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クレイジー・ハート 【ボロボロの 胸の奥から 魂の】

tag 音楽映画 ヒューマン 恋愛映画

『クレイジー・ハート』 CRAZY HEART
2009年・アメリカ
トーマス・コッブの小説を俳優スコット・クーパーが映画化。

 カントリー・シンガーの音楽と人生。成功の後の没落を描いた、ヒューマンドラマ。なんとこれが初監督となる、脚本も書いたスコット・クーパーに盛大なる拍手を送りたい!パチパチパチ!うん、俳優さんとしては全然知らなかったんだけどさ。

 主演ジェフ・ブリッジスといえば、大人のジャズ・バンド・ロマンス『恋のゆくえ ファビュラス・ベイカーボーイズ』でのセクシーな煙草くゆらすピアノ弾き姿を思い出します。本作ではすっかり老いた天才カントリー・シンガーソングライター役。かつての売れっ子、今や場末のバーやイベントでのドサ回り。人生の悲哀を刻んだ顔で演じています。

 この映画のラストシーンは、なぜか涙が出るんだ。(´;ω;`) これが何の涙なのか、わからないけど。全体的に抑えた演出で進んで、ラストシーンだって過剰に盛り上げたりしない。静かな、とても良いラストで。こういうのは好き!心に広がるペーソス、救い、失ったものと得たもの。素晴らしいドラマと音楽に、涙。
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ジェフ・ブリッジス
ロバート・デュヴァル 他

コトノハ


"No more Bad!"
(もうバッドはやめだ!)

 主人公バッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)の台詞。オレは死んで墓に本名が彫られるまではバッドだ、と生涯一カントリー・シンガーを宣言したバッドだったが。どんな心境の変化が訪れたのか。今のありのままの自分を受け容れ、見つめ直すことで、再生できる。

どんな映画?
 カントリー歌手のスターだったバッド。老いぼれて新曲も作らず、酒に溺れて自堕落な日々。ただ、ステージだけは休まない。どんな場末のローカルなステージでも。歌の才能も、歌への愛情も溢れるほどある。ただ、クサクサしてるだけ。

 そんな暮らしの中、自分の弟子で今や超売れっ子カントリー・スターのトミー・スウィート(コリン・ファレル)にコンサートの前座を依頼される。久々の大きなステージではあるが、トミーの前座なんて気にくわない!複雑な思いを胸に、またやさぐれて酔いつぶれる。

 トミーもバッドも歌うシーンがあって、それぞれ役者本人が歌っておるよ。バッドを演じるジェフはアルバムまで出してるほどだから歌も安心して聴いてられる。ハスキー・ボイスでラフに歌う姿は年月の重みを感じる渋さ。トミーを演じるコリンも、甘い優しい歌声でこれが素敵でしたのよ!まさにスウィート!特にラストのステージで歌う"The Weary Kind"はタマランねえ!

 音楽映画としても素晴らしいけど、ドラマとしてもひしひしと胸に迫るものがあって一級品!バッドのアル中っぷりは息切れ・咳き込みと汚らしさで、どうしようもない感がよく出とった。出会って恋した地方記者のジーン(ジェイクの姉マギー・ギレンホール)と、その小さな息子バディとの温かい家庭を心に思い描き、人生の晩秋を愛する者と共に歩もうとするけれど。

 バッドのどうしようもなさは『レスラー』のランディ(ミッキー・ローク)に通じるものがある。ああもう!ダッメだなあ!って。ランディの生きる世界がリングの上だったように、バッドはステージと歌作りの世界に生きている。ランディよりヤケになってないところがバッドの救い。

 この映画には本当にイヤなヤツって出てこない。弟子のスウィートだってとんだナイス・ガイだし、親友のウェイン(ロバート・デュヴァル)もバッドを支えてくれる素敵なおっさん。バックバンドの大勢の人達も、ジーン&バディ親子も、マネージャーも、みんな自然で良い人達!それは多分、バッド自身の他人に対する誠実さのせいでもあると思う。まあ、誠意に欠く行動をしたらそのツケは必ず支払わねばならない、ってことも描かれていたわけだが。

 バッドの心の旅を観て、その辿り着く先を観て、訪れるラストシーン。バッドの悲哀と救いに人生を感じて、なぜか泣けてくるのでした。胸に響く熟成したヒューマン・ドラマ。人には不意に転機がやってきて、大事な愛も不意にやってきて、そうして人は変われる。
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Crazy Heart
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Be Here Soonジェフ・ブリッジスが2000年に出したアルバム。
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Jeff Bridges
恋のゆくえ ファビュラス・ベーカー・ボーイズ [DVD]ミシェルの歌とジェフのピアノ。兄弟と恋愛と。素敵だったな。
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ジェシカ・タンディ; ヒューム・クローニン

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