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NINE 【監督と スターが織りなす 夢世界】

tag ミュージカル ヒューマン

『NINE』 NINE
2009年・アメリカ=イタリア
フェデリコ・フェリーニの『8 1/2』を下敷きにしたミュージカルの映画化。

 アーサー・コピットがフェリーニの映画『8 1/2』(はっかにぶんのいち)(1963年)を舞台脚本化し、1982年にブロードウェイ・ミュージカル『NINE』が上演された。それを更にアンソニー・ミンゲラが映画脚本化し、『シカゴ』のロブ・マーシャル監督が撮ったのがこの映画『NINE』。この経緯は『リトルショップ・オブ・ホラーズ』みたいなことになってますな。

 主人公グイド・コンティーンニ監督の9作目の映画製作を描いた映画、という意味でタイトルはNINE(9)となってます。あと、元ネタであるフェリーニのセルフ・パロディなコメディ(ミュージカル映画ではない)『8 1/2』がフェリーニ監督の8と1/2本目の映画だから、それにミュージカル要素を加えたことによって+1/2とみなしてのNINEでもある。なぜフェリーニにとって8と1/2本目だったかというと、長編6本(『白い酋長』『甘い生活』『カビリアの夜』『崖』『道』『青春群像』)に加えて、短編2本(『ボッカチオ'70』収録、『街の恋』収録)+共同1本(『寄席の脚光』)を各1/2本とし6+1 1/2本=7 1/2本を監督とした実績があったから。

 フェリーニ版もマーシャル版も主要登場人物は大体一緒。本作は大筋ではフェリーニ版と同じ内容・テーマでありつつ、ミュージカル版の煌びやかさを付加、フェリーニのカリスマと芸術性を差し引いたエンタテイメントとなってます。

 好き嫌いは分かれると思うけど、私はこれ大好き!曲も、豪華出演陣も、美術も、映像も、幻想的な語り口も、スランプに陥る男の悲哀と可笑しみも、ラストの一体感とカタルシスも。ザッツ・エンタテインメント!私はフェリーニ版よりもコチラの方が断然好みですよ(比べること自体間違ってるぞ、自分)。DVD発売が待ち遠しいのでありますよ。あ、BDにしようかな。BDソフトってまだ高いイメージ。
NINE Blu-rayNINE Blu-ray
ダニエル・デイ=ルイス
マリオン・コティヤール

コトノハ


"You just have to say yes or no. What else do you do? Nothing."
(イエスかノーと言ってればいい。他にすることある?それだけよ。)

 衣装部屋に逃避してきたグイド(ダニエル・デイ=ルイス)に、衣装担当のリリー(ジュディ・デンチ)が言う台詞。映画監督なんて職業は過大評価されている、監督の仕事なんてイエスかノーを言ってるだけよ、と。そうしてグイドの気を落ち着けようとしている、この二人の関係性が素敵。リリーの曲はシャンソン風の"Folies Bergere"。フランス訛りでコミカルに魅せるよ。

どんな映画?
 もうね、映画ってこうだよなぁ!っていう楽しみが詰まってるよ!バンバンに!舞台はイタリア映画界、主人公は巨匠監督。人気実力兼ね揃えたスターが華やかに勢揃いし、歌って踊って盛り上げる。スターの魅力で映画を牽引する昔ながらの映画スタイル。

 映画全体から古き善き映画界にオマージュを捧げる雰囲気が溢れていて、観客を酔わせてくれます。スクリーンもシネスコ・サイズで目の前いっぱいにぐわっと広がる別世界が楽しい。イタリアの陽光、海、カラフルさ、美しい建造物に調度品の意匠、ホテルの内装、衣装。街の様子も素晴らしく美麗!作中で言われたように「全てのシーンが絵になる」。ライティングが最高の効果をあげているのも特筆もの!

