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The 4th Kind フォース・カインド 【アブダクション あったら恐い セレナーデ】

tag SF ホラー サスペンス ミステリ

『The 4th Kind フォース・カインド』 THE FOURTH KIND
2009年・アメリカ
“実際の事件”に基づいて“記録映像”を交えて再現した宇宙人ホラー。

 まず、タイラー博士の顔が怖い。当事者である“実在の心理学者”として登場し、監督にインタビューを受ける映像が映画の要所要所に散りばめられています。これが既に恐いのよ。タイラー博士はやつれて、でも目だはカっと見開いてギラギラと怪しく光っていてね。すっかりビョーキな人の顔つきなの。取り憑かれてるって感じ。それが一番怖かった!

 そんなタイラー博士が催眠治療の際に録画していた“記録映像”と、博士の役を我らがミラ・ヨヴォヴィッチが演じる“再現映像”、そして先般触れた“インタビュー映像”の3つが混じり合って構成されています。

 タイトルはJ・アレン・ハイネック博士の接近遭遇分類を踏まえて、次の段階として後年加えられた第四種接近遭遇―異星人の訪問、アブダクション―のこと。ハイネック博士の分類は、第一種が近距離(150m以内)でのUFO目撃、第二種は目撃したUFOから何らかの影響(エンジンや電気機器の故障、草木が枯れたり倒れたり)を受けた場合、第三種は中の人(異星人)の目撃や接触、とされている。

 これは事実なのか、信じるかどうかはあなた次第、という宣伝文句のお陰で非常に感想が書きづらいのでありますが、後半にネタバレ・セクションを設けてそのへん詳しく書いていきます。これから観ようという方は、あまり知識をいれずにマッサラな状態で観た方が楽しめます。宇宙人好きな冬樹くんみたいな人はかなり怖く思うんじゃないでしょうか。

そういえば英国国防省は、60年近く存続してきたUFO部門を去年12月に閉鎖したっけね-。
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特別版
ミラ・ジョヴォヴィッチ
ウィル・パットン

どんな映画?


 雪に閉ざされたアラスカの町ノーム。タイラー博士は夫の突然の死に取り乱していた。何者かに殺された夫の事件は未解決で、二人の子供たちのうち1人は精神的ショックから失明し、もう1人は母への反抗的な態度を隠そうともしない。

 早く日常に戻るべきだ。と考え、精神医としての仕事に打ち込もうとする。すると住民の数人が不眠症に悩まされ、聞いてみると非常に似た状況にあることがわかる。催眠治療を施すも、患者は甚だしく取り乱して暴れてしまう。「フクロウがオレを観ている…フクロウが…いや!フクロウじゃ…ない!」

 謎を解明しようとすればするほど何らかの邪魔が入り、否応なく事件に巻き込まれていくタイラー博士。録音テープに残っていた謎の音声、何かを知っているに違いない患者、説明のつかない不気味な現象が次々と起こり、何がなにやらわからなくなっていく…。

 さて。この録音されていたのが現存する世界最古の言葉シュメール語だと判明するあたりから雲行きが怪しくなってくる。シュメール文化は宇宙人がもたらしたものってオカルトな説があるしね。後半の、博士が狂っていく感じがさすがミラちゃんですよ。狂人演じさせたら世界一かもしんない。いや、狂人は言いすぎか、なんだ、取り憑かれたような振る舞いがね、凄いですよ。

 インタビュー映像で終わる、その作り方が巧いな、と思いました。監督が事件への疑いを口にすることで、却って信憑性が増すというやつです。全体として、画面分割も凝っていて斬新だし、語り口も巧いし、面白い映画でした。良く出来た映画。ただ、“実際の事件”を基にしていると喧伝しているわりに、どの事件のことなのか具体性に欠ける。「信じるかどうかはあなた次第」という宣伝の仕方がマイナス・ポイントだったなぁと思わずにいられない。
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信じるかどうかは私次第― ※ネタバレたっぷり
 事実を基に、とかどうでも良いと思うわけですよ。見終わって、私は「よく出来たフィクション映画だなぁ」としか思わなかったけど、一緒に見た世帯主様は「怖い!」と半ば本気で信じてました。私、宇宙人嫌いなわけじゃないし、いてもおかしくないと思っているけどさ。この映画のこれはね…。

