猫の毛玉 映画館

映画感想文を体内で丸めて吐き出す。

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スプライス 【モンスター 人の心に 棲まうもの】

tag SF ホラー サスペンス

『スプライス』 SPLICE
2008年・カナダ=フランス=アメリカ
ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の遺伝子操作SFサスペンス!

 『CUBE』ヒット後、2000年に製作しようとして予算の都合で実現しなかった。それがやっと作られた。そしてようやくの日本公開!待ってたよ、ナタリ!製作総指揮にはギレルモ・デル・トロ、ドン・マーフィー、ジョエル・シルバー等大物が名を連ね、主演は素晴らしい演技者エイドリアン・ブロディサラ・ポーリー。凄いぜ。かなりエグイ場面もあるけど、だからこそ他にはない映画になっていると思う!

 タイトル"splice"は接合、つなぎ合わせること。ここではDNAやRNAを接合して、遺伝子操作を施した新生物の誕生を意味している。ヒトのDNAと動物のDNAを掛け合わせた生物を造りだし、そこからアルツハイマーや癌の治療薬の元となるタンパク質化合物をとれたら…。という科学的探求。もしくは私的欲求。

Ost: SpliceSplice オリジナルサウンドトラック

監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ
出演:エイドリアン・ブロディ、サラ・ポーリー、デルフィーヌ・シャネアック

モンスター・ホラーのフリをして、人間のモンスターっぷりを描いた映画



 まずオープニングがカッコイイよ。レントゲン写真がバシバシ出てくるのだけど、ワーナーブラザーズのロゴマークやダークキャッスルのロゴマークもレントゲン写真様なの。ワーナー映画は、大体映画に合わせてロゴの雰囲気を変えてくるのが素敵!と、いつも思う。

 ヒトのDNAと動物のDNAを接合して生まれてきた新種のドレン(デルフィーヌ・シャネアック)。彼女を作り上げた科学者夫妻クライブ(エイドリアン・ブロディ)&エルザ(サラ・ポーリー)。この夫婦の名前は『フランケンシュタインの花嫁』のフランケンシュタイン博士(コリン・クライブ)と怪物の花嫁(エルザ・ランチェスター)を演じた俳優からの引用。生命を造りだすことに憑かれ、哀しい怪物を産み出してしまった。この映画に相応しい名前。

 フランケンシュタインの怪物のように、新種ドレンは人の心を持ち、自我が確立していき、愛情に飢えていく。なぜ、私には髪の毛がないの?なぜ私はヒトと違うの?この世に独りぼっちなの?彼女はちっとも悪くない。ただただ可哀相で切なくなる。

今回の画像はココから!
Splice_wall04_1600x1200.jpg

 エルザが自分の子を産みたがらず、そのくせドレンを我が子扱いする様子は異常だ。エルザの母親のエピソードはチラっとしか語られないけれど、自分が嫌悪していた母親と結局は同じようなことをしてしまっている。まあ、それはよくあること。でもドレンは実験体であり、人間ではないから。より支配的に、子供と言うよりはペット扱いしても誰にも責められない。

溺愛しているのかと思えば、彼女の欲するモノをわざと取りあげたり。自分のコントロール下において、権力を行使し、驚くほど冷酷にもなれる。彼女を傷つけても、実験動物だから構わないというように。母性を満足させながら、自分の好きなように相手の行動を制限できる。エルザこそモンスターだ。

 一方クライブは、最初からこの実験には反対だった。科学的好奇心はあるものの、やはり倫理的に問題があり、何が起こるのか恐ろしいから。早くこの実験を終わらせたいと願いつつ、ドレンを憐れみ、次第に人格を認めていく。でもクライブも、何て言うかちょっと衝動的で、決して人格者ではない。

splice_icon_03_96x96.gif ドレンの孤独と哀しみは、猫への態度によく表れていた。納屋に入ってきた猫に触れ、撫で、抱きしめる。愛すべき小さな存在。でも、エルザに「ペットは良いものよ」と言われたとき、猫と自分を同一視して猫を憐れむのだ。このシーンが一番好き。

 実際に医学的用途―臓器育成などの為にヒトと動物のハイブリッドは研究されている。そういう現実を考えると更に、難しい問題を提示されているように思う。そのイキモノは、あなたが好き勝手して良いのですか?と。映画のラストには、エルザがドレンの悲劇から何も学んでいない様子が見て取れる。エルザの中では、ドレンはあくまで実験動物であり、ドレンが辛かろうと知ったことではないのだ。そうでなければ、あんな選択はしない。モンスターはやっぱり彼女だ。

