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人生万歳! 【拗れても ちょっと変でも 幸せです】

tag コメディ 恋愛映画 ラブコメ

『人生万歳!』 Whatever works
2009年・アメリカ=フランス
ウディ・アレン監督40作目、NY舞台の軽妙洒脱コメディ。

 東京では恵比寿ガーデンシネマ単館上映中。ウディ・アレン映画といえば恵比寿ガーデンシネマ!と頼りにしていたのですが、正式に休館が決まり2011/1/28をもってその小さな幕を閉じます。残念。実質的な閉館ですね。番組編成の独自さ、良質さでお客さんを掴んでいたと思ったのに。そんな恵比寿ガーデンシネマ、1/15~28はベストセレクションとして1000円均一、16作品をリバイバルします。私は最終日に『さよなら、さよならハリウッド』を観に行こうと思うよ。詳しくは公式サイトを参照ください。

 さて。本作、ウディ・アレン監督の40作目です。この脚本は'70年代に書き上げていたものを基にしたとのこと。舞台がニューヨークに戻ったこともあって、昔のアレンのシニカルで軽妙洒脱なコメディに立ち返った、という感じ。『アニー・ホール』系。

 主人公ボリス(ラリー・デヴィッド)は天才物理学者で専門は量子力学。かつてはノーベル賞候補にもなったという過去を持つ、人生に絶望した毒舌ペシミスト男。笑って笑ってちょっぴり痛くて、でも幸せならば何でもイイ!と明るさを漂わせてくれます。原題"Whatever works"は“うまくいくなら、何でもアリ”って意味。世間体だの、一般常識から外れてるだの、気にすることないさ!うまくいってるなら、それもアリでしょ!
Whatever WorksWhatever Works
Various Artists

コトノハ
"When you least expect it, fate has a way of knocking on your door."
(思いもよらない時に、運命はやって来て扉を叩く)

 文字通りに扉を叩きます。"運命は思いがけず徒に動いてく"んですね(浜田麻里の歌詞だコレ)。話は運命の導きのもと、ころころと転がっていきます。理屈や必然性などお構いなしで。そこが面白いんだけど。

どんな映画?
 もうオープニングからボリスの語りが面白くて!観客をおちょくってる系のアレですよ。主人公ボリスを演じるのはスタンダップコメディアン出身のラリー・デヴィッド。笑顔一つ見せずに毒づくのだけど、どうにも憎めないとこがある。

 よく喋る皮肉なユダヤ人てとこは監督アレン自身に似ているけれど、傲岸な見下し系の皮肉屋なのが違うところ。アレンだと弱気で神経質で吃音でボソボソ喋る感じ。ボリスの場合は流ちょうな毒舌マシンガントークで人を馬鹿にする。もうこのボリスの悪態だけで面白い!

 このボリス、60歳ぐらい。ひょんなことから21歳の若い女の子(しかも美人)と同居生活が始まる。このネーチャン、メロディちゃん(エヴァン・レイチェル・ウッド)。ブロンドをツインテールにしてキャピキャピ。もう本当にアホの子なわけですよ。でも心優しく純朴で人柄は良い。何から何まで正反対の2人、年齢差とIQ差がありながらも割とうまくやってるわけです。シニカルなボリスとノー天気なメロディは凸凹コンビ!

 この主人公二人の他にも、“普通でない”カップルが続々出来上がっていく。でも、それでも良いじゃないか。どうせこの世は虚しいばかり。せめて好きに人を愛することぐらい、自由にさせてくれって。幸せなら、それで良いじゃあないの。同性愛を突然自覚したり、芸術家っぽい人は3人での同棲生活をしてうまくいっている(『それでも恋するバルセロナ』の3人みたいに)。人生、自分に正直に、自分なりの幸せを掴めば良い。

