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カラヴァッジョ 天才画家の光と影 【栄光と 罪深き業 輝けり】

tag コスチューム 歴史 ヒューマン

『カラヴァッジョ 天才画家の光と影』 CARAVAGGIO
2007年・イタリア=フランス=スペイン=ドイツ
16世紀イタリアのバロック画家カラヴァッジョの伝記。

 本国イタリアでは90分×2回(180分)のTV放送。映画版はイタリアのTV版より短くて133分となっとります。47分間はどこに行った?謎です。んまあ、TV用とは思えないほどの美しさ、完成度なので観てみたらば?

 他国ではTV放送だったものが、日本では映画館公開されるパターンが最近目につくような気がします(『ココ・シャネル』『ウォレスとグルミット/ベーカリー街の悪夢』など)。大人の事情もありましょうが、TVドラマとは思えない豪華キャストだったり、質の高い作品が増えたから日本では映画館扱いなのでは。

特にアメリカのケーブルTVのドラマはここ1~2年質が高いんじゃないか、と。私が観たいのはHBOの医療ドラマ"You don't know Jack"!末期病患者の安楽死を推進したキボキアン医師の伝記ドラマで、主演はなんとアル・パチーノ様。4/24の午後9時に放送されるそうなので観れる方は観てパチーノ!

 脱線しちゃった!てへ!ってなわけで画家の生涯を描くイタリア語の映画、絵画好きに超おすすめ!…って、私なんでこんなテンション高いんだ?
カラヴァッジョ~天才画家の光と影~【完全版】 [DVD]カラヴァッジョ~天才画家の光と影~【完全版】 [DVD]
アレッシオ・ボーニクレール・ケーム

どんな映画?


 ミラノからローマに出てきてどうにか画家として生計をたてる。そんな時期から始まり、有力なパトロンを見つけ、問題を起こして去り、事件があり、庇護を求めてマルタの騎士団に赴き、若くして生涯を終えるまでをテンポ良く描いている。いや、なんとも波乱に満ちた生き様!というか、自ら厄を招いているような気性の激しさ。人間カラヴァッジョの危うい魅力を余すところなく表現していた。

 そんなカラヴァッジョを演じるのはアレッシオ・ボーニ。粗野モードのヒュー・ジャックマンを細身にしたような、なかなかイイ男でしたよ。ところで、カラヴァッジョって地名だったのね。本名はミケランジェロ・メリーシさん、出身は北イタリアのカラヴァッジョ。人呼んでカラヴァッジョ。亡くなったのは37歳だったという。天才は早く死ぬのか。

 タイトル通り、画家の人生の光と影を見せているのだが、影の部分のなんと多いことよ!常に剣を携えて、短気で情熱的で喧嘩っ早い。またリアリストでもある。モデルを使って画を描くことは、この時代下品とされていたのだけど、リアルさを優先する彼は娼婦や町の子供にモデルを頼む。当然そんな彼の絵画に反感を抱く者も出てくる。

 時折カラヴァッジョを悩ます黒騎士の幻影は、死の影。いつでも死神はすぐそこにいて、彼は狂わんばかりの恐怖を覚え、同時に死への誘惑に駆られる。病と狂気と激情と、そしてこの死の匂いがカラヴァッジョにはいつもつきまとっている。

 大人になれないというのか、直情径行というのか、ほとんど自業自得な結果になったわけで。そこには、そうしか生きられなかった一人の人間の苦悩や哀しみ、エゴ、絵画がもたらす栄光を越えたところの性(さが)が見えてくる。愛すべき困ったチャン、カラヴァッジョ。でもだからこそ、あんな素晴らしい気迫に満ちた絵が描けたともいえる。

 とにかく天才というのは凡人には理解しがたいものなので、彼の破天荒さは理解できなくて普通なのだ。これは彼に共感するための映画ではない。一人の天才の生き様を驚きと共に眺めるための映画だ。天才の心の襞を少しだけ垣間見ることのできる、良い映画だった。

 映像は光と陰影が美しい。特にモデルの頭上から陽光が差してまるでスポットライトのように浮かびあがるシーン、完成したばかりの絵画に右側から光があたるシーンなど言葉にならない波が心に押し寄せる。
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岡田 温司

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