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デイブレイカー 【遅くない 今からだって 生きられる】

tag ヴァンパイア SF ホラー アクション スプラッター

『デイブレイカー』 DAYBREAKERS
2009年・オーストラリア=アメリカ
人類ほぼ吸血鬼、近未来SF。

 オーストラリアの双子監督ピーター&マイケル・スピエリッグのハリウッド・デビュー作。前作は異色のゾンビホラー×SFなオーストラリア映画『アンデッド』。とにかく展開が面白く、B級ホラー的な楽しみが盛り沢山だった。カウボーイ姿の冴えないオッサンが無駄に格好いいアクションしたり、尻丸出し+ブーツ姿になったりね。そんな『アンデッド』で名をあげて長編2作目にしてハリウッドへ進出!脚本も監督のオリジナルでござるよ。

 タイトルは“夜明け”を意味するdaybreak“~する人”-erを付けた造語。しかも複数形。明日を開く者達、みたいなニュアンスかな~と思います。夜明けまでには避難しなきゃならないヴァンパイアと、夜明けを見つめる私達人類。

 ヴァンパイアの食糧供給源である人類が激減し、懸念される食糧不足。解決策はあるのか?全体的にグレー、ブルー寄りの色調でスタイリッシュな映像ながら、人類側の拠点など所々で温かみのある色調に変わる。そしてシリアスなのに、どこかユーモラスな描き方。笑っちゃうほどのスプラッター・シーン。なかなかに完成度の高いSFだったよ。
DaybreakersDaybreakers
サントラ
Christopher Gordon
予告編のプラシーボの曲も収録!

コトノハ
"I'm already dead."
(私はもう死んでいる。)

 違うよ、お前はもう死んでいるじゃないよ!ヴァンパイアのエドワードは自分の体に生命を感じていないんだな。止まった心臓、新陳代謝しない肉体、変化のない日々。

どんな映画?
 舞台は2019年、コウモリから始まった人類ヴァンパイア化パンデミックが発生して10年後の世界。ヴァンパイア人口が95%に達し、深刻な食糧不足に直面している。食糧となり得る代用血液の開発が急務。人血の欠乏により予想外の混乱が巻き起こる。そんな中、ヴァンパイアの血液学者エドワード(イーサン・ホーク)は人類絶滅を危惧していた。

2019年と言えば『ブレードランナー』『AKIRA』も2019年の舞台設定。現実ではあと8年ちょっとですな。

画像はコチラのダウンロード壁紙!これは人血バンク。本編ではおっぱい出てます。
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 普通なら、こんな設定の映画を作ろうとする場合、少数派である闘う人間達を主役におきたくなる。ターミネーターとかみたいに反乱軍が主役な方が感情移入しやすいからね。それを敢えてヴァンパイア側に主眼を置くことで、複雑な心理描写に成功している。

 エドワードは人類の未来を案じ、できれば人血を飲みたくない、人間に同情と羨望の目を向けてる複雑なキャラクター。これが、演じるイーサンの悲哀に満ちた表情とマッチして何とも言えない雰囲気を醸している。

紫煙くゆらす姿が似合う俳優、イーサン・ホーク。
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 ヴァンパイア・パンデミックから、ほんの10年後の世界。だから、基本的に現在とあまり変わらず、大がかりな社会システムの変更もない。ただ活動時間帯が夜になり、日光を避けて暮らすように変化しただけ。人間牧場も、だから非常にお粗末。食糧資源(人類)を乱獲し、絶滅に追いやっている。ああ、なんか現実とカブるよね。なんで深刻になる前にきちんとシステムを作らなかったんだよぅ!と。まさにこれは私達の現実じゃないか。

 石油資源や食糧不足などに当てはめて考えると、とっても怖い。これぞ風刺精神溢れるディストピアSFの王道!文明批判、利益追求しか考えない企業、そのせいで起こる悲劇。この映画は、非常に正しいSF的文法を使いつつ、B級ヴァンパイア・ホラーのジャンル映画的楽しさを合わせたもの。しかも話がきちんと面白いぞ!

哀しいエピソードてんこ盛りで、そこら辺の痛快ハリウッド映画とはひと味違うぜ。

サブサイダー。
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 ヴァンパイアの特徴である、日光に弱い、鏡に映らない、首を切り落とすか胸に杭を打つと死ぬ、といった要素をしっかり描いているのがヴァンパイア好きには嬉しい。ただ、このヴァンパイア達には怪力や魅力といった人外パワーは備わってないみたいだ。なんだか人間とあまり変わらない、弱点が増えただけのか弱い存在。不老不死なだけで。

 世界がヴァンパイアだけになり、人類がいなくなったら。たとえ代用血液が出来て、人間の血液が必要なくなっても。人類のように新しい命を育むこともできない、止まった世界に耐えられるだろうか?同じ顔ぶれ、同じ日々、成長も老化もしない、そんな停滞は種として終わってないか。

