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ノウイング 【知っている この終末は 不可避だと】

tag SF ホラー パニック サスペンス

『ノウイング』 KNOWING
2009年・アメリカ=イギリス
地球滅亡テーマのサスペンス・パニック映画。

 永遠の下がり眉ニコラス・ケイジ主演の黙示録。黙示録系SFというと最近では『地球が静止する日』ですが、アレよりもずっと面白かったですよ。怖かった!

 タイトルはズバリ“知っている”ときた。だって世界の終末は聖書に書いてあるから皆知ってるのだ。って、聖書を知らない人にはきっと判りづらい内容の映画。聖書的モチーフ盛り沢山のSFなのでした。そこが好き嫌いの分かれ目かと思われます。
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ニコラス・ケイジ
チャンドラー・カンタベリー

コトノハ


"You and me together forever."
(あなたと私、永遠に一緒)

 手話付きで繰り返し出てくる台詞。ちょっとドラマ『星の金貨』思い出した!この永遠に一緒の意味が魂レベルでってことで、物理的距離のことではないところがミソ。人はいつ死ぬかわからない。だから、一日一日悔いの無いように接していきたいね。

どんな映画?
 序盤はオカルトちっく。そしてタイムカプセルから出てきた謎の数字の羅列をスーパー第6感で解読する辺りからサスペンスになり、旅客機の墜落、地下鉄の脱線事故と大変素晴らしい映像&音響のディザスター・ムービーと化す。この辺りは是非スクリーンの大きい音響設備の良い映画館で迫力を楽しみたい。そして映画はホラーっぽくなり、パニックになりSF的神話として昇華される。

 オープニングの上空から町を真下に見下ろす映像とか、すごくぞわぞわする。映画の全体に漂う不気味さは、こういった映像表現とBGMと正体不明の何かへの恐れの三位一体アタックの賜。いろいろな要素が詰め込まれた映画だけれど、この不気味さを横軸に、数字の羅列の謎を縦軸においてきちんとまとまっている感じ。

 話の展開の仕方も巧い、と思った。ただ、そんな回りくどいことする必要あったのかなーとか思っちゃうよね。数字のメッセージにしろ子供達のことにしろ。もっと効果的な方法がいくらでもあるじゃろが。そんな風に思わざるを得ないのは残念だけども、全体にとても怖かったし、どうにもならん滅亡感が怖いながらも心に希望の灯るラストが良かった。逆らえない圧倒的な運命と、その中で自ら選択し行動することで魂の救済が得られる。あと、絶滅動物に興味があってね、とかいうくだりはちょっと皮肉。
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聖書との関係 ―観てから読んでね
 実に多くの聖書的引用が見られるよ!まず、主人公の名前はジョン。ジョンはヨハネの英語読みですから、この映画はヨハネの黙示録なのだな、と察しが付くわけです。ヨハネ=“あなたこそはその巻物を受けとり封印を解くに相応しい方”(ヨハネの黙示録 第5章9節)。映画のジョンはまさにこの役割でした。

 映画ラストはノアの方舟を連想させるし、エデンの園の中央部にある生命の樹を思わせる木に駆け寄るシーンは創世記っぽい(この実を食べて性を知り子を成す)。加えて、2人が連れたウサギは、イースターバニーでお馴染みの生命の再生・繁殖のシンボル。この地での子孫繁栄が示唆されるわけです。黙示録の終末を経て、新たな創世記が始まる。ケイレブが言ってたとおり、人間は初めからやり直すんだな、と。

 また、エゼキエル書第11章にはこう記されている。
 主はこう言われる。わたしはあなた方をもろもろの民の中から集め、その散らかされた国々から集めて、イスラエルの地をあなたがたに与える。(中略)彼らはその所に来るとき、(中略)わたしは彼らに一つの心を与え、彼らの内に新しい霊を授け(略)。

 たくさんの船があったから、移送された人間は彼ら2人だけではなさそう、という予感を裏付けてくれる。世界のあちこちでジョンとケイレブとアビーのような物語があったに違いない(ただし聖書の場合はイスラエルの民しか救われない。ユダヤ民族の選民思想の源ですがな)。

 エゼキエル書といえば映画中でも言及されてましたが、イメージの引用が多いよ。エゼキエル書はUFOとの遭遇を描いたものだ、なんて一部で言われているので、映画のイメージにはもってこいだったのかも。第1章(10章でも繰り返される)には川のほとりで神の幻を見た話がある。

