猫の毛玉 映画館

映画感想文を体内で丸めて吐き出す。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

渇き 【欲望と 消えていきそな 良心と】

tag ヴァンパイア ホラー 恋愛映画 スプラッター

『渇き』 BAK-JWI/Thirst
2009年・韓国=アメリカ
エミール・ゾラの『テレーズ・ラカン』を下敷きにした哀しい愛の物語。

 韓国映画はあまり観ないのですよ。昔、まだ韓流ブームなんて言葉のなかった頃映画館で観た『JSA』はボロ泣きして忘れがたい映画となりましたが。あと覚えてるのは『オールド・ボーイ』『ハッピーエンド』ぐらいしかないという有様だよ。

 その『オールド・ボーイ』でごっつい気分悪くなった私ですが、なんていうのか精神的なキモさがあったんですよ、アレは。でも面白かったけど。ちょこちょこコメディ調になって笑いどころがこさえてあるのよね。今回観た『渇き』は同じパク・チャヌク監督作品てことで恐る恐るガクブルしながらの鑑賞でした。

 精神的なキモ悪さは影を潜め、もっとストレートに人間の欲望と葛藤を描いていたよ。多くは説明されない、観てる側がその奥の意味を考えるべきシーンも所々にあって、もう一度観たくなりました。

 物語のベースはエミール・ゾラの小説『テレーズ・ラカン』で、登場人物の配置・設定はほぼそのままです。ただ画家のローランが、吸血鬼と化した神父サンヒョンである点が『渇き』の特徴。その他の登場人物の名前は『テレーズ・ラカン』に似てるのも面白いです。(テレ-ズ=テジュ、ラカン夫人=ラ夫人、病弱な夫カミーユ=ガンウ)
渇き [DVD]渇き [DVD]
ソン・ガンホ
キム・オクビン

どんな映画?


 人のために自らの体を犠牲に差し出したはずが、どういうわけか生き残り、しかもヴァンパイアになってしまった哀しき神父サンヒョン(ソン・ガンホ)。神父の善き心が、試練を与えられてどんどん負けていく姿が哀しく、時にユーモラスに描かれます。

 ゴア(血みどろ)なシーンあり、コメディタッチなシーンあり、エログロシーンあり、心象風景のファンタジックなシーンあり、アクション・シーンあり。1本の映画に様々なテイストを詰め込んであるから、飽きさせない!

 神父の運命の女テジュ(キム・オクビン)の刻々と変わる姿にどす黒い思いを抱かずにはおれない、そんな後半。彼女の抑圧されていた欲望への扉が解放され、残酷なまでにすべてを求める姿は哀れであり、同時に貪欲に生きる逞しさも感じられて責められない気持ちにもなる。義母への愛情も憎しみも垣間見え、見かけ以上に複雑な女であることは確か。神父への、旦那への、全てに対して愛憎半ばする思いを抱えているんだろう。

 テジュを守りたいけれど、その為に誰かを殺す罪悪感との戦い。神父が自分を崇拝する信者を敢えて裏切り、テジュとの道行きの前に彼らを解放するためにする行為の偽悪さ。良心を持ったヴァンパイアと、欲望のままにヴァンパイアとしての自分を受け容れて奔放に生きようとするもう一方のヴァンパイア。一筋縄でいかない人間の複雑な心、アンビバレンツが存分に味わえる。

 本当に怖いのは、人間がただ欲望を叶えるために罪を犯すこと。その罪を犯さなくては、と思い込むこと。ヴァンパイアでいえば、血への渇きゆえに殺人を是とするかってことになるのかな。生きていくためとはいえ、人を殺さなくても糧としての血は得られるのだから。それを言ったら不必要なほどの動物の肉を食べている自分は…と考えると、テジュの気持ちになれちゃいます。
にほんブログ村 映画ブログへ
関連作品のようなもの

テレーズ・ラカン (劇書房ベストプレイ・シリーズ)岩波文庫の小説版は絶版のよう。こちらは戯曲版。
テレーズ・ラカン (劇書房ベストプレイ・シリーズ)
エミール ゾラ; ニコラス ライト

嘆きのテレーズ [DVD]『テレーズ・ラカン』の映画化作品。(1952年)
嘆きのテレーズ [DVD]
シモーヌ・シニョレ; ラフ・ヴァローネ
オールド・ボーイ スタンダード・エディション [DVD]パク・チャヌク監督はこの映画が凄かった。
オールド・ボーイ スタンダード・エディション [DVD]
チェ・ミンシク; ユ・ジテ
ハッピーエンド 特別版 [DVD]不倫もの韓国映画はこれが凄い。
ハッピーエンド 特別版 [DVD]
チョン・ドヨン; チュ・ジンモ

毛玉内関連記事:

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

トラックバック

TB*URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

『渇き』お薦め映画

俳優陣の身体を張った頑張りで、狂気の世界が生まれた。ヴァンパイアよりお化けより神様よりも女が怖い…。

名機ALPS(アルプス)MDプリンタ 2010年04月13日(Tue) 01:12

小栗旬 井上真央

猫の毛玉 映画館 渇き 【欲望と 消えていきそな 良心と】 今日の毛玉吐き. 山岳漫画『岳』が映画化されちゃうぜ。三歩さんが小栗旬だって。 中の人. since 2008/6/19頃. P. Author:P 映画の感想文専用ブログです。 日々の徒然は猫の毛玉に書いてます。 リンク・トラバは...

知りたいニュースは30秒で読め! 2010年03月22日(Mon) 13:11

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。