Splice_wall01_1600x1200.jpg

 ちょっとエー!ありえねー!って思ったのが2点。一つ、未知の生物の体液が付着したナイフを口にくわえる科学者はいない!一つ、サンプルを扱うラボでピザ食べたり珈琲飲んだりもしない!私が働いていたラボでは飲食物持ち込み禁止でしたよ。自分の身を守るために必要な最低限のルールだと思うんだけど。

でも、それ以外はおよそ有りそうな話だった。新生物ジンジャーとフレッドに起きた雌雄転換も、魚やカエルや昆虫など動物界にはよくある話。環境や自らの体格に応じて性転換が起こったりする。魚ならブダイやカクレクマノミなんかが有名。まあ、ほ乳類では性転換起こらないのがセオリーだけども。(ほ乳類は最初は雌で、Y染色体があれば雄に変化し固定される)

splice_icon_02_96x96.gif 映画ネタもあるよ。ホルマリン漬け標本のラベルに“シド&ナンシー”、“ボニー&クライド”なんて書いてある。実験成功した新生物のツガイの名前“ジンジャー&フレッド”は、歌って踊れるあの二人、ジンジャー・ロジャースとフレッド・アステアから取ってるんですな。夫婦の寝室、ベッドの頭上に飾ってある絵が日本の漫画絵なのだけど、あれは何だかわからないや。ヤツらが来るぞ!って書いてあった。

祈りの海 (ハヤカワ文庫SF) この映画を観て想起したのは、グレッグ・イーガンのSF短篇『キューティー』と中篇『祈りの海』。どちらも短篇集『祈りの海』に収録。

『キューティー』は遺伝子操作で作った赤ん坊の代替物の話で、キューティーの哀しい運命と、キューティーを溺愛した男の悲劇。『祈りの海』は雌雄転換のエピソードが出てきます。超オススメ。

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関連作品のようなもの
CUBE キューブ(買っ得THE1800) [DVD]ナタリ監督といえばシチュエーション・サスペンスの金字塔!
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モーリス・ディーン・ウィント、ニコール・デボアー 他
フランケンシュタインの花嫁 [DVD] FRT-151主人公二人の名前、エルザとクライブはこの映画出演者からの引用。
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ドワイト・フライ/エルザ・ランチェスター/ボリス・カーロフ/コリン・クライブ
スイング・タイム<有頂天時代> [DVD]新生物フレッド&ジンジャーの名前は歌って踊れるこの二人から。
スイング・タイム<有頂天時代> [DVD]
フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャース
俺たちに明日はない [DVD]ホルマリン漬けのビンのラベルには【ボニー&クライド】!
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僕が結婚を決めたワケ 【親友の すべてを知ってる わけじゃない】

tag コメディ ヒューマン

『僕が結婚を決めたワケ』 THE DILEMMA
2010年・アメリカ
ロン・ハワード監督の新作コメディドラマ。中年男の友情物語。

 声を大にして言いたい!原題は“ジレンマ”だと!邦題が全然合ってないんですよ。別に、主人公が結婚に迷って何かキッカケがあって大きな決断する…なんて話では全くないのだ。違う、違う、そうじゃ、そうじゃな~い!

原題通りに、各人がジレンマを抱えながら生きていてそれをどう解消するかって物語。解消できなくても、どうやって昇華するのかっていう。
Ost: the Dilemma『僕が結婚を決めたワケ』オリジナル・サウンドトラック

 理想の夫婦である親友ニック&ジェニーヴァ。だけど彼らの結婚生活だって順風満帆なわけでなく…。



 元ギャンブル依存症で口達者なベンチャー会社経営者の主人公ロニーに『ドッジボール』『クール・ドライ・プレイス』『イントゥ・ザ・ワイルド』ヴィンス・ヴォーン。その親友で天才エンジニアのニックに『モール・コップ』ケヴィン・ジェームズ

主にこの2人の親友同士の関係が描かれます。ズバリ男コメディと言って良い!2人の凸凹コンビっぷりが素敵。舌好調なロニーと、シャイな技術屋のニック。ロニーはニックの才能に人生を賭けていて、賭け事は止めたけど根本的にギャンブル・ジャンキーは治ってない。そんなロニーがニックの才能を売り込む係。胃痛持ちでプレッシャーに弱いニックは、ロニーに励まされて自信を付けたりする。お互いに自分にないモノを持ってる相手を尊敬してるんだなって雰囲気が良い!