エゼキエル書 第1章抜粋
 わたしが見ていると、見よ、激しい風と大いなる雲が北から来て、その周囲に輝きがあり、たえず火を吹き出していた。その火の中に青銅のように輝くものがあった。またその中から4つの生きものの形が出てきた。その様子はこうである。彼らは人の姿を持っていた。おのおの4つの顔を持ち、またそのおのおのに4つの翼があった。
(中略)
 この生きもののうちには燃える炭の火のようなものがあり、たいまつのように生きものの中を行き来している。火は輝いて、その火から、稲妻が出ていた。

 うん、ラストのアレの描写はこんな感じでしたよね。4つの顔を持っているのが、映画で再現されなかったところ。そこの描写は「前方に人の顔を持っていた。右の方に獅子の顔を持ち、左の方に牛の顔を持ち、後ろの方に鷲の顔を持っていた」となっている。これ再現しちゃったらさすがに胡散臭いもんな。

 続いて第2章で預言が託される。
 また見よ、手の中に巻物があった。彼が私の前にこれを開くと、その表にも裏にも文字が書いてあった。その書かれていることは悲しみと、嘆きと、災いの言葉であった。

 映画中でのあの数字の書かれた紙もこんなだったなぁと思ったでしょ?文字が数字に置き換えられただけ。

エゼキエル書には他にも、「火をもって彼らを滅ぼし」など、神が地に火を送り焼き尽くす描写が数カ所見られたり。この終末は不可避のこととも言い切られているのが、映画でのあの絶望的なフレアの描写に繋がっているように思います。

 して、新世界のアダムとなるジョンの息子ケイレブは、モーセの出エジプト放浪中に出てくるケイレブCaleb(ケレブ、カレブとも)とイメージがダブります。

民数記 第13章~14章あらすじ
 エジプトでの奴隷生活から逃れ砂漠を彷徨うモーセ一行イスラエルの民であったが、主が用意された乳と蜜の溢るる土地―約束の地カナンを目前に控え、12人の偵察隊を送った。戻ってきた者のうち10人は、カナンの先住民は強くてとても我々が住めそうもありませんなど否定的なコメントをぬかした。ただヨシュアとケイレブの2人のみが「やつらなんて屁でもねぇぜ!主が追い払ってくださるさ!素敵な土地だぜ、行こうぜ皆!」と信心深さを見せ、皆を説得しようとしたが石投げられた。痛い。

 が、民の大意は否定的なもので、主は「どんだけ不信心な奴らだ!死んじゃえよ!」と怒った。けどモーセが口八丁手八丁でなだめすかしたので主は民を滅ばさずに、あと40年間彷徨わせることにケテーイ! しかも生きてカナンに入れるのは俺様を信じたヨシュアとケイレブだけだもんね!貴様らの子供達は入れてやるが、俺様を疑った貴様らは荒野で死ね!あと俺様を侮蔑した10人の偵察隊は即刻疫病で死ね!

 神様、こわいよね。そんなわけでケイレブは信仰の人、疑わなかったお陰で約束の地に入ることを許された人。映画でのケイレブも声を疑わず、父親に説明し、約束の地に行きますね。疑った父親ジョンは、声を聞かぬ者として置き去りにされました。

 約束の地に行くもう1人の少女アビー、つまりアビゲイルかなぁと推測。サムエル記に出てくる女性で、前述ケイレブの子孫ナバルの妻。アビゲイルは賢く美しかったけれど、夫のナバルは粗暴者。

サムエル記上 第25章あらすじ
 ナバルとアビゲイルは羊の毛を刈ったりして裕福に暮らしていた。そこに、サウル王の娘婿ダビデからの使者がやってきてこう申し立てた。「あなたたち今、収穫祭をしてるんでしょ。あなたのとこの羊飼い達は私達と一緒にいたけど、私達ってば彼らに危害を加えませんでしたよ!羊飼い達はカルメルの地にいるあいだ、何ひとつ失いませんでしたよ!彼らに聞けば本当だってわかります。だから、私達に好意のしるしとしてあなたの手元にあるものをよこせ。」

 ナバルは「ダビデって誰だよ?最近じゃあ主人を捨てて逃げてくる僕も多いよね。なんで俺のパンとか水とか、働き手の為に屠殺した肉をどこの馬の骨ともわからん奴らにあげねばならんのか!」と追い返した。使者からそれを聞いて、ダビデは戦闘意欲満々で400人の軍勢を率いてナバルの元に向かった。「私はあんなに守ってやったのに、てんから無駄だった。親切を徒(あだ)で返された。ナバルのとこの男ども皆殺しにしてやる!」

