猫の毛玉 映画館

映画感想文を体内で丸めて吐き出す。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

パイレーツ・ロック 【魂は 死なない誰も 止められない】

tag ヒューマン コメディ 音楽映画 青春

『パイレーツ・ロック』 THE BOAT THAT ROCKED
2009年・イギリス=ドイツ=アメリカ=フランス
1960年代後半、英国で隆盛を極めた24時間ロック&ポップを放送する海賊ラジオの話。

 英国にいくつか実在した海賊ラジオ局とそのDJ達をモデルに、実際にあった出来事を少しずつ混ぜ込んで作り上げたフィクション。'60年代のロック&ポップがふんだんに使われていて、時代の雰囲気を伝えてくれる。

 ひとつの船で暮らす個性的なDJ達と粋なオーナーの人間模様、高校を退学になって母親にこの船に送り込まれた少年カールの青春、風紀を乱すラジオ局を潰そうと躍起になる大臣一派。それぞれのストーリーが絡まる群像劇だよ。

 良い映画でした!本当に!ひとつひとつのエピソードがあってこそのラストの感動!二度泣いた。国側と船側の対立が深刻に描かれず、さらっと進んでいくのがまた素敵。くどくど説明的にならずに展開で見せていくタイプだから、行間を読みながら観てほしい映画。

 原題は“ロックした船”。ロックには揺り動かすって意味もあるから、心を動かす船とも。ちなみにアメリカでのタイトルは"Pirate Radio"(海賊ラジオ)ですって。
パイレーツ・ロック [DVD]パイレーツ・ロック [DVD]
ニック・フロスト
エマ・トンプソン

コトノハ


"Nothing important dies tonight, just a few ugly guys on a crappy ship."
(今夜、大事なモノは何も死なない。ただボロ船に乗ったおかしな男どもが死ぬだけだ。)

 これから先どんどん凄い曲が歌われるだろう。残念なのは、まだ見ぬ名曲をこの手でかけられないことだ。と続く。ロックは死なない!どんなに抑圧されても、規制されても。そんな時代を越えて、今はいくらでも好きな音楽を手軽に聴ける。音楽を持ち歩ける時代。それは素敵なことだけども。確約された便利さ、自由さの中にはロック魂があるだろうか?ロックの在り方も変わってきた、と思う。

どんな映画?
 時代背景についてはパンフレットの8㌻にあるピーター・バラカンさん寄稿の文章が素敵なので、600円で買ってください。600円はちょっと高いすな。ということで軽く触れておくべき?大事なとこだけざっくりまとめますた。

 ラジオといえば国営放送しかなかった'60年代イギリス。1962年にビートルズがデビューしてロックに火を付けた。国営放送(BBC)では楽団を守るためのニードル・タイムという規制があり、レコードを流す時間が厳しく制限されていた(BBCのラジオ・テレビ全チャンネル合わせて週に34時間まで)。他は全部生演奏だったわけだ。

 そんな状況下の1963年、ラジオ・キャロラインは民間放送を始めた。海岸から約5キロ離れた洋上はイギリスの法律適用外になるので、船を停泊して一日中ロック&ポップを流した。翌年にはラジオ・ロンドンも同様に海賊放送を開始。イギリスの人口の実に半分以上がこういった海賊放送を聴いてたと言われる。

 が、映画で描かれるように1967年法改正により、イギリス国民が海上放送のスポンサーになったり出演したりすることが違法となり海賊放送終了へと。同年9月、BBCはロック中心のラジオチャンネルを開設することに。1973年にやっと民間放送が成立し、次第に自由になっていった。

 というわけで、そんな時代の空気を見事に表した映画でしたよ。船の上の暮らしは勿論、合間合間に挟まれるリスナーの姿がまた良い!寝たふりをして枕の下のラジオに耳を傾ける子供、集まってキャーキャーと聴く少女達、ひっそりと聴くおじさん達。ラジオで世界と繋がっている、みんなが聴いている、そこには僕しかいないけど。

 アメリカから来た人気DJザ・カウント(フィリップ・シーモア・ホフマン)とアメリカ帰りで英国伝説のDJギャビン(リス・エヴァンス)がマスト登り合戦をするあたりは本当にロックだなぁと思いましたよ。くだらないことだけど、命がけ。これは映画のラストにも繋がっているテーマだと思います。重たいレコード・ボックスと共に海に沈み行くDJの姿にも熱いものを感じて泣いたよ!海賊ラジオ局最後の時に、万感の思いで船を見つめるオーナーのクエンティン(ビル・ナイ)の表情にもグっときた!

 いろいろあって、それでも仲間で、ただ好きな音楽を流したくて。それに全てをかけた男たちの、いい加減で緩くて熱い青春。軽妙な笑いに包まれ、ラストには深刻ぶらずに感動する爽快感。良い映画を観たなぁと心から思えるよ。

曲については、全曲リスト(シーン・メモ付き)がありましたので、ご参照ください。英語だけど。
THE BOAT THAT ROCKED(what-songより)