 ニックの妻ジェニーヴァに魔女顔のウィノナ・ライダー。その浮気相手でオカシナ変人にチャニング・テイタム。この役を観てテイタムを見る目が変わった!凄く笑わせてもらったよ。この映画一番の笑いどころは彼の出演シーンだもん!

 そしてロニーの恋人ベスに我が青春のアイドルジェニファー・コネリー。一時は激やせしてたけど、現在は健康的な容貌で相変わらず美しいよ。卓球で得点決めて飛び跳ねてキャッキャはしゃいでるシーンなんて本当可愛い!

 あとロニー&ニックの仕事相手となるクイーン・ラティファは出番が少ないけれど強烈。良いよな、この人の存在感!『シカゴ』のママ・モートン役、『マンハッタンで抱きしめて』のクラブ・シンガー役なんかが好きさ。


 ニック達が理想の夫婦!という主人公ロニー。だけどある日、目撃しちゃう。ジェニーヴァが若い男とキスしてるのを!そこからロニーは親友に事実を伝えるべきかどうか悩む。これがメインのジレンマ。ジェニーヴァと話し合ってもそこにはジレンマ。ジェニーヴァ自身も順調でない結婚生活にジレンマ。ニックも同じ理由でジレンマ。シェフとして働くベスも、とある件でジレンマを抱える。

 映画のオープニングに、4人の会話シーンがある。どれだけ親しくても、本当にその人の全てを知ることは難しい。そんな会話。これがひとつのテーマとなっていて、学生時代からの親友であっても、愛する恋人・妻・夫であっても、知らない面があるものだ、と映画全体に染み渡っている。そこら辺も巧い!

 ロニー&ニックの仕事が車のエンジン・デザインなのだけど、これがまた面白い。いわゆるエコカー、電気自動車のエンジン開発をクライスラーに提案する。それが、昔ながらのセクシーなイグゾーストノートをエコカーでも味わおう!ってコンセプト。確かにエコカーはエンジン音が静かすぎて、健全安全好青年なイメージよね。エコカーなのにワイルドなエンジン音がしたら、そりゃクールだ!そして仕事に没頭するニックがカッコイイ。

“エコカーである”が“エンジン音はワイルドである”。これを両立させるのもジレンマだ!物語は終盤、急速に絡み合ってみんなのジレンマ解消に向かう。そこでは正直であれ、と繰り返される。でも正直に何でもかんでも話すのって、私はそれ優しさじゃないと思うけどな。自分の中にグッとしまっておいて飲み込んで、墓場まで持って行く。そういう優しさもあるじゃない?

 ともあれ、「焼いてやる!顔を焼いてやる!」と暴れまくるヴィンス・ヴォーンに大笑いし、巧いストーリーテリングに惹きつけられ、少し懐かしい感じの中年コメディに大満足。40男の、こんな微笑ましい友情を観て笑顔にならざるを得ないラストでした。
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ミラクル [DVD]カート・ラッセルのスピーチ真似してた。
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リンダ・ラヴレース

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蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH 【対話する キミも私も ここにいる】

tag アニメ SF アクション ヒューマン 青春 戦争

『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』
2010年・日本
2004年に放映されたTVアニメ『蒼穹のファフナー』の2年後を描く劇場版!

 2150年。平和の戻った竜宮島(たつみやじま)。そこに一隻の艦が突っ込んでくる。中で眠っていた存在とは…?TVシリーズが終わって、続きを待ち望んでいたファンにとって、この劇場版は素晴らしいプレゼント!観て良かった!逆にTV版を観たことない人が観てもさっぱり意味が分からないだろう。設定や今までのことの説明は一切ない。思い切って切り捨ててしまったのが、清々しいほどだ。

20110116_4147.jpg キャラデザは相変わらずですが、心なし頬の斜線が薄くなっているような気がします。主題歌は引き続きangelaさん。アキじゃない方。

映画館は東京ではシネマサンシャイン池袋オンリーです。略してシネサン。

 ファフナー・スタンプラリーやってたけど未完成。2カ所は無料、もう2カ所は店を有料利用/商品購入しないとスタンプ押せない。ズコー!



