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裁判長!ここは懲役4年でどうすか 【言ってみりゃ これが本気の ヒューマン映画】

tag コメディ 法廷 ヒューマン

『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』
2010年・日本
北尾トロのエッセイを映画化した裁判エンタテインメント。

 東京ではヒューマントラストシネマ渋谷1館のみの上映。HT渋谷は水曜日が映画サービスデー!男女関係なく誰でも1000円で鑑賞できますよ。他、全国の公開劇場はコチラを参照してくださいな。

 というわけで、観てきたよ。客席はいっぱい、観てる間は笑いがいっぱい溢れて良い映画体験ができた!見知らぬ他の観客と、くすくすワハハと笑い合うのはやっぱり良いものだ。家でDVD観るのも良いけど、これぞ映画の醍醐味じゃないか!暗い映画館、客席の一体感、日常に一番近い非日常。

 主演はお笑いの人バナナマンの設楽統さん。名前、おさむって読むんですね。最近バラエティ番組見ないから、よく知らないんですけど。役者さんだって言われてもわからないくらいの素晴らしいコメディ演技!相方の日村さんもチラっと顔を出して笑わせてくれます。

裁判がテーマだからって構えずに、ひょっとこな笑いを期待して観に行くべし!お堅いはずの裁判官や弁護士、検察官の人間臭さが面白いよ。
裁判長!ここは懲役4年でどうすか―100の空論より一度のナマ傍聴裁判長!ここは懲役4年でどうすか―100の空論より一度のナマ傍聴
北尾 トロ

コトノハ


「シネコンかよ」

 主人公タモツが傍聴人初体験。勇気を出して傍聴席に入ろうとしたら「満席です」の札を出された!立ち見できないって言われて思わずこぼす一言。

そうそう、シネコンは立ち見できないものね。並ばなくても座れるのが売りっちゃ売りなんだけど。昔の映画館は完全入替え制なんてのもなくて、途中から入っちゃっても次の回を続けて観れたから問題なかったもんだよ。満員の観客席で、通路や階段に座ったり立ったりして観たのも、あれはあれで楽しかったのだけどなあ。

どんな映画?
 原作エッセイは、著者・北尾トロが実際に東京地検で傍聴した中から印象深かったものの記録を基にしているとのこと。未読なのだけど、恐らく映画前半の主人公タモツが傍聴した裁判エピソードの数々は原作からもってきたんじゃないかしら。

 全体を通して、現在の日本映画界の在り方に疑問を投げかけているように感じた。邦画だけじゃないかもしれないが“難病”やら“純愛”などいわゆる“愛と感動”の大安売りに皮肉な目を向けている。宣伝文句にも“泣ける映画”とか“感動の物語”とか多いよね。で、人気俳優主演でジャニーズとか出演して、なんか安っぽい歌謡曲を主題歌にしてタイアップ、とかね。実際観てみると、ほら泣け!ってわざとらしさが透け透けで白けちゃうものが多い。まあ私は別に泣くために映画観るわけじゃないから良いけど、一部には泣きたくて観に来る層も存在する不思議。

 本作には、そういう観客への媚びが一切見られない。そこにあるのは徹底して観客を楽しませる笑いの提供。加えて「大丈夫だよ。人生なんてこんなもの。自分は自分の人生を生きるんだ!」という勇気づけを感じた。良いじゃないか、どんな人生でも、それが自分なんだから。愛と感動って、実際には本当に小さな事から感じるよね。夫がのど飴を買ってきてくれたことに愛を感じたり。

 さて、タモツの傍聴する事件はどれも想像を絶する脱力さ加減。大いに笑いながら、笑う自分がイヤだったりもした。傍聴マニア“ウォッチメン”達にもスッとしないわだかまりを感じてた。どんなに滑稽でも、可笑しくても、当事者にとっては人生の一大事なわけだから。

そんなムズムズする居心地の悪さを抱えながら、中盤に美人検察官マリリン(片瀬那奈)がビシっと怒るシーンを迎える。「他人の人生、高みの見物してさぞかし面白いでしょうね!」まさにその通りで、ずっと感じてた居心地の悪さが形を持つ瞬間。

 そこから先タモツがとる行動で、劇的に何かが変わるわけでもなく、救いがあるわけでもない。それでも、所詮他人の人生でも、関わってみるのも良い。関わらずに傍観してるのも、それはそれで自分の人生だもの。それで良いじゃん。誰かのために何かする、よりも、何かをしてたらそれが人の役に立った、って方が素敵だ。と私は思う。自己都合で始めた行動が、結果的に人の役に立つなら、それが最高。

 まあ、グダグダ書いたけど。単純にエンタテインメントとして面白いから、観て!間の取り方や、行間に滲む雰囲気がたまらなく可笑しい!設楽さんの表情や台詞回しも素晴らしいし、脇を固める個性的な役者さん達も実力派ばかりで素晴らしい。『それでもボクはやってない』やキムタクのTVドラマ『HERO』をパロったディテールもあったりして。

 ただ、話の展開が予想の範囲内におさまってしまったことは少々残念かな。それも全体としてみれば小さな事と言えるほど、チャレンジングな邦画であることは間違いないけどね。オープニングの「リアル小学生日記」なんてかなりTV局への皮肉になってるし。小学生の天然毒素って、あんなもんだよね。本当にリアルだと思った。

《自分メモ》
『東京リトル・ラヴ(アイリン編)』のイケメンさん、竹財輝之助が検察官役でチラっと出てた!
・想像上の“愛と感動の”裁判で、裁判長を務めているのは原作者北尾トロ。
・脚本家アサダアツシさんのtwitterは面白いですよ。⇒slantsense
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関連作品のようなもの
裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)原作本。雑誌『裏モノJAPAN』で連載されたエッセイ。実際の東京地検での傍聴体験。
裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)
北尾 トロ
裁判長!ここは懲役4年でどうすか 1 (BUNCH COMICS)週刊コミックバンチでは漫画化連載!作画は松橋犬輔。
裁判長!ここは懲役4年でどうすか 1 (BUNCH COMICS)
北尾 トロ
傍聴マニア09 裁判長!ここは懲役4年でどうすかDVD-BOX(5枚組)漫画版をTVドラマにしたのがコレだって。
傍聴マニア09 裁判長!ここは懲役4年でどうすかDVD-BOX(5枚組)
向井理、南明奈 他
裁判長!トイレ行ってきていいすか [DVD]スピン・オフで裁判員のお話もあるみたい。
裁判長!トイレ行ってきていいすか [DVD]
日村勇紀、前田健 他
裁判狂時代―喜劇の法廷★傍聴記 (河出文庫)映画には金髪スカート男役で出演している本物の傍聴マニア。'99年から8000件以上も傍聴!
裁判狂時代―喜劇の法廷★傍聴記 (河出文庫)
阿曽山大噴火

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