 監督&脚本の(リチャード・カーティス)は『ラブ・アクチュアリー』で監督デビューでしたけど、脚本家としては『ノッティングヒルの恋人』も書いてましたね。『ラブ・アクチュアリー』では英国首相vs米国大統領のエピソードで英国に軍配を上げて。『ノッティングヒルの恋人』では英国で小さな本屋をしている男性とハリウッド女優との恋を描き、英国男性の勝利(勝ち負けじゃないけど、なんとなくね)。アメリカを引き合いに出しては英国バンザイ!って言ってるような気がする。本作も米国人DJvs英国人DJ対決があったわね。だけど今回はアメリカに花を持たせた感じ。アメリカ人DJを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンに対する敬意の表れだろうか、彼がとても素敵に描かれていてラストは見事にかっさらっていった。
にほんブログ村 映画ブログへ
俳優は誰?
 海賊ラジオ曲ラジオ・ロックのオーナーにビル・ナイ様。『ラブ・アクチュアリー』の老いぼれロッカーや、『アンダーワールド』シリーズの長老ヴィクター、『ワルキューレ』のオルブレヒト、などなど存在そのものがカッコ良いね!今回もお洒落でロックでユーモア溢れる粋な存在感を発揮!そこにいるだけで雰囲気を作れる人ですね。予告編で言っている台詞「スペクターキュラー・ミステイク」って言い方もカッコ良い。そんな素敵な爺さんですが、来る『ATOM』(鉄腕アトムのハリウッド版アニメ映画)でお茶の水博士のの声を担当。まあ、観ないけどな。

 アメリカ人DJザ・カウント(伯爵)にフィリップ・シーモア・ホフマン。この役のモデルはザ・エンペラーと呼ばれた米国人DJロスコウらしい。さすがは名優ですことよ。ちょっとしたシーンで哀愁漂わせたりするのが巧い。もう人生の頂点は過ぎたんだ、とカールに話すシーンはグッときた。最近では『ダウト ~あるカトリック学校で~』での曖昧な演技が印象的ですにゃあ。

 対するイギリスの伝説のDJギャビンにリス・エヴァンス。『ノッティングヒルの恋人』でヒューのおかしな同居人やってましたね。ところが今回はむちゃカッコイイ。役のモデルはジョニー・ウォーカーらしい。いきいきとDJやってるのは、彼自身バンド組んで音楽活動もしているから。

 イイやつだけどなんか狡いDJデイヴにニック・フロスト。小太りで冴えない感じなのになぜか女にモテモテ。良い声してますよね。「ウェルカム!トゥ・ザ・ボート・オブ・ラ~ヴ」って言うとこ好き。フロストと言えば『ショーン・オブ・ザ・デッド』のサイモン・ペグの親友で笑わせてくれました。同じく『ホット・ファズ~俺たちスーパーポリスメン!~』でもペグの相棒やってました。こんなに良い声してたっけー?

 たくさん素敵な俳優が出てるけれど、この人に触れて終わりにするよ。海賊放送ぶっつぶせ!のドルマンディ大臣にケネス・ブラナー。シェイクスピア俳優が、なんかヒトラーみたいな役をコミカルに演じているよ。すげえ!そういえば、元妻のエマ・トンプソンも出演しているけど一緒のシーンはなし。最近は監督のほうパっとしないから、浅野忠信が出るという噂のアメコミ映画"Thor"を楽しみに待っていよう!

関連作品のようなもの
ザ・ファイヴ・サウザンド・スピリッツ(紙ジャケット仕様)深夜のDJボブが手放せずに溺れそうになったレコード。その後「つまらんレコード」と言われるのが面白かった。
ザ・ファイヴ・サウザンド・スピリッツ(紙ジャケット仕様)
ジ・インクレディブル・ストリング・バンド
ノッティングヒルの恋人 [DVD]ロマコメの王道!リチャード・カーティス脚本。
ノッティングヒルの恋人 [DVD]
ジュリア・ロバーツ; ヒュー・グラント
ラブ・アクチュアリー 【プレミアム・ベスト・コレクション1800】 [DVD]カーティス初監督の群像劇。しあわせ映画。
ラブ・アクチュアリー [DVD]
エマ・トンプソン; ローラ・リニー
Let's Dance [ENHANCED CD]映画のラストにかかるのはこの曲。今まで'60年代だったのに、これだけ'83年の曲ですよ。
Let's Dance [ENHANCED CD]
David Bowie

毛玉内関連記事:

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 
こんにちは。

晴雨堂ミカエル | URL | 2009年12月07日(Mon)15:22 [EDIT]

 「ホット・ファズ」の太っちょ警官が出ているでしょう。これはけっこう名作です。
 
 マイケル・ジャクソンの映画は、彼の存在だけで名作になりますのでレビューのしようがありませんが、これは面白い。

 以前、イギリスのTV番組で企業研修のドキュメントがありました。厳しい軍隊式の教練で、参加者はついに団結して教官に反旗を翻し縛り上げて集団脱走したそうです。実はそれで合格なんです。日本ならば最後まで教官に忠実なのが合格でしょうけれども。
 
 日本にもパイレーツ魂があれば活性化するでしょうが。

>晴雨堂ミカエルさま。

P | URL | 2009年12月07日(Mon)15:31 [EDIT]

本文中にも書きましたが、ホット・ファズ面白いですよね。
ニック・フロストのイメージがパイレーツ・ロックで随分変わりましたよね。

マイケルの映画はムーンウォーカーのこと?This is itのこと?後者は良い映画でした!前者はPV的なトンデモ映画ですが奇天烈さを楽しめましたよ。

モンティ・パイソンの人生狂騒曲の前座的ショートフィルム『老人は荒野をめざす』みたいですね、イギリスの話。

晴雨堂ミカエル | URL | 2009年12月08日(Tue)12:25 [EDIT]

 マイケルの映画は「This is it」も含めて全部です。
 
 今年は突拍子も無く盛りのアーティストが他界されて驚きの連続でした。

トラックバック

TB*URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「パイレーツ・ロック」

個性的なヤツらのロックンロールな生き方、おもしろかったぜ!

或る日の出来事 2009年12月01日(Tue) 07:35

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。