 アメリカではウケが悪いと思われるこの映画。なぜって、キリスト教に対して冒涜的とも言える態度だからさ。同性愛に非キリスト教、家族の崩壊ときたら、まあ嫌われても仕方ないタイプの映画ではある。そこは我々日本人としては笑ってうんうん頷きながら観れてしまうので、より楽しめる土壌が整ってるわけだ。

 メロディちゃんは南部出身の田舎娘。南部と言えば、根強い人種差別とかキリスト教原理主義(保守的なプロテスタントで聖書の字義通りにこの世ができたと信じたい人々。科学に否定的で学校教育で進化論を教えるな、と主張するような人々)。なので、ボリスにしてみたら南部の非科学的な田舎者めってことになるわけだ、メロディとその家族は。ボリスが天才物理学者なだけにさ。不確定性原理がどうの、観測者がどうの言う量子力学者ですよ、彼は。その辺りもきちんと描かれていて面白かったよ!

 うまくいくなら、何でも良いじゃないか。と、常識や世間をものともしない態度を示すこの映画は、アレン監督の言い訳のようにも見えてしまいます。アレンは若い頃2度の結婚を経て、現在は3度目の結婚。'92年、当時の恋人ミア・ファローの養子であるスンイー(韓国系)とデキちゃったわけだし。そりゃあ非難囂々ってもんですよ。ロリコンめ!それでも'97年(スンイー24歳)に結婚して今も二人は仲良く暮らしているし、二人の養子もいる。ミアにしてみれば業腹だろうけどなあ!まさか自分の養子と!って。

 そんなこんなで、いろいろ併せてとっても面白いコメディ満喫!『アビス』『風と共に去りぬ』『地獄の黙示録』『素晴らしき哉、人生』など映画ネタが多いのも楽しいよ。
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俳優は誰?
 主演のラリー・デヴィッドはスタンダップ・コメディアン出身。'90年代はTVシリーズ『となりのサインフェルド』の企画・製作で名を売り、2000年代はケーブルTVシリーズ『ラリーのミッドライフ★クライシス』で企画・製作に加え主演もして大人気なお方。

 メロディ役のエヴァン・レイチェル・ウッドは若手実力派!『プラクティカル・マジック』でニコール・キッドマンの子ども時代を演じてた子役。最近では『ダイアナの選択』『レスラー』『アクロス・ザ・ユニバース』など、透明感のある繊細な存在感が印象的です。本作ではそんな彼女の持ち味に加えてスットボケたノー天気さがとってもキュート!天然な良い子って雰囲気になってます。そんなエヴァンちゃん、私生活では19歳年上のロッカー、マリリン・マンソンと付き合っては別れています。3度目の別離が2010年8月。その後どうなったのかな?

関連作品のようなもの
風と共に去りぬ [Blu-ray]スカーレットとメラニー、どちらがお好き?ボリスはスカーレット派だって。
風と共に去りぬ [Blu-ray]
ビビアン・リー、クラーク・ゲーブル 他
アビス <完全版> [DVD]悪夢をみて「深淵(アビス)を見た」と言うボリスに「その映画観てないわ~」と答えるメロディ。
アビス <完全版> [DVD]
エド・ハリス、メアリー・エリザベス・マストラントニオ 他
素晴らしき哉、人生!【淀川長治解説映像付き】 [DVD]クリスマスのハッピー・ムービーの代名詞。ボリスはお好きじゃないようです。
素晴らしき哉、人生!【淀川長治解説映像付き】 [DVD]
ジェームズ・スチュワート、ドナ・リード 他
[図解]量子論がみるみるわかる本(愛蔵版)天才ボリスは量子力学が専門。量子のゆらぎだの観測者だの。
[図解]量子論がみるみるわかる本(愛蔵版)
佐藤 勝彦
インタビュー・ウィズ・シリアルキラー [DVD]レクター博士のモデルとなった連続殺人犯テッド・バンディの映画。
インタビュー・ウィズ・シリアルキラー [DVD]
ケイリー・エルウィズ、ブルース・グリーンウッド 他

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