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ウディ・アレンの夢と犯罪 【ここからは もう戻れない 後がない】

tag 犯罪 サスペンス ヒューマン

『ウディ・アレンの夢と犯罪』 CASSANDRA'S DREAM
2007年・イギリス=アメリカ=フランス
ウディ・アレンのロンドン三部作終章。現代のギリシャ悲劇。

 英国ロンドン郊外に住む二人の兄弟―頭の切れる兄イアン(ユアン・マクレガー)とギャンブラーの弟テリー(コリン・ファレル)の夢と犯罪。原題は兄弟が買った中古船につける名前。

 年に一度のウディ・アレンヽ(´ー`)ノとは言いつつも、日本公開されなかったりしてヤキモキしてました。本作は2007年の作品で、アレンがニューヨークを離れロンドンを舞台にした三部作の最終章です。つまり『マッチポイント』(2005年)『タロットカード殺人事件』(2006年)の次です。観たかったんだ、これ!日本公開ありがとう!

 この後、アレンはロンドンを飛び出して2008年『それでも恋するバルセロナ』(スペイン)を撮り、2009年は古巣ニューヨークに戻り"Whatever works"を撮りました。うん、'09年分は日本公開されてないね。せめてDVDで観たいのものですが。

2010年は再びロンドンに戻り、ナオミ・ワッツを始めスターのアンサンブル・キャストで"You Will Meet a Tall Dark Stranger"を撮り、公開待ちです。アレンの題名の付け方とキャストの豪華さから日本公開も期待できそうですが、どうなりますか。現在は2011年分の撮影準備中。今度の舞台はパリ!珍しく最初からタイトル決めたようで"Midnight in Paris"と題されています。フランス大統領夫人やらマリオン・コティヤールやらレイチェル・マクアダムスオーウェン・ウィルソンキャシー・ベイツなど出演者も凄い面々。今から楽しみです。
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ユアン・マクレガー
コリン・ファレル

どんな映画?


 原題は“カッサンドラの夢”。ギリシャ神話のカッサンドラの予言の意味と思われます。カッサンドラとはアポロンに愛され予言の力を授かったトロイアの王女の名前。その予知能力でアポロンの愛が冷める未来が見えてしまいアポロンを袖にしたせいで、彼女の予言を聞いても誰も信じないという罰も科されてしまいました。

 そんなわけで、カッサンドラといえば誰にも信じて貰えない不吉な予言、悲劇の予言。タイトルで悲劇が暗示されているわけです。カッサンドラはいろいろ辛い目にあって、最期はアガメムノンの妻クリュタイムネストラーに殺されてしまいます。映画では、賭に勝った犬の名だからと、これを幸運の名前と考えて主人公兄弟が船の名前にしたことがまた皮肉。カッサンドラの悲劇そのものじゃないか!

自らの魅力が美しい神の愛を引き寄せ、それ故に授かった贈り物が人生の悲劇を招いてしまう。そんなギリシャ神話の女性の運命と、映画の主人公兄弟の運命が見事に重なります。

 また、後半、イアンの恋人アンジェラ(ヘイリー・アトウェル)がパーティーでギリシャ悲劇の話題を出します。曰く「クリュタイムネストラーはやりがいのある役だわ」と。カッサンドラを殺す女クリュタイムネストラーの不吉な影がここにはっきり見えるわけです。(((((((;´д`)))))))ガタガタ

 アレンにしてはぐっとシリアス寄りな作風です。とはいえ、ゆるい笑いや皮肉な笑い、ブラックユーモアは盛り沢山。純然たるコメディとは呼べないけれど、コメディ的要素はあります。狼狽する弟テリーや、見栄っ張りな兄イアンの姿が滑稽な笑いを誘うよ。人生は滑稽だ!人生は理不尽だ!人は死ぬまで生きるのだ!ささやかな夢に向かってがむしゃらに。

 ロンドン三部作では金持ち・殺人・人生の皮肉・罪悪感ってのが共通してたと思います。犯罪者が法的に罰されないことだってあるし、だからといってそれが幸せかっていったらわからない。本作では兄弟の後援者である伯父さん(トム・ウィルキンソン)がこの後どうなったのか描かれないけれど、どんな心境だろうか?目的の達成に伴い失ったものに何を感じるのか?それとも何も感じないのか?

 ユアンはいつも通りにじっとりした雰囲気で良かったです。最強の湿度120%俳優!コリンはいつもと違って、情けなくもイイやつを滑稽に演じてくれました。イイやつっていうか、何だろう?普通の感覚の人間。この兄弟の意識の違いが面白かったですよ。兄は割と厚かましく、弟は気前の良いヤツ。

 あとどうでも良いけど気になったこと。序盤の湖にドライヴに行く道、イアンがアンジェラと出会うあたりって、『タロットカード殺人事件』のラストあたりでアレンが車飛ばしてた道と似てる。っていうか同じ場所?あれも湖に向かう道だったしなぁ。

 普段と違ってジャズが使われず、作曲家にサントラを依頼したという珍しさもあった。しかもその音楽が不吉で良い!あと、この映画で初めてステレオ音声にしたというアレンはアナクロ過ぎると思う。いや、そこが良いとこでもあるんだが。世間の3D熱狂もどこ吹く風で、「僕は僕の映画を撮るだけ」と言っとりました(どっかで読んだ)。確かに3Dのアレン映画なんて想像できないね!
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関連作品のようなもの
マッチポイント [DVD]2005年のロンドン3部作第一弾。面白いよ!
マッチポイント [DVD]
ジョナサン・リース・マイヤーズ;スカーレット・ヨハンソン
タロットカード殺人事件 [DVD]2006年のロンドン3部作第二弾。ラストのオチが好き。
タロットカード殺人事件 [DVD]
スカーレット・ヨハンソン;ヒュー・ジャックマン
俺たちに明日はない [Blu-ray]兄弟が引用してた。ここにも不吉な予兆があったね。
俺たちに明日はない [Blu-ray]
フェイ・ダナウェイ;エステル・パーソンズ

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