猫の毛玉 映画館

映画感想文を体内で丸めて吐き出す。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

劔岳 点の記 【何の為 この険しさを 登るのか】

tag ヒューマン 青春 スポーツ 政治

『劔岳 点の記』
2009年・日本
新田次郎の同名小説をカメラマン木村大作の監督で映画化。

 原作小説を読んでないまま観に行きました。平板で退屈な映画だ、との噂を聞いていまして、どんだけかしら?と悪い意味で期待してました。日本の映画は製作者の自己満足や子供だましなものが多くていかん!などと言えるかなぁ、なんて。

 したっけ、のめりこんで観ちゃったよ!やや長いなぁとは思ったものの、登場人物の心のドラマが盛りだくさんに描かれていて全然退屈しなかった。アクションものとか派手な映画が好きな人には向かないだろうけど。上映時間は本編139分。あと20~30分削ったらもうちょっと万人受けすると思うのだがな。あとアリエナイ表現が数箇所あったのには驚いたので、もうちょっとリアルさを身につけて欲しかった。

 予想に反してとても良い映画でしたので、やり場の無い毒気を抜くため、代わりに『アマルフィ 女神の報酬』とかいうやつの悪口を言っちゃうよ。ドコモ動画でしか観れないアマルフィ・ビギンズってなんじゃそりゃ!そういうマーケティングが大嫌いさ。ドコモに乗り換えたりしないよ!加えて、テレビで織田裕二主演映画を一気に放送して盛り上げようとしちゃって。昨今のメディア・ミックス商法がどうにもクダラナくて!観る気が起きないね。
劔岳 点の記 メモリアル・エディション [DVD]劔岳 点の記 [DVD]
メモリアル・エディション
浅野忠信
香川照之

コトノハ


「なんであれ、山に登ることは気持ち良いちゃー。」

 前人未踏の劔岳に、日本地図を完成させるために測量に来た陸軍陸地測量部の柴崎(浅野忠信)。測量のためには頂上に登って三角点を設置しなければならない。人を拒む険しい岩肌と万年雪に、登攀法を考えあぐねる。どうして登るのか、地図のためか。静かに思いに沈む柴崎だが、彼を案内する地元の山男・長次郎(香川照之)はこう呟いた。

どんな映画?
 CG、空撮一切なし!が売りらしいんだけど、CGはともかく空撮はやれよ!空撮ナシって全然アドバンテージじゃないから!

 そんな足を使って撮った自然の映像は美しいよ。夕陽、雲海、山脈、吹雪、紅葉する山肌、超長い雪渓。ついでにカモシカ、雷鳥、猿、熊まで唐突にアップのカットが挟まれる。まあ雷鳥は1箇所意味のあるシーンだったけど、あとは意味ナシの映像自慢かなぁ、なんて。

 もうでも、雪渓登りとか垂壁クライミングとかラッセルラッセル!とか修行のような辛さが伝わってきた!いちいち、うわぁ!うおぉ!と感嘆してしまいましたのよ。画像・映像で伝わりにくい斜度・高度感もしっかり伝わり、うほー!ってなった。(←落ち着け)

 ストーリー性もきちんとあるし、ラストに向けて徐々に登る人もその家族も皆がひとつになっていく感が爽やかに描かれるの。それが山頂を目指す行動と一緒くたになって、気持ち良い。ただちょっと描き方が薄いところもあるので、長次郎さんの息子の心境の変化が唐突に感じたり、測量士柴崎が掴みどころ無かったりもしたのが残念。でも良い話なのに変わりは無いやね。

 松田龍平が測量部の若者ノブ役で、嫌な感じがすごく合ってた。性格悪そうな顔立ちしてますよね?で、彼が浮石に思いっきり足をかけて滑落するシーンがあります。あの落ちっぷりは、途中で岩にぶつかってるし即死か重体ですよ!『岳』を読んでる皆ならわかるよね!よく頑張った!って三歩に言われてヘリにぶら下げられるタイプの滑落事故ですよ。無事とかマジ驚いたわ。アリエナイでしょ。

 歴史的には明治40年(1907年)7月、測量部は実際に劔岳山頂に立った。しかし映画で描かれたように皆が一体となっての初登頂ではなかったらしい。先にノブが、半月遅れて柴崎が登頂に成功したそうな。シェルパな人達はどうだったのかわからない。このとき、測量のための三等三角点を(重いので)立てられなかったにも関わらず、なんとか測量して標高を2998mとした。その後の測量によって3003mとされたのだが、またまた後の2004年、三等三角点設置およびGPS測量によって2997.7mと改められた。スッゲー!合ってたよ、柴崎さん!

