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レポゼッション・メン 【高利貸し 利息で儲ける 高額医療】

tag SF アクション サスペンス スプラッター 動画付き

『レポゼッション・メン』 REPO MEN
2010年・アメリカ=カナダ
エリック・ガルシアの書いた『レポメン』映画版。

 医療技術が発達し、人工臓器でほぼすべての内蔵や関節・目・鼓膜などをカバーできるようになった未来。製造元のユニオン社は、高額な人工臓器をローンで売りさばき、返済が3ヶ月と6日滞ったときには回収屋を送り込む。そう、滞納者の体を切り開いて臓器を差し押さえるのだ。多くの場合で死に至るこの回収作業は、合法的に行われていた。

 怖いですね~。借りた金返さないのも悪いですが、だからって殺さなくてもね~。怖いですね~。って、書くとシリアスなSFかと思われちゃうわね。違います!ユーモアに満ちた、風刺スピリットある、流血バンザイB級テイストなSFサスペンス・アクションです。遊び心満載、野村萬斎。

レポメン (新潮文庫) ニコラス・ケイジ主演コン・ムービー『マッチスティック・メン』の原作者エリック・ガルシアがまず短編小説を書き、それを元に長編映画の脚本としてリライトを重ねたもの。映画化が形になるに従って、元々の設定を活かした小説的手法で書きたくなって長編小説『レポメン』(原題:Repossession Mambo)も書いちゃったそうです。なので、原作といっても小説と映画は双子のような関係。特に後半の展開は映画オリジナルだというし、主人公の設定やなんかからして小説版は別物とのこと。小説読んだ人も映画をしっかり楽しめるってことですね。

レポゼッション・メン ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]レポゼッション・メン[Blu-ray]
ブルーレイ&DVDセット
ジュード・ロウ
フォレスト・ウィテカー

コトノハ


"You owe it to your family. You owe it to yourself."
(家族のためですよ。それに、あなたのためです。)

 ユニオン社の上役フランク(リーヴ・シュレイバー)は、人工臓器ローンに踏み切れないお客に笑顔でこう言って決断を促す。このイカガワシイ笑顔がとても巧いんですよ、リーヴ。出番は少ないけれど、その胡散臭い物腰とクソ野郎っぷりとユーモア演技でハマリ役です!

どんな映画?
 未来のいつか、無国籍な都市が舞台。中国語表示や役者陣のインターナショナルっぷりから、本当に無国籍未来都市に見えるのが凄い。

 冒頭、レミーがタイプライターに向かってのモノローグはシュレーディンガーの猫の話。おっといきなり量子論だ!ハードSFか?すわ?と思わせる。全然違うんだけどね。でもシュレーディンガーの猫はこの映画のシンボルとして最後まで影を落とす。人工臓器で生かされ、一定期間滞納すればいつ差し押さえられるかわからない人間たち。生きてるのか死んでるのか、その間をたゆたっている状態よね。そしてラストの主人公レミー(ジュード・ロウ)の境遇がまさに究極的なシュレーディンガーの猫状態。にゃあ。

 これは社会風刺をユーモアとグロ描写でくるんだエンタテイメントだよ。テリー・ギリアムやモンティ・パイソンが好きなら楽しめると思う。それと『リベリオン-反逆者-』『Vフォー・ヴェンデッタ』などに滑稽さを増量した感じなのでソッチ系好きな人もどうぞ。いやあ笑った笑った!楽しかった!こういうB級テイストものはここまで突き抜けてないとな、やはり!

 のっけから無茶苦茶なレポ(回収)っぷりを披露されて、笑わずにはいられない。だって、体切り刻みながら陽気に切ない"Sway"が流れるんですよ!なにこのギャグ・テイスト。

"Sway"


 そんな感じで音楽や効果音の使い方がユーモアたっぷり。もうそれだけで笑っちゃう!レミーがAEDの故障で吹っ飛ぶシーンでは、効果音がなぜかゲームみたいな間の抜けた音で可笑しい。もうあちこち面白くて、カッコイイ系SFを期待して観に来た人がいたら可哀想だなって。

 終盤の特攻シーンも明るい音楽のせいでやけにマヌケでコミカルで、イケイケどんどん可笑しいよ!しかも爽快です。このピンクの扉に突撃するアクション・シークエンスはカンフー映画の雰囲気があった。最高!特にビニール袋を顔にかぶせる連携プレーで爆笑!そして雪崩れ込む必見の“回収プレイ”で腹筋よじれるかと思ったわ。無茶や無茶やw

repomen レミーと相棒ジェイク(フォレスト・ウィテカー)との友情が太い軸になってます。ワルふざけ仲間って感じですごく良い!ジェイクの片思いっぽいところもあるけど。

 で、そのジェイクがお庭でバーベキューの最中に“仕事”しようとして、青いエプロンを身につけるのですよ。ナイフを持って。その姿の滑稽さが凄い。しかもエプロンには漢字で“愛”って書いてあるし。他にもいろんな言語で愛を意味する単語が書かれていたと思うんだけど、“愛”だけ目立ってた!