 脚本はTV版の後半を担当した冲方丁(うぶかたとう)さん。TVアニメ『ヒロイック・エイジ』や劇場アニメ『マルドゥック・スクランブル』の脚本書いてた方です。好きです。元々は作家さんですが、メディアによって書き分けるあたりが凄い。

 えー。TV版見てない方は容赦なく置いていきます。そういう映画です。っていうか、一本の映画、とはいえないのかもしれないね。だってファンへの贈り物だもん!ファフナーなんて知らないよ~って方にはまず前日譚である通称『右左』=『蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT』をどうぞ。コチラはTVスペシャルで1時間単発もの。鬱アニメだけどね。哀しくて切なくて胸が熱くなるんだ!

シネサン入口。大々的にフィーチャーされてます!デカイ!
IMG_0012.jpg

 さて本編。TV版終了時点の2年後を描いたものだけあって、各キャラクターが成長してる。各人の現在の状況をサラっと見せていく、その演出だけでニヤニヤもの!カノンだけが見た目大きく変わっているので、最初誰だかわからなかったわい。で、彼女たちが楽園で話し合ってる内容がU計画ってのが笑いどころ!

 竜宮島の外では人類軍がフェストゥムを核攻撃し、虐殺している。その炎の中、総士を守る一個のフェストゥム。焼き尽くされ、怒りに燃えるフェストゥム軍は人類軍の武器を真似して徹底抗戦。戦いは、終わらせる機会を失したまま憎しみが憎しみを呼ぶ泥沼になっていた。

 世界では戦争が続き、竜宮島には“客人”が現れる。人型のフェストゥム来主操(くるすみさお)はキリスト的存在。神の子であり神の遣いとしてやって来た。彼自身が痛みを覚え苦しみを背負って生きることで、フェストゥム軍にも人類軍にも竜宮島にも希望が生まれる。来主の目覚めのシーンは甲洋そっくり!そして乙姫を彷彿とさせる。

 カノンの機体がマーク・ドライツェン(13)と不吉な数字だったり、広登がゴウバインの仮面を付けて搭乗したり、L計画を持ち出したり、司令官の吐血とか、何かこう不穏なムードが漂いまくります。どうなるんだろう…と陰鬱な気持ちで観ていたよ。
20110116_4147.jpg

 初の第一世代同士による自然受胎で産まれた美羽。この子、時間経過を考えれば1歳半ぐらいだろうに、大きいしよく喋る。さすがフェストゥムの因子をナチュラルに持ってるだけのことはあるな!この子や甲洋や乙姫や紅音だった者、そして総士もちゃんと活躍を見せてくれる。胸熱!

 自分で選択すること、決めること。対話。母と娘。この世に生まれ、生きること。この星で生まれること。敵は自分の映し鏡でもあること。憎しみには憎しみしか返ってこないこと。相手を受容することの難しさと、それが出来たときに起きる変化。フェストゥムは生と死を受け入れ、母性を理解し始めた。私はここにいる、この星に生きる、そして死ぬ。新しい命に世界を託して。痛みに耐え、今を生きる歓びを知ることができた。未来は明るいはずだ。
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蒼穹のファフナーHEAVEN&EARTH イメージミニアルバム(DVD付)サントラはまた別にあるようですが。Shangri-La入り!
蒼穹のファフナーHEAVEN&EARTH イメージミニアルバム(DVD付)
angela
蒼穹主題歌はアンジェラさん!くっだっけ♪
蒼穹
angela
蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT 通常版 [DVD]こちらはTVアニメの前日譚です。ひたすら熱く哀しい。総士も出てくるよ。
蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT 通常版 [DVD]
宮野真守、甲斐田裕子 他
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真壁一騎:石井真、皆城総士:喜安浩平 他
【蒼穹のファフナーHEAVEN AND EARTH】蒼穹のファフナーHEAVEN AND EARTH 女子制服 サイズ:Ladies Mなんと!こんなのものまで売ってるのか!
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パンドラム 【方舟で 希望を繋ぐ 人類の】

tag SF ホラー アクション サスペンス

『パンドラム』 PANDORUM
2009年・イギリス=ドイツ
ポール・W・S・アンダーソン製作のSFサスペンス・ホラー。

 西暦2174年。ノアの方舟である宇宙船エリジウムは、資源の枯渇した地球からハビタブルな惑星タニスに向けて出発した。乗員、6万人と動植物。900年超の時間が流れる。

パンドラム ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]パンドラム[Blu-ray]
監督:クリスティアン・アルヴァルト
出演:デニス・クエイド、ベン・フォスター、キャム・ギガンデット他

SF好きは観たら良いと思うよ。

 ところで公開劇場の新宿武蔵野館には水槽があってネコザメとイヌザメが仲良く昼寝してたよ!可愛いよ!



