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ゲド/戦いのはじまり 【ゲド戦記 映像化するの やっぱ無理】

tag ファンタジー

『ゲド/戦いのはじまり』 EARTHSEA
2004年・アメリカ=カナダ
ル=グウィンの『ゲド戦記』シリーズを実写映画化。172分のTV映画。

 ル=グウィン女史は映像化に恵まれないお方だ。というか、壮大にして深遠に過ぎて2,3時間の枠で収まる世界ではないのだ。竜と魔法使いと人間が共に住む世界アースシーを描いた原作物語は、全6巻。さまざまな登場人物が出てきて、自然への畏怖、自然界のバランス(均衡)、宗教、アンビバレンツ、自己形成、死、女の生き方、虐待、変化する世界といった、実に多岐にわたるテーマが詰め込まれている。

 ジブリの日本アニメ版は、3巻のゲドとアレンの旅を軸に1巻(影に追われる)と4巻(龍人テルーの存在)のエピソードをアレンジして取り入れたものでした。こちらのアメリカ=カナダTV版は1巻のゲドの影との戦いを軸に、2巻のカルカド帝国の神殿の話を大幅に(ほぼ跡形もなく)改変して混ぜ入れたもの。

 私はジブリのほうが好きです。原作の美味しいとこつまみ食いではあったし、中盤のテルーの歌以降が唐突すぎて破綻しているけれども、それなりに“世界の均衡”のテーマは描けていた。何よりテルーの歌が素晴らしかったよね(原作のテルーはもっと醜くただれた顔だし、ノドも潰されていたけど)。こちらTV版は原作の世界観や名称を使った、まったくの別物語となっていますよ。
ゲド~戦いのはじまり~ [DVD]ゲド 戦いのはじまり [DVD]
ショーン・アシュモア
ダニー・グローヴァー

どんな映画?


 島での戦い、オジオンとの出会い、ロークでの修行時代…ここらへんは1巻をほとんど忠実になぞっている。なんかロークで魔法を使って死者を呼び出すところで、邪悪な魔物を呼び出してしまい、それが名なき者ってことになってるのが原作と違うところ。純粋悪な位置づけで、ゲベスと呼ばれていた。そいつから逃げろと言われてゲドの逃亡生活が始まる。

 1巻の影に追われるエピソードはちゃんと書けていたと思います。が、2巻の名なき者を祀る暗闇の神殿の雰囲気は全面的に変えられていて、宗教に人生を奪われる子供の孤独なんかはさっぱり表現されていませんでした。何よりもテナー(アルハ)が大巫女ではなく、巫女の一人に過ぎないのが意味不明。ただの権力争いエピソードに成り果てていたよ。

 で、一番の違和感。それはゲドの名前が最初からゲドなこと。このシリーズでは真の名がいかに重要かということを思えば、この無意味な改変には戸惑うしかありません。原作ではマスターであるオジオンに真の名「ゲド」を貰う。それまではダニーと呼ばれ、それ以降の通り名はハイタカ。限られた人しか彼を「ゲド」とは呼ばないわけだ。それがTV版では子供の頃からゲドと呼ばれ、オジオンに授かる名がハイタカ。なんでそこ逆?真の名設定がまるっとカットならば納得できるけど、そこは生きてるんだもん。

 どうせTV映画にするなら、原作の1巻~5巻をそれぞれきちんと映像化してほしかったなぁ。元々、巻ごとに独立したテーマ、独立した話なんだしさ。薄っぺらいファンタジー・アドベンチャー映画になってしまって、それなりに楽しめるけれども原作を考えるとちょっと残念な出来ってところ。本当に、名作の映像化って難しいね!と実感できた映画でした。勿論ル=グウィン女史のお気には召さなかったそうです。そんなこんなで考えると、ジブリ版はよく頑張ったなぁと思うわけです。たとえル=グウィン女史の気に入らなくてもね。

 原作ファンのみんな!これは旧作レンタル100円のうちに観ておくべき!観てぶっ飛ぼうぜ!
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俳優は誰?
 ゲドは『X-MEN』シリーズのアイスマン役、ショーン・アシュモア。カナダの俳優さんですにゃ。可もなく不可もなく的な感じで、巧からず。

 同じくカナダ出身の超キュートなクリスティン・クルックタンがアチュアン神殿の巫女の一人、テナーを演じました。もうね、ただただ可愛い!この可愛さを観るためにこの映画を観た、と思えば許せるぐらいに可愛い。最近『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』で主役のチュンリーやってた子ですよ。観てないけど。春麗、どうだったんだろか。

 続いてアチュアン神殿の大巫女様にイザベラ・ロッセリーニ様。すっかりお婆ちゃんぽくなられた!麗しきイングリッド・バーグマンの娘御であらせられるので、気品ある佇まいが素敵。若い頃の出演作ではやっぱり『ホワイトナイツ 白夜』がピカイチ!

 ビッグ・ネームがもう1人。ゲドの師である賢者オジオンにダニー・グローバー。原作世界はカルカド帝国の人の肌色が白く、他は褐色という設定。なのでオジオンが黒人なのは違和感ない。というか、ゲドとかロークの人とかみんながみんな白いのは何で?映画中で唯一の黒人だった印象。それはさておき、グローバー爺、飄々とした雰囲気が賢者っぽくて良かったです。

関連作品のようなもの
ゲド戦記 全6冊セット (ソフトカバー版)原作シリーズ。ゲドはあんまり主役張りません。原題は"Earthsea"です。
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アーシュラ・K. ル=グウィン Ursula K. Le Guin
ゲド戦記 [DVD]日本アニメ版。歌が良かったよね。こーころを何に例えよう~♪
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空飛び猫 (講談社文庫)ル=グウィンの童話絵本を村上春樹訳で。
空飛び猫 (講談社文庫)
アーシュラ・K. ル・グウィン
真説・外道の潮騒真説・外道の潮騒
町田 康

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