 さて。ちょうどアメリカではサブプライム・ローン問題でゴタゴタして、この映画のような臓器ではないけど、家や車を差し押さえられる人達が多く出たのでした。借金を返せなくなったら、容赦なく取りあげなんです。そのあたりはマイケル・ムーアのドキュメンタリー『キャピタリズム マネーは踊る』を参考に。

更に、アメリカでは医療保険にも入れず、高額な医療費を払えないため病院に行けない貧困層がいる。支払い能力がなければ、病院のベッドも追い出されてしまう。(映画には関係ないけど大学の学費も高額なので、学資ローン返済に追われるケースもある。『バレンタイン・デー』でアン・ハサウェイがそんな役をやってたのを始め、よく映画に出てくる設定。)

 こういった行きすぎた資本主義が起こす不幸、と考えれば、この映画の荒唐無稽なレポも現実味を帯びてくる。消費型社会、拝金主義に対する痛烈な風刺になってるんだね。そんなとこがSFらしくて好きさ。『月に囚われた男』もそういう意味では似てますね。あと、たぶんユニオン社には労災がない。

 映画の世界をアメコミ風アニメにした動画も出てるので、観てみてね。声はちゃんとジュード・ロウ様があてているよ。日本語字幕付き!

『レポゼッション・メン』オリジナル短編アニメ


 映画に出てくるユニオン社のサイトもあるよ。漂う胡散臭さ!下段の“Jackコーラ”の広告動画がお馬鹿で面白いw

 レミーはオズの魔法使いに出てくるブリキの木こりと同じで、ハートを探してたんだろうね。急に仕事が出来なくなるのが、今更?って感じしたけど、ハートを手に入れたから人間的に変化したってことかな。

 最後になったけど、設定のよく似た映画『REPO! レポ』("Repo! The genetic opera")ってのもあるよ。人工臓器回収人の話ってとこが同じで、街の雰囲気やネオン・看板の俯瞰ショットなども似ている。アチラはロック・オペラのミュージカルテイストで、ゴス・ファンタジーで、少女の成長が軸だから雰囲気は全然違うけど。世界観の完成度が凄いの!ただ、映画館上映のみでDVD化されてないのが残念。サントラさえ入手困難。もう一回観たいなあ!
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俳優は誰?
 主役レミーにはぐっとフィットした肉体になったジュード・ロウ様。英国貴公子の佇まいながら、額の後退が著しく頭髪に悲哀が漂う。それでも良いの!今回は軍人みたいな短髪で余計におでこアイランドが目立つけど気にしないの!アクション・シーンはスタイルの良さとキレのある身のこなしで魅せてくれるよ。お茶目さもあって、相棒とビリビリごっこしてジャレてるシーンは可愛かったぞ。あと、髪型とスタイルのせいかポール・ベタニーっぽい雰囲気だったので驚いた。『A.I.』のジゴロ・ロボ、『リプリー』の天真爛漫な放蕩もの、『ミュージック・フロム・アナザー・ルーム』の繊細な青年、『クロコダイルの涙』の哀しく美しきヴァンパイアみたいな青年…あたりが好きです、私。

 レミーの相棒ジェイクにフォレスト・ウィテカー。この一癖ありそうな雰囲気はどうしてもアレコレ期待しちゃうわよ。人相悪い巨体なんだけど、笑うと意外にイイ人そうっていうオイシイ容貌ですよね。粗野な雰囲気とコミカル演技が素晴らしかったです!今年、ドイツ映画『エス[es]』のハリウッド・リメイク版がリリースされますが、そこで看守役の被験者演じてます。これが残念ながらアメリカではDVD直行が決定…。主演はエイドリアン・ブロディだよ!それなのに!

 ユニオン社の偽善者フランク役のリーヴ・シュレイバーについては先述したので、過去のオススメ作品だけ列挙!『スクリーム』シリーズは置いといて。『ニューヨークの恋人』のちょっと変人な助演、『ザ・ハリケーン』での優しき助演、『ディファイアンス』での熱き助演、ジャック・ライアンシリーズ『トータル・フィアーズ』での妙にカッコイイCIA工作員としての助演…あれ?助演ばかり…だな。あ、あの、監督としても『僕の大事なコレクション』って秀作を撮ってます。これは本当に素晴らしいので是非!

 最後にヒロイン、ジャンキー・シンガーのベスは最近SFアクション系で大躍進のブラジル系、アリシー・ブラガさん。終盤の回収プレイはよく演った、あっぱれ!と褒め称えたい。たくさん笑いました。ちょろっと"Cry me a river"を歌うシーンはなかなか素敵でしたよ。絶賛公開中の『プレデターズ』で戦い、人類総盲目化『ブラインドネス』でサングラスをかけ、『アイ・アム・レジェンド』で孤独な主人公にズカズカ土足侵入。なんとなくミシェル・ロドリゲスとキャラがかぶります。頑張れ、ミシェル!

関連作品のようなもの
レポメン (新潮文庫)原作小説。というか平行世界。
レポメン (新潮文庫)
エリック ガルシア
Repo Menサントラ。音楽も良かったなあ!
Repo Men
Marco Beltrami
Repo! the Genetic Operaこの映画も人工臓器回収人の話。ソフト化されてないうえ、サントラさえ入手不可能!欲しいよ!
Repo! the Genetic Opera
SmithZdunich
Cry Me a Riverクラブ歌手役のアリシ―・ブラガが歌う。
Cry Me a River
Julie London
ヴェリー・ベスト・オブ・ウィリアム・ベル"Everyday will be like a holiday"は回収される前に仕上げたい新曲として登場。
ヴェリー・ベスト・オブ・ウィリアム・ベル
ウィリアム・ベル

未来世紀ブラジル [DVD]絶対影響受けてますよね!
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ジョナサン・プライス; ロバート・デ・ニーロ

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LOVE Cinemas 調布 2010年07月17日(Sat) 00:49

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