 タイトルのパンドラムは映画中で説明される宇宙病のようなもの。簡単に言えばサイコになっちゃう病。これはギリシャ神話のパンドラから来ているものと思われる。パンドラは開けてはいけないと厳命された箱を開けて、世に疫病や災いをばらまいてしまった。この箱は、パンドラの好奇心の強さを見抜いていた神々の仕組んだワナとも言える。この神話は映画で起こる事とリンクしていて面白い。

今回の画像はコチラのダウンロード壁紙から。
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 映画の舞台となる巨大な宇宙船エリジウムの名は、またの名をエリュシオン。ギリシャ神話でいう理想郷、死後の楽園のこと。荒廃した地球を旅立ち、美しい惑星タニスを理想郷と憧憬する気持ちの表れなのかな。

 さて。コールドスリープから目覚めたクルーは2人。長期睡眠からくる記憶障害のため、ミッションを思い出すところから始まる。そして『エイリアン』的展開へと雪崩れ込む。広大な宇宙船の中を探索し、異形のクリーチャーと戦い、現状を把握していく。

 SFとしての面白さはあったのだけど、サバイバル・ホラー要素のウェイトが大きくて退屈な部分もあった。何というか、もう一歩の惜しい映画なのだ。キャストの地味さは却って好印象で、華のないデニス・クエイドベン・フォスターがメインで淡々とミステリアスな話が進む。途中から出てくるキャム・ギガンデットは持ち味のイヤラシイにたり笑顔が良かった。

pandorumDT1-Widescreen.jpg

 900年の間に起こった変化がちょっと劇的過ぎる気もするが、そこは血清がどうのっていう伏線もあったので納得出来なくはない感じ。何しろ、ラストが素敵だ。それまでの地味な平板さが吹き飛ぶぐらい、SF的高揚感があった!雰囲気は『アイ・アム・レジェンド』やハインラインの世界。

元々3部作の1作目として製作されたものだけど、ヒットせず赤字だった為続編が製作されるかは大いに怪しい。
pandorumDT1-Widescreen - コピー

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きみがくれた未来 【奇跡には 起きた理由が ちゃんとある】

tag ヒューマン 恋愛映画 青春 スポーツ

『きみがくれた未来』 CHARLIE ST. CLOUD
2010年・アメリカ=カナダ
人生は生ける者の為に。ザック・エフロン主演の喪失と再生のドラマ。

 原作はベン・シャーウッドの同名小説。将来有望な若者が突然の事故で人生が変わってしまう、という喪失と再生のヒューマンドラマ。

 原題は主人公の氏名チャーリー・セント=クラウド。それで邦題は何なの?“きみ”って誰を指してるの?最後までわからなかった。雰囲気だけで付けたっぽい邦題に戸惑いを隠せない。

 全体的にメロではあるけど、ストーリー自体がきちんと面白かったよ。テイストとしては『ラブリーボーン』の生者視点か。若者の再生ドラマとして良い出来なので、ザックのファンじゃなくても観てみたら良いと思います。
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コトノハ
"You hurt because you're alive."
(痛いのは、生きてるからだよ)

 弟サムが兄チャーリーに言う台詞。心も体も、痛むのは生きてる証拠。そして、こう言う弟の心情が切ない。

どんな映画?
 小型ヨットの才能があって、レースではいつも優勝。その実績を買われて大学進学も決まった。そんな高校生チャーリー(ザック・エフロン)が、卒業パーティーの晩に事故に遭い、人生が大きく変わってしまう。

今回の画像はココここここのダウンロード画像。
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 チャーリーは、チャーリーにしか見えない存在と会話する。それがとても曖昧で、今チャーリーが話しているのはこの世の者なのか死者なのか、判然としない。その描き方がストーリーとうまく合わさって成功している。映画では弟の存在がかなり確定的に描かれているのが残念だが、原作小説ではより曖昧な存在。チャーリーの頭の中の産物なのか、本当にそこに死者がいるのか明確にされていない。