そろそろぶっちゃけましょうかね。

 まずはシュメール語が切れ切れに聞こえてくる設定。これは疑わしいことこの上ないよ。わしゃ、ここで一気に頭がフィクション・モード突入したもの。不明瞭なシュメール語の音声で、あれだけ意味を解するのは相当難しいはず。なぜなら同音異義語が多くて、中には1つの単語が20個の別の意味を持つ場合もあるというから。しかも映画中で単語単語がぽちぽち部分部分で英訳されているわけで。まあ、これは眉つばだねぇとの思いを強くしたよね。

 次が“記録映像”の患者がベッドから少し浮くシーンね。笑ったわ。これはないよね。なんか修行でもしたんか、と。

 そして映画の中で言われている、失踪・行方不明事件の不可解な多さ。これは別に他のアラスカの町と比べて特別多いってことはないのだそうですよ。その原因は極寒の地に共通のアルコール問題。アルコールで良い気分で外出してどこかに埋まっちゃったり落っこちたり。FBIとしても、そのような見解に落ち着いているとのこと。

 ところで映画の撮影はブルガリアで行われたそうで、なるほど景色が全然アラスカっぽくないわけだ!ツンドラ平原ないもんな。やけに起伏のある緑豊かな土地だった。
※この記事の終わりに比較写真があります。上の写真が映画でのノーム、下の写真が本当のノームの町並み。
参考⇒Movie blames Nome disappearances on aliens(Rural Alaska blogより)

 別に良いんですよ、フェイクだって。映画ってフィクションなんだからさ。わかってて、その中に真実を感じたりするものでしょ。こんなことも実際ありそうって思ったりさ。それなのに、これは事実なんだ!って頑張りすぎてるのが少々カンに障るんです。映画の中だけで“記録映像”なるものを使ったりして事実っぽさを演出をしているだけなら、これほど苛つかないんですけどね。(実際に映画を観ればほとんどの人が作り話だとわかる仕様だと思う)

 何がやり過ぎたって、ユニバーサルのネット宣伝のやり方。映画で描かれる事件についてのニュース記事や死亡記事を捏造したサイトまで作ったんですよ。実在の新聞の名前まで使って。こういうのは、どこかに明確に「事実ではありません」と記載しないとダメだろ。いや、目的が閲覧者にその記事を真実と信じさせることなんだから、そんな但し書きはしないわな。

というわけで、この件が報道の信頼性を揺るがす行為として訴えられておりました。結局2009年11/12に、ユニバーサルがアラスカ記者クラブに2万ドル支払うことと、捏造サイトの即消去を行うことで落ち着きましたとさ。
参照元⇒Studio settlement reported for fake movie news(Breitbartより)

 今はもう見ることができないこの捏造サイト。一体何が書かれていたのでしょうか。映画の登場人物の死亡記事の他には?先ほどの、ノームの町並み写真が載っていた記事に詳しく書かれていたので要約。

 "Alaska Psychiatry Journal"という捏造サイトにはタイラー博士のバイオグラフィーが載っており、関連記事として不眠症や催眠治療の記事も載っていた。ただしホームページやコンタクト・インフォメーションはなく、本物の医療関係のサイトであれば、それらは必ずあるはずのもの。
(※このサイトのドメインはGoDaddyにて2009年8月13日に取得されたものであることはココをみればわかるよ)

 もうひとつ"www.alaskanewsarchive.com"という捏造サイトでは、アラスカの古くからある新聞ノーム・ナゲット(The Nome Nugget)の記事として、タイラー博士が研究のためノームにやってきたという内容のものがあった。そこには実在の記者・発行者であるナンシー・マグワイアの名前まで使われていた。本人のあずかり知らぬことである。

 むーん。ちょいと悪質だよな。なんでそこまでして事実と虚構の境を曖昧にする宣伝の仕方をしたのだろう?私としては気に入らないわけですよ。だもんで、わざわざネタバレ・コーナー作ってこんなことを暴いているのだけど。

 映画そのものは面白いんですよ。すごく巧いもん。それがこんな馬鹿げたマーケティングで台無しになっちゃうなんて勿体ないと思うけどなぁ。フィクションだってわかって見ても充分にゾっとするし、宇宙人いるかもな…てな気持ちになるから。ただ、事実だ事実だ言われると本当に馬鹿馬鹿しくなる映画でもある、と思ったのでした。
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