後に上位概念的にパっと全体として把握される感じはホロンっぽい。

 静かで平板な映画なので眠いときに観ちゃダメよ。不眠症の男を見ながら眠っちゃうからね。
マシニスト [DVD]マシニスト [DVD]
クリスチャン・ベール
ジェニファー・ジェイソン・リー

コトノハ


"Who are you?"
(お前は誰だ?)

 冒頭で壁に貼られているメモ。このメモが写される直前にも、まったく同じ言葉で誰何されているカットがある。この始まりの部分のミステリアスさ、暗さ、不安感にぐっと心を掴まれます。この冒頭シーンを始め、トレバー(クリスチャン・ベイル)が狂ったように手を洗ったり、床を漂白する潔癖症ぶりの理由はラストにわかるお。

どんな映画?
 暗くて、狂気で、謎に満ちた雰囲気。漂白剤大好きな激やせ主人公トレバーは不眠症。この異様な特徴のすべてが一つの理由に基づいている。そのミステリーを追うように物語は進むよ。

 トレバーは工場で働き、たまに娼婦のスティービー(ジェニファー・ジェイソン・リー)に会いに行き、深夜の飛行場のカフェに通う。カフェのウェイトレス・マリア(アイタナ・サンチェス=ギヨン)と話す時間が好きで。でもそのカフェはなにかおかしい。特に時計が。彼女の家の時計も。1:30に何の意味があるのか?

 家の冷蔵庫に張られたハングマン・ゲームの謎は?ウェイトレスの家の様子に引っかかりを覚えるのはなぜ?道を走っているといつも同じ背景なのはなぜ?謎の男アイバンとは?アイバンの赤い車のナンバーを読み上げるトレバーが、引き離されて諦めて自分の車を停めたときに写るナンバーは…。謎の多さに圧倒されるけど、それまでの全てがひとつに繋がるラストは素晴らしい。その瞬間、あらゆる謎が溶けて無くなる。緻密に計算されたディテールに感嘆!

 彼の部屋の机に置かれた本、読んでいて眠りそうになって落下音で覚醒した本のタイトルはドストエフスキーの『白痴』。この小説の中で主人公ムイシュキンとライバルのロゴ―ジンは善人と悪人として対比されている。この構図は映画の主人公トレバーと謎の男アイバンの対比でなぞられている。他にも『罪と罰』『二重人格』といったドストエフスキー作品への目配せが散見されるよ。人間の良心というのは面白い。人間心理の複雑さをしかと感じ取れる作品世界。

 これは1人の男が心の平安を得るまでの話。いつでも左の道を選んできた彼が右の道(right path=正しい道)を選ぶまでの心の旅。また“右”は、すべての罪を背負って磔刑に処せられた後復活したイエスが神の右の座についた、という新約聖書的意味合いとも取れる。トレバーが左を選ぶことは堕落であり、右を選ぶということはキリストの許しを受ける正しい行いという意味になる。

そういえばウェイトレスの名前はマリアだし、その息子の名前はニコラス(聖人)だった。聖ニコラスは、殺されて樽に詰められた3人の子供たちを祈りで生き返らせた伝説がある人。このマリア・ニコラス親子がどんな存在なのかは映画の中で明かされるのでアレ。二人のこの名前には意味がある、とだけ言っておきたい。そんな感じでキリスト教的モチーフも盛り込まれている。
にほんブログ村 映画ブログへ
俳優は誰?
 役作りのために激やせしたクリスチャン・ベイルが主人公トレバー。目の下にはクマ、尖った顎、やせ衰えた胸板、眉毛は変わらず太い。そんな見た目もショッキングだけど、それだけじゃない!やっぱり一人芝居や狂気を演じるのが巧い!狂気といえば『アメリカン・サイコ』も凄かったベール氏。どちらも違った意味で鬼気迫る凄さですよ。『ダークナイト』やジョン・コナーみたいな根暗のヒーローよりも、こういう狂気な役のほうが好きだな。

じっとり系としてはユアン・マクレガー以上かもしれないね。『プレステージ』のじっとりネチネチ具合も良かったにゃ。でも何と言ってもガンカタな『リベリオン -反逆者-』が最強ですよ!