弟と共にヨットレース!
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 弟とキャッキャウフフで遊ぶ姿は微笑ましく、同時に切ない。あんなに切ない泥んこ遊びシーンは初めて観たわよ。でも時間は過ぎて、いい加減に前を向いて歩かなきゃいけなくなる。人生は生きている者の為にあるのだから。死者を忘れるのではなく、乗り越えるのでもなく、心に抱え込んで共に生きていかなくては。そこでキッカケとなるのがヨット乗りの女の子テス(アマンダ・クルー)。

アリッサ・ミラノ似、またはブリタニー・マーフィー似の彼女。
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 若い頃のアリッサ・ミラノ、若しくはブリタニー・マーフィー似の健康的な女の子!彼女をとるか、弟をとるか。弟との守るべき約束。ゆえにどこへも行けないチャーリー。そして自分が生かされた理由。フラットラインから帰還した奇跡。

 チャーリーは、自分を助けた救命士フロリオ(レイ・リオッタ)の言葉に気づかされ、未来を生きる為の力をもらう。このレイ・リオッタ、出番は少ないがとにかく素晴らしい!チャーリーの肉体だけでなく、精神も救ったのは彼だと思う。邦題の指す“きみ”は彼以外に考えられない!もしくはチャーリー本人が“きみ”だな。

暗く沈み、哀しみに満ちた表情が胸に刺さる。
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 『ラブリーボーン』では判りやすい生と死のあわいの世界が描かれた。でもコチラは現実と変わりない空間に、彼の夢想とも現実ともつかない精神世界が広がっている。たぶんフィジカルではない、心の中での出来事なのだと思う。

 序盤の交通事故について、「加害者が飲酒運転」という説明がサラっとされている。そこでお薦めの飲酒運転事故映画『ライセンス・トゥ・キル 殺しのライセンス』はいかがですか~?デンゼル・ワシントンも出てるよ。スパイ映画っぽい題名だけど、そのライセンスとは運転免許証なのだ。

弟かわゆす!
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 映画全体的に音楽が安っぽかったのが残念ポイント。映像はキレイよ。ズームイン・ズームアウトや、浮遊感、ぐるりと回転する動き。カメラワークが素晴らしい。ストーリー的には中ダレするよ!するけどね!あの中ダレも振り返ってみれば必要だったのさ。まあそこは我慢して下さい。

 終盤の展開では、3日間放置されたアレがちょっと(´д`)えーってなった。原作では無理のない説明がされているので、映画版の説明不足ってことで。無粋でもちゃんと説明すべきだったと思うよ、こればっかしは。

 あと、墓石の拓本て本当に趣味の一ジャンルとして確立してるのかね!『小さな恋のメロディ』で知ったときは、現実感がなかったけども。この映画でも言及されてるし、考えてみたら日本でも狛犬の拓本とか趣味にしてる人がいるくらいだもんな。でも墓石は個人情報ダダ漏れな気がする。

 チャーリーの母親役でチラっとキム・ベイシンガーが出てるよ!これが『あの日、欲望の大地で』とか『8Mile』みたいな下流の貧しい母親像ドンピシャ。どことなく薄幸そうなのよね。
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関連作品のようなもの
きみがくれた未来 (角川文庫)原作本。
きみがくれた未来 (角川文庫)
ベン・シャーウッド
セブンティーン・アゲイン [Blu-ray]ザック・エフロン主演の良作コメディ!ギークな親友のキャラがとにかく凄い。
セブンティーン・アゲイン [Blu-ray]
ザック・エフロン、レスリー・マン 他
小さな恋のメロディ [DVD]墓地デートといえばコレよね。墓石の拓本て!本当にそんな趣味のジャンルがあるのか。
小さな恋のメロディ [DVD]
マーク・レスター、トレーシ-・ハイド 他

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2010年12月のまとめ、と新年挨拶

はーい!明けましておめでとうございまーす!(一応空気を読んで新年のご挨拶をば)

 新しい年が始まりますね。今年もたくさん素敵な映画や笑っちゃう映画に出会えることを期待してます。引き続き猫の毛玉(当ブログ)をよろしくお願いいたします。ちなみに私のハンドルはPといいますので、たまには思い出してもらえると嬉しいですわい。

 さて。1年を振り返るのはちょっと長すぎるので、いつも通りに12月のエントリを振り返るよ。と、いっても。12月はサボり過ぎてさ~、結局9本しか書いてないわけですよ。あちゃ~。劇場鑑賞分で、感想を書いていないものが22本残ってしまったので2011年に繰り越します。(全部はさすがに書けないかな…)

12月エントリからお薦め映画のコーナー!

