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運命のボタン 【行動の 全てに伴う 責任を】

tag サスペンス ミステリ ヒューマン SF

『運命のボタン』 THE BOX
2009年・アメリカ
リチャード・マシスンの短編小説『死を招くボタン・ゲーム』"Button, Button"映画化。

 これは面白かったですよ!好き嫌い別れると思うけど、私は好き。良い映画です。途中から予想もしなかった方向に話が転がり、ヒューマニズムと反復を示唆する哀しいラスト。前半で得た情報を元に、頭の中で出来事の背景を推理しつつ観たけど、かすりもしなかったわ。あれ、ソッチなんだあ!という驚き。

 1986年のTVシリーズ『新トワイライト・ゾーン』でも同じ原作が映像化されてまして45話『欲望のボタン』(原題"Button, Button")がソレ。日本ではDVD化されていないようで、VHSしかありませんな。どこぞの動画サイトで観られるとか何とか、いいますけど。

 原題は“箱”。直接的にはボタンが収められていた箱であり、抽象的には人間そのものを指す単語として使われています。今日も私達は箱に乗って、家という名の箱に帰り、TVやPCという箱を眺める。最後のは最近じゃあ箱じゃなくて板ですが。
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ジェームズ・レブホーン
サム・オズ・ストーン

コトノハ


"No exit."
(出口なし)

 映画中、度々出てくる。台詞として、背景の文字として。そして実存主義者サルトルの戯曲『出口なし』まで上演される。地獄、それは他人。逃れることの出来ない、他人の視線。自分は他人によって常に判断され、常に批評され、常にラベリングされる。それらはどれもある視点であり、真実。出口はない。たったひとつの本質などない。自らの歩んだ人生、選択した行動の結果があるのみ。この戯曲の舞台は、死後の世界なのだ。

 主人公ノーマ(キャメロン・ディアス)がラストに不思議な紳士スチュワード(フランク・ランジェラ)にかけられる言葉は、自分というものを決めるのは自分自身に他ならず、それは行動で示されねばならぬ、といったサルトルの思想に従うことを勧めるものだった。

どんな映画?
 箱に入った赤いボタン。これを押すか押さないか。押したら何が起こるのかをサスペンス感たっぷりに描きます。哲学×サスペンス×SF×不条理劇って感じですよ。

 ボタンを押せば、見知らぬどこかの誰かの命とひき替えに$1mil.ゲット!ワン・ミリオン・ダラーつまり100万ドル。現在のレートだと約1億円。でもこの映画の舞台は1976年なので大体1$=300円で3億円だ!姉さん、事件です!

 でもまあ押さねえわな、こんなん。とか言ったら話が終わっちゃうので、そこはそれ。粛々と裏でお金が必要になるように仕組んだりするわけだ。とんでもない罠ですよ。人間は弱い生き物ですから、誘惑×困窮で普段だったらしないような決断もしちゃうんです。

 サルトル曰く「人間は自由の刑に処せられている」。何を選び、どんな行動をし、どんな結果を残すのか、すべては自由意志。つまり、その行動の結果はすべて自分の責任てこと。行動のすべてに責任が生ずるのです。軽い気持ちでしたことも、熟慮の末にしたことも。“人間は自分を作っていくもの”なのです。自分探しなんてサルトルが聞いたら( ゚д゚ )ポカーンでしょうね。人間は、なりたい自分になれるのだから。

 映画の中では有名なアーサー・C・クラークの三法則の第三法則「高度に発達した科学技術は魔術と区別ができない」が2度引用されていました。しかも主人公の息子が「クラークはパパのお友達」とまで言わせていて面白かったよ。

 あと70年代中盤てことで、家の壁紙が派手な感じなのが素敵でした。家電もちょっと丸みのあるフォルムとポップな色が可愛い。衣装はどことなく地味で、時代の暗い雰囲気が出ていたのも良かったです。アメリカは月に到達し、スカイラヴ計画のまっただ中。宇宙という未知の舞台に飛び出そうとしていた時代です。そして悪夢のベトナム戦争が終結した頃。

 音楽はなんとアーケード・ファイア(カナダのバンド)が担当!サスペンスを盛り上げてくれました。『かいじゅうたちのいるところ』予告編で彼らの曲"Wake up"が使われていたのが記憶に新しいところ。おーおーおおおおーおーおー♪
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