 前半で、10歳の少年であり続けたい気持ちと、それに反して老いていく自分の苦悩を歌ったグイド。ラストにはしっかりと少年の自分を抱えこんだ“現在”のグイドとして落ち着きを見せる。この映画のテーマはコレだ!クリエイティブに生きる男の、空虚感とそこからの脱出。

 神経質で気分屋な言動をするグイド。自らの想像の世界に遊び、ハっと現実に戻ってくる感じが可笑しみを醸し出して笑わせてくれる。この感じ、わかる!想像の世界が頭の中から飛び出して目の前に広がっていく感覚と、その没頭から我に返ったときの空虚感。それに、創作意欲がさらさらと掌から零れ落ちていくカラッポ状態も。この産みの苦しみよ!てなわけで心象風景が多い、というかほとんど。

 複数の女たちとの拗れた関係や、カラッポな自分を追い立てるプロデューサーや記者からの逃避も、宗教に頼ろうとして失敗するのも、すべてが空回りする滑稽さ。グイドを演じる英国俳優ダニエル・デイ=ルイスはイタリア訛りを習得して滑稽さと悲哀と空虚感を素晴らしく演じていました。

 グイドの人生のすべてがディレクターズ・チェアーの後ろに勢揃いし、万感の思いで発する『アクション!』に胸がじんわりきます。言葉にならない感情が広がって、これぞ映画の良さだ!と快哉の叫びをあげたくなる。背中に負う人生の重みを受け止め、自分自身を肯定し、そうして撮るグイドの映画はどんなものになるのか。それはもう観てきたこの映画なんだ!このカタルシス!

 ミュージカル的な盛り上がりは2カ所。ヴォーグの記者ステファニー(ケイト・ハドソン)の煌びやかなご機嫌ナンバー"Cinema Italiano"はお洒落で洗練されたキャッチーな1曲。娼婦サラギーナ(本職歌手のファーギー)がエネルギッシュに歌い上げる迫力の"Be Italian"もまた素晴らしい。退廃的でキッチュな曲をさすがの歌唱力で圧倒するよ!公式サイトの右下で選曲して聴けるので聴いてみたら良いよ!重たいけど。
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俳優あれこれ
ひまわり HDニューマスター版 [DVD] まず何と言ってもイタリアを代表する女優ソフィア・ローレン!出番は少なくてもどーんとした存在感。変わらぬ凛とした美貌に感動する。

 ローレンがゆったりと歌う"Guarda La Luna"はどこか不安定な気持ちになる、奇妙に頭に残る曲。左の画像は私の大好きな『ひまわり』

エディット・ピアフ~愛の讃歌~ (2枚組) 次に、映画の中でもっとも輝いていたのがグイドの妻ルイザを演じたフランス女優マリオン・コティヤール。左画像は彼女がエディット・ピアフを演じた『エディット・ピアフ 愛の讃歌』。もうシャンソン歌手を演じた実績があるから安心感あるよね。

 歌は切なく美しい"My Husband Makes Movies"と激しくセクシーな"Take It All"の2曲。歌で聴かせる美声もさることながら、美貌と微妙な感情表現の巧みさで魅せてくれました。

オープン・ユア・アイズ [DVD] グイドの愛人カルラ役はスペイン代表ペネロペ・クルスちゃん。超ホット&セクシーな"A Call From the Vatican"をワイルドに歌ってます。この愛人のタイミングの悪さは本当に可笑しい!

 左画像は『オープン・ユア・アイズ』。他にも『ボルベール<帰郷>』とか素敵な映画にたくさん出てるわよね。

ムーラン・ルージュ [DVD] グイドのミューズである映画女優クラウディアにニコール・キッドマン様。どこか哀しげで芯の強いスターという役所がピッタリ合ってました!スクリーンテストでポーズをとる姿が堪らなく可愛い!左画像『ムーラン・ルージュ』で既にミュージカル映画は経験済み。とはいえ、彼女の出番はごく少ない。曲も哀切な"Unusual Way"をマスキュリンに静かに歌うのみ。ちょっと低音過ぎた気もする。

 オーストラリア時代の『デッド・カーム 戦慄の航海』『恋愛天国』も良い映画なのでオススメ。

関連作品のようなもの
NINEサントラCD。映像も素敵だったからDVD出るまで待とうかしら。
NINE
サントラ;マリオン・コティヤール
8 1/2 普及版 [DVD]元の映画です。アート映画寄り。
8 1/2 普及版 [DVD]
マルチェロ・マストロヤンニ; アヌーク・エーメ
Nine: Original Cast Album (1982 Broadway Cast)ミュージカル版のCD。主役はラウル・ジュリアでした。
Nine: Original Cast Album (1982 Broadway Cast)
Original Broadway Cast Recording
9INE ナイン [DVD]9INE ナイン [DVD]
メリッサ・ジョーン・ハート; ジョン・テリー

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「NINE」

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