 12月のまとめ。

12月は新作映画9エントリだけでした。

 今年はちょっとブログのやり方を考えようかな、と思っていますよ。私がブログを書く上で大事にしてるのは「わかりやすさ」と「映画の背景理解」です。が、それを書いているとどうしても長文になってしまい、勿論それだけ時間もかかるわけですなあ。なので、映画によってはサクっとミニ感想文で済ませようかな、と。ブログ全体の統一感なくなっちゃうのは気持ちが悪いけどなぁ。

ということで、今年もよろしくお願いいたします!
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人生万歳! 【拗れても ちょっと変でも 幸せです】

tag コメディ 恋愛映画 ラブコメ

『人生万歳!』 Whatever works
2009年・アメリカ=フランス
ウディ・アレン監督40作目、NY舞台の軽妙洒脱コメディ。

 東京では恵比寿ガーデンシネマ単館上映中。ウディ・アレン映画といえば恵比寿ガーデンシネマ!と頼りにしていたのですが、正式に休館が決まり2011/1/28をもってその小さな幕を閉じます。残念。実質的な閉館ですね。番組編成の独自さ、良質さでお客さんを掴んでいたと思ったのに。そんな恵比寿ガーデンシネマ、1/15~28はベストセレクションとして1000円均一、16作品をリバイバルします。私は最終日に『さよなら、さよならハリウッド』を観に行こうと思うよ。詳しくは公式サイトを参照ください。

 さて。本作、ウディ・アレン監督の40作目です。この脚本は'70年代に書き上げていたものを基にしたとのこと。舞台がニューヨークに戻ったこともあって、昔のアレンのシニカルで軽妙洒脱なコメディに立ち返った、という感じ。『アニー・ホール』系。

 主人公ボリス(ラリー・デヴィッド)は天才物理学者で専門は量子力学。かつてはノーベル賞候補にもなったという過去を持つ、人生に絶望した毒舌ペシミスト男。笑って笑ってちょっぴり痛くて、でも幸せならば何でもイイ!と明るさを漂わせてくれます。原題"Whatever works"は“うまくいくなら、何でもアリ”って意味。世間体だの、一般常識から外れてるだの、気にすることないさ!うまくいってるなら、それもアリでしょ!
Whatever WorksWhatever Works
Various Artists

コトノハ
"When you least expect it, fate has a way of knocking on your door."
(思いもよらない時に、運命はやって来て扉を叩く)

 文字通りに扉を叩きます。"運命は思いがけず徒に動いてく"んですね(浜田麻里の歌詞だコレ)。話は運命の導きのもと、ころころと転がっていきます。理屈や必然性などお構いなしで。そこが面白いんだけど。

どんな映画?
 もうオープニングからボリスの語りが面白くて!観客をおちょくってる系のアレですよ。主人公ボリスを演じるのはスタンダップコメディアン出身のラリー・デヴィッド。笑顔一つ見せずに毒づくのだけど、どうにも憎めないとこがある。

 よく喋る皮肉なユダヤ人てとこは監督アレン自身に似ているけれど、傲岸な見下し系の皮肉屋なのが違うところ。アレンだと弱気で神経質で吃音でボソボソ喋る感じ。ボリスの場合は流ちょうな毒舌マシンガントークで人を馬鹿にする。もうこのボリスの悪態だけで面白い!

 このボリス、60歳ぐらい。ひょんなことから21歳の若い女の子(しかも美人)と同居生活が始まる。このネーチャン、メロディちゃん(エヴァン・レイチェル・ウッド)。ブロンドをツインテールにしてキャピキャピ。もう本当にアホの子なわけですよ。でも心優しく純朴で人柄は良い。何から何まで正反対の2人、年齢差とIQ差がありながらも割とうまくやってるわけです。シニカルなボリスとノー天気なメロディは凸凹コンビ!