 また、日本山岳会との初登頂争いは現実にはなかったことで、でもこれがドラマ性を盛り上げている。しかし、あの山岳会の人らはテントの前でスーツ着用してたけど、凄いよな。あの服装で山歩くのか?実際には、一般登山者の登頂成功はこの2年後のことだと言われている。歴史はそうだけど、小説にはやっぱりドラマとしての創作部分が必要だし、映画にはそれなりの見せ方もある。だから、感動の実話だなんだと言わずに、感動の創作と思うべき。

 修験者のおっちゃんがね、良い味を出していて素敵だったよ。山岳信仰っていうけど、山に限らず自然の中に身を置くと畏敬の念にうたれるよね。英語で言う"Awesome!"だね。自らの小ささを感じ、受け止め、感謝する。その雰囲気が映画にはよく出てたと思う。

 初登頂することがそんなに大事か?大事なのは「初」じゃない。何のために登るかだ。地図を完成させるのは何のためか?そういう諸々の答えがラストにしっかり提示されるのは納得だった。「何のために登るんですか?」という台詞のところで、つい「下りるために登るんさー。」って言いたくなったよ。(それは『クライマーズ・ハイ』だ)
にほんブログ村 映画ブログへ
関連作品のようなもの
劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34))原作本。新田さんは山の小説をたくさん書いてます。
劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34))
新田 次郎
もうひとつの劔岳 点の記映画には描かれなかった背景。192㌻。
もうひとつの劔岳 点の記
山と溪谷社
神々の山嶺(いただき) (1) (集英社文庫―コミック版 (た66-1))山のロマンはこの漫画が決定版!夢枕獏原作。超感動!
神々の山嶺(いただき) (1) (集英社文庫―コミック版 (た66-1))
夢枕 獏/ 谷口 ジロー
岳 9 (ビッグコミックス)山漫画といえばコレっすね!毎回泣く。一話完結形式。
岳 9 (ビッグコミックス)
石塚 真一

毛玉内関連記事:

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

サイズ君 | URL | 2009年07月22日(Wed)09:12 [EDIT]

おぉ!ついに見に行かれたんですね。
オイラもこの映画は見に行きたいんだけど、トラウマで行けずにいます。

「バトル・イン・シアトル」ってどんな映画ですか?面白かった?
高尾山、いいなぁ。彼氏と行ってみたいって話してるの。でも、激混みは嫌だなぁ。

>サイズ君さま。

P | URL | 2009年07月22日(Wed)16:37 [EDIT]

最寄り映画館ではほどほどの混み具合。がら空きではなく、ぼちぼち人が入ってました。でも中高年の方が多くて静かでした。匂いも気にならず-。

「バトル・イン・シアトル」はまだ最新作だったので借りてこなかったぽん。
http://kedama7movie.blog43.fc2.com/blog-entry-94.html
このエントリの後半で説明してます。
なかなか硬派な雰囲気なのでレンタルが安くなったら見てみます!

高尾山は観光地なので人混みは仕方ないっす。
もそっと先の奥高尾なら山らしい山が楽しめます。ここんとこは高尾山ではなくて奥高尾、陣馬の方に歩きに行ってましたが、今回はリハビリなので高尾山止まり。高尾山に行くなら6号路で登るのがお勧めです!適度に山道。もしくは稲荷山コースで思い切りラフな山道を楽しむか。

サイズ君 | URL | 2009年07月23日(Thu)12:48 [EDIT]

検索、カタカナでしちゃったのが失敗(>_<)
スンマソン。
なかなか渋そうな映画だね。出演陣もいいし、WOW WOWで放送されないかな。

なるほど!
高尾山情報、ありがとうございます。
行くときには参考にさせてもらいます(*^_^*)

>サイズ君さま。

P | URL | 2009年07月23日(Thu)13:41 [EDIT]

検索してくれたんだ、ありがとう!
観たいですよね、これ。全然話題にもならないですが・・・。

近く、日記ブログのほうで今回の高尾山行のこと書きます。たぶん来週。真夏は暑いので、秋冬おすすめです。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。