 一方、アビゲイルは羊飼いの1人から話を聞いて、ダビデの人達は確かに良くしてくれて夜も昼も守ってくれていたことを知った。このままではダビデにやられる!そこでアビゲイルは、ナバルに内緒で大急ぎにパン200、葡萄酒の皮袋2つ、調理した羊5頭、いり麦、干し葡萄、干しイチジクを大量にロバに乗せて運んだ。道中、武装したダビデと出会ったので平謝りしてみた。「ナバルはバカなんです。どうぞお気になさらずに、この私だけを責めてください。あなたの使者がナバルに話したとき、私はその場にいなかったのです。なので、今こうして贈り物を持ってきました。主はあなたを守り、あなたの敵をうち捨てるはずです。あなたが自分でナバル達を殺したら、あなたがイスラエルの王となるときに、わけなく人を殺したといって揶揄されるでしょうね。」

 そこでダビデはアビゲイルを称え、主は復讐の罪を犯そうとする自分を止めにアビゲイルを遣わしたのだと主を称えた。「贈り物は受け取っておくから、あなたはそのまま帰りなさい。私はあなたの願いを聞いて許します。」その後、アビゲイルから事の次第を聞いた夫ナバルは石のようになってしまい、10日経った頃に主が彼を撃って死んだ。そのことを聞いたダビデは、主が私の復讐を果たしてくれた!ほむべきかな!と称え、ついでにアビゲイルを自分の妻とした。(後にダビデの子を成す)

 ひどい話だな。聖書は本当ひどいので一度読んでみると良いよ。それはともかく、このようにアビゲイルは良き僕、賢い妻なのだ。アビゲイルは的確な助言をしてダビデの魂を救ったとされ、神を理解する者、神の寵愛を受けた者と考えられている。映画のアビーは、全てを受け容れ進んでケルビム(天使または宇宙人、合わせてエイリエンジェル)に従おうとした。ケイレブ1人だったら父の元を離れなかったかもしれないが、アビーの存在がケイレブをケルビムに従わせたって感じか。

 他にも聖書との関わりはあるかもしれないけど、気づいたのはそんなところでした。

関連作品のようなもの
幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))大まかなイメージはこの古典SF小説。
幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))
アーサー・C・クラーク
ベートーヴェン:交響曲第7番&第8番交響曲第7番イ長調Allegrettoが印象的にかかります。
ベートーヴェン:交響曲第7番・第8番
プレヴィン(アンドレ)
クライシス2050(字幕版) [VHS]フレアといえばこの映画。DVDになってないのね。
クライシス2050(字幕版) [VHS]
ティム・マティソン

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           ポール・ベタニー主演"Legion"予告編
           アンデッド
           ウィッチマウンテン/地図から消された山 【宇宙人 中途半端な 超能力】
           ハプニング
           交響詩篇エウレカセブン:ポケットが虹でいっぱい 【思い合う 心が作る この世界】

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| | 2009年07月28日(Tue)20:36 [EDIT]

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>tamoさま。

P | URL | 2009年07月29日(Wed)17:33 [EDIT]

1999年の予言が終わって、次の終末予言は2012年ですからね。
世紀末ではなくて世界の終末気分が続いてるのでしょう。というか、ドラマチックですからね、そういうシチュエーション。昔からあると思いますよ-終末映画。今は、人間の愚行が地球を滅ぼす的なのも多いですが、私はこの映画のように人の手の及ばない何かが滅ぼすと思っていたので、この映画は好きですね。
2012年映画はどんな話になりますかね~?楽しみです。

聖書やコーランは好きで読みますが、別に凄いことじゃないです。文章である限り、読み手の受け取り方で意味合いは違ったものになりますし、きちんと理解はしてないと思いますし。ただ、神こえぇー!とか選民思想ひでぇー!とかそりゃないぜ、ジーザス!とか茶化してますw。

幼年期の終わりは壮大すぎて!あれを面白く映画化できたら素晴らしいことですよね。技術は整ったのだから、あとは良い脚本待ちでしょうかね。

kino | URL | 2009年07月30日(Thu)02:30 [EDIT]

こんにちは。
>ちょっとドラマ『星の金貨』思い出した!
観たことありました、のりピーでしたよね。碧いうさぎという歌でした。
↑こういうのはわかりますけど、聖書はさっぱりです。
Pさんが、聖書の内容を、くわしく紹介されてて、参考になりました。
宇宙の使者?さんは、ブラックホールみたいで変わってましたよね。
天使の羽もついてましたね。

>kinoさま。

P | URL | 2009年07月30日(Thu)03:40 [EDIT]

そう、のりPです!手話で、あなたを愛してるって言うシーンが印象的で。大沢たかおも素敵でしたが、私は竹ノ内派!

エゼキエル書はものすごく意識して映画を作ってると思います。
あの人たちは体がシースルーで青い稲妻みたいなの纏ってましたね。燃えてるみたいな、プラズマみたいな。
ぐわっと口開けてビーム発射するところ、驚いたやら怖いやら!

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