 この主人公二人の他にも、“普通でない”カップルが続々出来上がっていく。でも、それでも良いじゃないか。どうせこの世は虚しいばかり。せめて好きに人を愛することぐらい、自由にさせてくれって。幸せなら、それで良いじゃあないの。同性愛を突然自覚したり、芸術家っぽい人は3人での同棲生活をしてうまくいっている(『それでも恋するバルセロナ』の3人みたいに)。人生、自分に正直に、自分なりの幸せを掴めば良い。

 アメリカではウケが悪いと思われるこの映画。なぜって、キリスト教に対して冒涜的とも言える態度だからさ。同性愛に非キリスト教、家族の崩壊ときたら、まあ嫌われても仕方ないタイプの映画ではある。そこは我々日本人としては笑ってうんうん頷きながら観れてしまうので、より楽しめる土壌が整ってるわけだ。

 メロディちゃんは南部出身の田舎娘。南部と言えば、根強い人種差別とかキリスト教原理主義(保守的なプロテスタントで聖書の字義通りにこの世ができたと信じたい人々。科学に否定的で学校教育で進化論を教えるな、と主張するような人々)。なので、ボリスにしてみたら南部の非科学的な田舎者めってことになるわけだ、メロディとその家族は。ボリスが天才物理学者なだけにさ。不確定性原理がどうの、観測者がどうの言う量子力学者ですよ、彼は。その辺りもきちんと描かれていて面白かったよ!

 うまくいくなら、何でも良いじゃないか。と、常識や世間をものともしない態度を示すこの映画は、アレン監督の言い訳のようにも見えてしまいます。アレンは若い頃2度の結婚を経て、現在は3度目の結婚。'92年、当時の恋人ミア・ファローの養子であるスンイー(韓国系)とデキちゃったわけだし。そりゃあ非難囂々ってもんですよ。ロリコンめ!それでも'97年(スンイー24歳)に結婚して今も二人は仲良く暮らしているし、二人の養子もいる。ミアにしてみれば業腹だろうけどなあ!まさか自分の養子と!って。

 そんなこんなで、いろいろ併せてとっても面白いコメディ満喫!『アビス』『風と共に去りぬ』『地獄の黙示録』『素晴らしき哉、人生』など映画ネタが多いのも楽しいよ。
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俳優は誰?
 主演のラリー・デヴィッドはスタンダップ・コメディアン出身。'90年代はTVシリーズ『となりのサインフェルド』の企画・製作で名を売り、2000年代はケーブルTVシリーズ『ラリーのミッドライフ★クライシス』で企画・製作に加え主演もして大人気なお方。

 メロディ役のエヴァン・レイチェル・ウッドは若手実力派!『プラクティカル・マジック』でニコール・キッドマンの子ども時代を演じてた子役。最近では『ダイアナの選択』『レスラー』『アクロス・ザ・ユニバース』など、透明感のある繊細な存在感が印象的です。本作ではそんな彼女の持ち味に加えてスットボケたノー天気さがとってもキュート!天然な良い子って雰囲気になってます。そんなエヴァンちゃん、私生活では19歳年上のロッカー、マリリン・マンソンと付き合っては別れています。3度目の別離が2010年8月。その後どうなったのかな?

関連作品のようなもの
風と共に去りぬ [Blu-ray]スカーレットとメラニー、どちらがお好き?ボリスはスカーレット派だって。
風と共に去りぬ [Blu-ray]
ビビアン・リー、クラーク・ゲーブル 他
アビス <完全版> [DVD]悪夢をみて「深淵(アビス)を見た」と言うボリスに「その映画観てないわ~」と答えるメロディ。
アビス <完全版> [DVD]
エド・ハリス、メアリー・エリザベス・マストラントニオ 他
素晴らしき哉、人生!【淀川長治解説映像付き】 [DVD]クリスマスのハッピー・ムービーの代名詞。ボリスはお好きじゃないようです。
素晴らしき哉、人生!【淀川長治解説映像付き】 [DVD]
ジェームズ・スチュワート、ドナ・リード 他
[図解]量子論がみるみるわかる本(愛蔵版)天才ボリスは量子力学が専門。量子のゆらぎだの観測者だの。
[図解]量子論がみるみるわかる本(愛蔵版)
佐藤 勝彦
インタビュー・ウィズ・シリアルキラー [DVD]レクター博士のモデルとなった連続殺人犯テッド・バンディの映画。
インタビュー・ウィズ・シリアルキラー [DVD]
ケイリー・エルウィズ、ブルース・グリーンウッド 他

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