 観ながら思いだしたのは『X-MEN』。ミュータントを治すキュアの話があって、人間に戻りたくなどない人達もいる。同じ事がデイブレイカーでも起きて、ヴァンパイアでいれば不老不死なのだから人間に戻りたくない人達がいる。これは進化の結果なのだ、治療の必要などない、と。どちらが正しいかはわからない。共存できれば一番素敵だと思う。

 コウモリ以外の動物が出てこないのは、動物にも感染してたからなのかな。ほら、大抵こういう映画って犬が相棒役で出たりするじゃん。犬も猫も鳥も出てなかった記憶。『アイ・アム・レジェンド』では犬が相棒、でも感染はする設定だった。あれって、鹿にも感染しないのかなあ?と疑問に思ったことがある。

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 キーマンであるプレスリーと呼ばれる男をウィレム・デフォーが演じていて、格好いい。最後の方なんか、颯爽登場!って感じでシビれたわい!デフォーは『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』『ダレン・シャン』で吸血鬼役やってたのが印象的で、だからこの役も深みが出てた。

 プレスリーの車に描かれたフェニックスは、灰の中から蘇る鳥(不死鳥)。死を乗り越えた先に新しく始まる命を表しているものと思われ、この映画のテーマにピッタリです。苦悶を経て、生き返る。

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 まあ、正午のカーチェイスが終わって下車するといきなり夜になってる、とか変なとこもあるけど。気にならないくらいに完成された世界観でした。何と言っても終盤のたたみ込みが秀逸!連鎖反応的に繰り広げられる希望という名の地獄。鳥肌もののカタルシス。人類の未来への揺るぎない希望。これは良いSF!

 全体の流れを見ると、スピエリッグ兄弟監督の前作『アンデッド』と同じ感じではある。でも一流の俳優起用、CGや造型レベルのアップ、グッと洗練された映像表現と、ハリウッド進出で予算もらえた感が満載で嬉しくなる。

 ひとつ残念だったのは、予告編で使われた曲が本編で流れなかったこと。世界観にマッチしてたのに。ケイト・ブッシュの曲"Running Up That Hill"をプラシーボがカバーしたもので、なんか良いんだよなあ。声はペットショップボーイズ似。
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俳優は誰?
 『デッド・カーム/戦慄の航海』『ジュラシック・パーク』サム・ニールが気持ちの良い悪役ぶりで製薬会社社長を演じている。これがまた良い!薄っぺらい悪者じゃあないのさ!そして凄惨な目に合うわけだが。サム・ニールがこんな目に!と半笑いで吃驚したよ。この方は英国人だけど、俳優としての活動拠点はオーストラリアでした。最近はアメリカ映画によく出てるけど。

 社長の娘役には反捕鯨・反イルカ漁活動で来日したりしてるオーストラリアの女優さんイザベル・ルーカス。彼女もまた哀しい運命を負っているのだった。『トランスフォーマー/リベンジ』でサムを誘惑するセクシーなディセプティコン演じてたなあ。

 エドワードの弟で軍人のフランキー役にはニュージーランド出身のマイケル・ドーマン。オーストラリアで活躍していてTVシリーズに出たり、“オーストラリアの明日のスター30人”に選ばれたりしている。本作では軍人の顔の下に孤独や愛情を抱えた、おいしい役ぞ!いやあ素敵だったなあ!これはもう未来のヒュー・ジャックマンと言って良いかもわからんね。

 レジスタンスの女性オードリーにはオーストラリア女優クローディア・カーヴァン

オーストラリア映画界の未来は明るいな!

関連作品のようなもの
地球最後の男 [DVD]吸血鬼になるウイルス蔓延で人類がほぼいなくなる設定は同じ。
地球最後の男 [DVD]
ヴィンセント・プライス、エマ・ダニエリ 他
シャドウ・オブ・ヴァンパイア [DVD]デフォーはヴァンパイア役がお好き。
シャドウ・オブ・ヴァンパイア [DVD]
ジョン・マルコヴィッチ、ウィレム・デフォー 他
ガタカ [Blu-ray]イーサン・ホークはコチラのディストピアでも悩んでいます。
ガタカ [Blu-ray]
ジュード・ロウ、ユマ・サーマン 他
グリーン・レクイエム (講談社文庫)収録されている13㌻の短編『週に一度のお食事を』はヴァンパイア・パンデミックもの。
グリーン・レクイエム (講談社文庫)
新井 素子
メッズ予告変後半で流れた曲"Running Up That Hill"収録アルバム。本編には使われてない。
メッズ
プラシーボ、マイケル・スタイプ 他

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シネマ親父の“日々是妄言” 2010年12月18日(Sat) 10:24

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