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キャピタリズム マネーは踊る 【マネーとは 寂しがりやと 見つけたり】

tag ドキュメンタリー 政治

『キャピタリズム マネーは踊る』 CAPITALISM: A LOVE STORY
2009年・アメリカ
突撃隊長マイケル・ムーアが送る、米国資本主義への痛烈な批判。

 まずわかっていて欲しいこと。ドキュメンタリーは、人の手が加わることによって事実ありのままとはいえない。例えば『アース』はエコ・ビジネス的な主張をするし、『The Cove』は科学的データの不十分なままイルカ保護布教活動をしている。人の手が加わる限り、そこには主義主張が存在するのだ。これは当たり前のことなので、本作も勿論マイケル・ムーアが言いたいことを主張するために編集された映画だよ。

 私はこの映画を観て良かったと思った。なぜなら『スペル』の婆さんの気持ちがわかったから!『スペル』では伝わってこなかった社会背景が、やっとこ垣間見れた感じ。これはぜひ、2本立てで観たいものです。DVD発売の際はぜひセットで!

 原題にはラブ・ストーリーとあります。ある愛の物語。それは本来、資本主義における金持ちのカネに対する愛の深さを皮肉ったタイトルだそうです。が、私にはマイケル・ムーアのアメリカに対する愛の物語に見えた。この人は愛国者だよね。アメリカよ、このままで良いのか?そう強く問題提起する姿に、最後は涙が出た。

 現在は東京のシャンテと大阪の梅田の2箇所でしか公開されていないけど。2010年1/10~全国に拡大公開されるので、お近くで上映していたら是非!

キャピタリズム~マネーは踊る プレミアム・エディション [DVD]キャピタリズム~マネーは踊る[DVD]
プレミアム・エディション
マイケル・ムーア

どんな映画?


 関係ないけど、toho映画館を最近応援している。映画興行界をリードする革新的な興業会社だと思う。勿論東宝というバックボーンあってこそ、大胆なことができるんだろうけど。3D料金改訂や鷹の爪団のマナー広告は凄いと思う。たーかーのーつーめー。VITってなぁに?「バーさんが、いとこの、たかおに。」

 さあさあ、本題。冒頭で猫が人間用水洗トイレで水を流すコラージュが挟まれたり、相変わらずユーモアたっぷり。ムーアのナレーションっぷりも皮肉なユーモアに彩られ、さすがに作りも見せ方も巧い。資本主義はイコール民主主義ではない。民主的な政治ってなんぞや?現在のアメリカ資本主義が陥っている、大多数(95%)の弱者からの搾取という構図が果たして自由経済のなれの果てなのか?

 長年住んできた家を取りあげられる庶民。彼らがなぜこんな目にあっているのかを映画はわかりやすく伝えてくれる。サブプライムローンのせい、と一口に言っても、そこには華麗なる罠が仕掛けられていたのだと。家を担保に融資するとTVCMでは優しげに誘い、最初は少なかった返済額は年々増える一方。とうとう払えなくなったら家を取りあげる。そして転売業者の暗躍。

 日本人的感覚では、借金するほうが悪いとか、甘い賭事にノった方が悪いとか思いがち。私も概ねそう思っていた。でもこれは、国家規模の洗脳に等しいやり口で、ウォール街と富裕層と政府が結託してるのだから難しいだろう。

 一方、銀行側は国庫からでた補助金で傷を負うことなく経営続行。その金の出所であるはずの庶民は、家を追い出されたり倒産したり失業したり。これでは皆のカネを返せ、と言いたくもなる。弱き者は挫かれ、一つまみの強き者だけが富むのだ。

 常々、アメリカ人はなんでそんなに借金ばかりしてんだ?と疑問に思っていたが、社会全体で借金推奨してんだよな。借金、アタリマエ。考えてみれば、莫大な額の医療費や大学の学費(数百万円~数千万円)は、借金せねばとうてい払えない。しかも『スペル』の婆さんみたいに、医療費というのは突然入り用になるのだし。実際、医療費のために借金して家をなくす人が多いと聞く。そのあたりは監督の前作『シッコ』を観たい。

 資本主義を「悪だ」ときっぱり言い切るムーアは、ともすると米国人の大嫌いな共産主義的にも映る(共産主義そのもののシステムが悪いわけでなく、適切に運用されていないだけ、と私は思っている)。映画の中にも共産主義っぽいある会社のシステムが紹介されていて、従業員は末端からCEOまで全員給料は同じだという。売上げは伸びており、皆満足しているとのこと。

 他にも、パイロットの薄給ぶりや、会社が従業員に勝手に死亡保険をかけて保険金を受け取っている(Corporation Owned Life Insurance―これは企業側にも正当な言い分があるだろう)などの事実が語られる。弱き者からお金が盗まれている、こんな世の中じゃ…といった切なさ満載。ムーアの主張は、資本主義から脱却して新しい政治の在り方を模索すべき時が来ている、と締めくくられていたように思う。共産主義との二択ではなく、真実新しい在り方が。

 観ながら、学生時代の自分を思い出した。当時は日中は大学で講義を受け、夕方仮眠して、夜どおし働いて朝帰宅する生活で学費と生活費を賄っていた。お金は学費と本代と食費に全部消えていった。母は母で家のローンを払い続けていた。ボーナス月の返済額には気が遠くなると言っていた。あくせく働きづめで、大して貯金もできやしない。そんな日々に「資本主義は必要悪だ」と私は言い切っていたっけ。そんな私に「悪ではないよ、悪では」と諦め顔で呟く友人もいたけれど。

 マネーは踊る、という邦題が付いたこの映画。いいや、マネーは踊っているんじゃない。強者の持つ掃除機に吸い込まれているのだ。資本主義への懐疑の声が、もっとあがることを期待してやまない。私はムーアみたいにきっぱりと「悪だ」と言い切れない半端ものだけどね。たーかーのーつーめー。
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「キャピタリズム~マネーは踊る~ 」悪者を決めつけるより、そこから何を学ぶかが重要そうだ

「キャピタリズム~マネーは踊る~ 」★★★ マイケル・ムーア監督、127分 、 2010年1月9日公開、2009年、アメリカ (原題:CAPITALISM: A LOVE STORY)                     →  ★映画のブログ★                     ?...

soramove 2010年01月25日(Mon) 07:39

レビュー:キャピタリズム マネーは踊る

『今回の標的は資本主義!マイケル・ムーア、本気の「アメリカ映画」』 / 巨漢マイケル・ムーアが、突撃取材と過去映像の自在な引用・編集、そしてナレーションとで作った、要するに「いつものマイケル・ムーア」シリーズの最新作。『ボウリング・フォー・コロンバイン』...

INTRO 2010年01月10日(Sun) 18:28

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