関連作品のようなもの
機械の中の幽霊 (ちくま学芸文庫)再販してくれないと高くて買えません。
機械の中の幽霊 (ちくま学芸文庫)
アーサー ケストラー
白痴 (上巻) (新潮文庫)トレバーが部屋で読む本。
白痴 (上巻) (新潮文庫)
ドストエフスキー
インソムニア [DVD]不眠症の映画といえばこれですよね。
インソムニア [DVD]
アル・パチーノ; ロビン・ウィリアムズ
『くちコミニスト』を活用せよ!お客さまがお客さまにススめるマーケティング オール電化実践編『くちコミニスト』を活用せよ!
中島 正之/岸波 宗洋/黒川 聡

毛玉内関連記事:ファイト・クラブ
           ブロークン
           Re:DIAL /リダイアル 【あんた誰? なんで私に かけてくる?】
           ターミネーター4 【魂は 一体どんな メカニズム?】
           es [エス] 【役割に はまり込んでく 恐ろしさ】
           案山子男 オン・ザ・ビーチ 【キャンパスや 若者どもが 夢の跡】

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

サイズ君 | URL | 2009年07月13日(Mon)15:50 [EDIT]

お帰りなさい!富浦ではソフト以外に何か見てきたの?

lifeonmarsさんのところで知ったけど、ヤマトの実写版、キムタクってないよね。(>_<)
なんでもジャニーズ使えばいいってもんじゃない!っていい加減気付いてほしいよ。

クリスチャン・ベイル、激やせ!ビックリw(゚o゚)w
「太陽・・・」の頃から芸歴長いとは思ってたけど、ほんと色々演じてるんだね。
「アメリカン・サイコ」は原作より物足りなかった風に感じたけど、あれもクリスチャンだとは知らなかったよw(゚o゚)w

lifeonmars | URL | 2009年07月14日(Tue)06:15 [EDIT]

私の中のベールイケテル度は
リベリオン>アメリカン・サイコ=ダークナイト=プレステージ>バットマンビギンズ>>ターミネーター4>マシニストでございます。
この人のネチネチした役も好きです。

マシニストはベールが痩せた努力に監督が報いてない気がして低評価。まぁ役者バカで監督が望む以上に痩せちゃったのかもしれませんが…。

茶栗鼠 | URL | 2009年07月14日(Tue)10:49 [EDIT]

こんにちはです。
かなり期待して、スリラーと思ってみたんですが、どうも理解できなかったです^^/
でも、最後にああいう結末になったのはまとまっているし・・・・。
ハリウッドはメイクで頑張るかと思ったですが、どうもクリスチャンさんは違うみたい。役者魂ですね。
娯楽作品じゃなかった・・・・

>サイズ君さま。

P | URL | 2009年07月14日(Tue)16:50 [EDIT]

富浦は小湊行ったついでに寄っただけなので、本当ソフトだけ!あとは駅~道の駅の往復散歩という。

キムタクは自分がイケテルとまだ思ってる辺りが嫌。たぶん、演技もオレうまいっしょ!とか思ってるよね。私の中ではいつまでも、後ろから抱きしめて「オレじゃダメか」のイメージ。

ベイル氏、すごいんですよ。太陽の帝国は「蘇州ー!蘇州ー!」の場面が好きです。可愛かったですよね。

>lifeonmarsさま。

P | URL | 2009年07月14日(Tue)16:56 [EDIT]

リベリオンはかっこいいですよね!ガンカタ、マスターしたいなぁ。
バットマンビギンズでもねちねちしてましたね。てゆうか基本ネチネチなイメージです。

マシニストは脚本も俳優も素晴らしいと思います。アメリカのプロダクションがどこも引き受けてくれなくてスペイン行っちゃうって、どんな脚本だよ!とは思いますが。アメリカ的にはダメなの?これ。
監督もベイル氏の痩せっぷりを見て仰天したんだそうです。そ、そこまでは、頼んでないから!ねぇ、大丈夫?と。

>茶栗鼠さま。

P | URL | 2009年07月14日(Tue)17:01 [EDIT]

スリラーだと思いますよ。あちこちの断片に、あとから振り返ると意味が込められていたっていうのが、すごいカタルシス!集中して見てないと、理解しづらいかもしれないですね。

この映画はハリウッド・メイドじゃないですし、予算もそんなになかったんでしょうね。当初は特殊メイクを考えていたそうですが、ベイル氏が「おれ、痩せる!」と言い出したとか。この人の役者っぷりは凄いです。ここまでダイエットした役者はいないですからね。その割に過小評価されているのは、感情を内に込める抑えめの表情のせいでしょうか。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。